障害者が在宅で就労するには|職種と必要なスキル


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通勤が困難な障害者の場合、在宅仕事ができると就労がラクになるでしょう。在宅仕事には、企業に雇用されて行う「在宅勤務」と、請負で在宅仕事をする「在宅就業」があります。この記事では、どんな職種があるのか、必要なスキルは何かを中心に紹介。障害特性によっては在宅仕事に向かない場合もありますので、それもあわせて解説します。

障害者も在宅で仕事できる? 在宅仕事の2つの形態

在宅仕事には「在宅勤務」と「在宅就業」の2つの形態があります。大きな違いは、企業に雇用されているか否かです。

在宅勤務は企業に雇用されて在宅で働くこと

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」)の障害者向け在宅就業支援ホームページによると、在宅仕事の1つめの形態は在宅勤務です。「企業に雇用されて在宅で勤務する」ことで、障害者を障害者雇用枠で雇い入れて週20時間以上で働いている場合が多く見られます。

在宅勤務をするには、まず障害者向け求人の中で、在宅勤務制度がある企業に応募して採用される必要があります。最初から在宅勤務が可能かどうかは企業ごとに異なり、障害者の種類や程度、業務遂行能力から判断して在宅勤務を可能とするケースもあります。

在宅就業は請負で自宅仕事をすること

在宅仕事の2つめの形態は在宅就業です。これは「雇用関係がなく請負契約で働く」仕方。週20時間よりも短い時間で働く場合が多いようです。

在宅就業をする場合、障害者の在宅就業を支援する「在宅就業支援団体」を通じて受注する他、自分でクラウドソーシングサービス等に登録して受注するなどの方法があります。

在宅で仕事をするメリット

在宅で仕事ができることには大きなメリットがあります。特に移動や人混みが苦手な場合、在宅仕事ができれば通勤に関する悩みは一気に解決。他人から突然話しかけられることもないので、生産性も上がりやすくなります。また、在宅での仕事なのでどこに事業所があるかも大きな問題になりません。

では、こうした在宅仕事のメリットを1つずつ見ていきましょう。

日本全国で就労機会を探せる

在宅勤務の場合、どこに事業所があるかは大きな問題にはなりません。特に在宅就業の場合は、日本全国の事業主から仕事を受注できるでしょう。在宅勤務の場合でも、出社が月1回以下であれば少し遠い会社であっても働けます。

通勤がない

通勤時間は障害のない人にとっても大変なストレスになります。特に感覚過敏、人混みや移動が苦手といった障害特性を持つ人の場合、通勤ラッシュは最も苦痛を生む時間のひとつ。在宅での仕事なら通勤不要なので、こうした問題の発生を防ぐことができます。

通勤がないことで生まれる時間的ゆとりや精神的余裕は、仕事の生産性向上に役立つでしょう。

重度障害者も自宅や病院のベッドにいたまま働けるため、業務遂行に必要な設備・環境さえ整えられれば、通勤者と同じように質の高い仕事ができます。

人間関係のストレスを軽減できる

他の人の視線や声が気になる人の場合、事業所で働くと同僚の存在が気になってしまい、業務に支障が出ます。しかし在宅仕事の場合、業務上で接する相手は基本的に仕事先の担当者だけ。連絡時以外は1人で仕事をしていることがほとんどです。

在宅仕事なら雑談に巻き込まれることもありませんし、突然背後から話しかけられることもありません。結果として、職場で抱えやすい人間関係のストレスを大幅に軽減できる可能性があります。

自分のペースで仕事ができる

仕事場に自分しかいないということは、邪魔が入らないということ。人間関係のストレスを軽減できることとも共通しますが、会話に巻き込まれることが激減し、自分のペースを保って仕事ができるでしょう。

在宅勤務・在宅就業に向かない人とは

在宅での仕事には多くのメリットがある一方、インターネットやメールなどのスキルが不足していたり、自己管理が苦手だったりする場合は、うまく業務を遂行できない恐れがあります。

インターネットが使えない人

在宅仕事にはインターネットが不可欠です。インターネット回線を契約していなかったり、使い方を知らなかったりすると、業務に必要なコミュニケーションをとれず、資料や書類の送受信もできません。

在宅仕事の準備で最初に必要になのが、インターネット回線です。

電話やメールなどでコミュニケーションをとるのが難しい人

在宅仕事での業務連絡は、メールや電話が多く使われます。そのため、会社が指定したコミュニケーションツール(メール、チャット、ビデオチャット等)を使えなければなりません。

