2023/05/01
「服の裏表が大変…!」オールライト研究所「表裏のない世界」のラクに着られる服
本ページはプロモーションが含まれています
2023年2月、株式会社フェリシモが「オールライト研究所」開発のファッションシリーズ「表裏のない世界」を発表。視覚障害や麻痺、知的障害がある方も着やすいトップス、パンツ、靴下を発売しました。タグをポケット内側に隠す、綿100%のやさしい肌心地など、さまざまな工夫が施されています。
障害のある方が抱える「服を着る」の困難
「服を着る」という日常のあたりまえの動作。社会生活に欠かせないことですが、これが難しいと感じる方は意外と多くいます。
たとえば四肢などに不自由がある方の場合、服を裏返す、畳むといった動作はとても困難です。動きが限られているため、服を脱いだときに裏返