もし文字や音声だけでのコミュニケーションが苦手な場合は、業務連絡をうまく行えず、在宅仕事が難しくなるかもしれません。コミュニケーションツールと自分の相性を見極める必要があります。

家だとつい遊んでしまい、仕事スペースを確保できない人

在宅仕事は自分一人で仕事をすることが基本なので、業務進捗管理も自分で行わなければなりません。家には自分の好きな本やゲーム、装置などが置いてあります。そのため、仕事中につい遊んでしまうタイプの人は、自宅での仕事は難しいでしょう。

ただ、仕事スペースを確保すれば仕事に集中できる場合もあります。自分の部屋でもリビングの一部分でもいいので、「仕事スペース」を決めましょう。仕事スペースを自宅に確保できない場合は、自宅の外にある職場に通う方が仕事を進めやすくなります。

仕事とプライベートの切り替えが苦手な人

在宅仕事では、健康面の自己管理も基本的に自分でやらなければなりません。集中しすぎる人は体調を崩しやすいので、仕事とプライベートをうまく切り替える工夫が必要です。

もし「休むときは休む」ことが難しい場合、他の人の支援が受けられる職場での勤務のほうが、健康管理をしやすいでしょう。

在宅勤務をするには? 始め方と仕事の流れ

企業に雇用される在宅勤務の場合、まずは在宅勤務制度を備えた企業に採用される必要があります。その後は通勤者と同様に研修などを受け、仕事環境を整え、業務を開始します。

在宅勤務が可能な企業に就職する

障害者が在宅勤務可能な企業に就職するには、ハローワークや就労移行支援事業所、在宅就業支援団体、障害者専門の転職エージェントなどに求人を紹介してもらう必要があります。

在宅勤務制度は少しずつ増えているとはいえ、日本全体で見るとまだ少数派。障害者が在宅勤務できる制度を備えている事業所はさらに少ないでしょう。自分で探すよりも、障害者向け求人を扱うところに紹介を頼むほうが早道です。その際、必ず在宅勤務制度がある企業で働きたいことを伝えましょう。

就業規則を確認し、社員教育を受ける

在宅勤務でも事業所のルールや方針にはきちんと従う必要があります。

まずは契約書や就業規則を確認。雇用形態・出社義務・休日の設定・勤務時間・支払い形態・所属や業務内容・担当者(上司)・業務開始時と終了時の連絡の仕方・機密保持のこと・体調が悪い場合の連絡の仕方などをチェックしましょう。

そして、ビジネスマナーや業務に必要なスキルの習得のために社員教育を受ける必要もあります。出勤が困難な場合は、研修担当者が在宅勤務場所に訪問して研修を行ったり、インターネット上で研修を行ったりする場合もあります。

在宅勤務環境を整える

在宅勤務に必要な設備やツールを導入・設定しましょう。基本的には会社が提供してくれますが、すでに障害者自身が所有している場合、費用の一部を会社負担にするケースもあります。

消耗品については、いつどのように購入し経費申請したらよいかを確認しましょう。

業務を遂行する

以上の準備が整ったら、就業規則に従って業務を遂行します。必要に応じて上司や同僚と連絡をとることも忘れずに。業務状況や困っていることなどをヒアリングするため、定期的に面談を受けましょう。

在宅就業をするには? 始め方と仕事の流れ

在宅就業の場合、受注の仕方で2つに分かれます。1つは、在宅就業支援団体がまとめて受注した仕事を割り振ってもらう場合。もう1つは、障害者自身が自分でクラウドソーシングサービスなどを使って受注する場合です。

在宅就業支援団体などの支援を受けながら就業する

在宅就業支援団体などの支援を受けながら就業する場合、団体によって得意な業務が異なるため、仕事のジャンルがある程度絞られます。IT関連業務が多くを占めますが、組立や梱包といった業務を受注する団体もあります。

まずは在宅就業支援団体や障害者の在宅就業を支援する団体に電話またはメールで問い合わせましょう。その後の面談や説明会などで、どんな知識や技術を持っているのか、在宅仕事環境は整備されているのか、週の労働可能時間数はどのくらいかなどのヒアリングがあります。必要に応じてスキル訓練プログラムを受講し、仕事環境を整えましょう。

団体への登録が完了したら、指導員の指導と適正判断に基づいて仕事を割り振ってもらい、作業、納品をします。また、定期的に開催されるミーティングや研修にも参加しましょう。

【参考】厚生労働大臣に申請、登録を受けている団体|機構

フリーランスとして自分で受注する

自分で案件を獲得する場合、フリーランスとしてクラウドソーシングサービスに登録する方法が一般的です。

クラウドソーシングサービス大手の「クラウドワークス」はクライアントの意向を見ても障害の有無にかかわらず受注できるサービスとなっています。一方、「サニーバンク」は障害者専門のクラウドソーシングサービス。案件の仲介だけでなく講習会も開催しています。

クラウドワークスとサニーバンクの大きな違いは、案件を発注するクライアントを事前に確認しているかどうか。クラウドワークスでは確認済みと未確認のクライアントが混在しているため、信頼性は自分で判断しなければなりません。サニーバンクの場合は、すべてのクライアントが確認済みで、信頼性が高くなっています。

クラウドソーシングサービス登録後には、必ず自分のプロフィールを作成しましょう。どのような仕事ができるか、何が得意か、どんなソフトウェアやツールを使えるかなどをアピールすることで、受注率が高まります。

プロフィールの作成と公開ができたら、発注されている案件に応募します。「やろうと思ったけどできなかった」は通用しないため、できる案件に絞って応募するのが基本です。まずは短時間で終わる小さなタスクや得意分野の案件から始めましょう。

受注できたら、指定の方法でクライアントと連絡をとりながら作業を進めます。納期厳守が基本の世界なので、納期に遅れれば信頼性が下がり、受注率も下がる可能性があります。もし納期に遅れる場合は、どのような事情であっても必ずクライアントに連絡しましょう。

在宅仕事の職種とスキル

在宅勤務や在宅就業で仕事をもらうには、インターネットやアプリケーションを使うスキルの他に、ビジネスマナー、報告・連絡・相談の仕方などのスキルも必要。職種によっても求められるスキルが異なります。

在宅仕事で多い職種

在宅仕事ではIT系の職種が多く見られます。特に請負で働く在宅就業の場合、プログラマーやWEBデザイナー、ライター、事務の案件での募集が目立ちます。支援団体を通じて受注する場合は、IT系以外に製造や梱包の仕事もあります。

代表的な職種と仕事内容を一覧にまとめていますので、参考にしてください。

《在宅仕事の主な職種》

職種 代表的な業務内容
プログラマー ホームページのプログラミング

システム関係のプログラム開発

デザイナー

編集者

ライター

製品のデザイン画作成

取り扱い説明書の作成・レイアウト編集

DTP(チラシや冊子)

WEBメディアの記事作成

動画クリエイター 動画の編集
WEBデザイナー ホームページの作成・更新・運営・管理

WEBサイト制作のための素材作成

CADオペレーター CADによる図面作成や住宅間取図作成
事務 データ入力、伝票・書類作成

インターネットでの情報検索・集計

点字名刺の作成・発送

その他 ノベルティー作成、サンプル封入、折込作業

在宅仕事に必要なスキル

職種によって必要とされるスキルは異なりますが、どの職種でも持っておいたほうがいい基本スキルもあります。まずは基本のスキルを向上させ、他にどんなスキルが必要か確認しつつ練習していくとよいでしょう。

支援団体を通じて受注する場合は訓練プログラムを受けることになります。自分で受注する場合は以下の一覧表を参考に、自分に合ったものを選んで習得していきましょう。スキルの習得と証明を兼ねて資格をとると受注の際のアピールにも役立ちます。

《在宅仕事に必要なスキルの例》

職種 具体的なスキルの例
(全般) Word、Excel、PowerPoint

インターネット、電子メール、ビデオチャット

ビジネスマナー

報告・連絡・相談の仕方

健康管理とスケジュール管理

読解力(就業規則や指示を理解するため)

プログラマー Java、JavaScript、C言語など
デザイナー

編集者

ライター

Illustrator、Photoshop

DTPソフト(InDesignなど)

文章表現力、SEO

WEBデザイナー HTML、CSS、Flash、WordPress

ホームページ作成支援ソフト

WEBアクセシビリティー

【参考】
Q&A 障害者の方からよくある質問|機構
在宅勤務障害者雇用管理マニュアル|機構
在宅雇用のしくみ|OKIワークウェル
クラウドワークス 公式サイト
サニーバンク 公式サイト

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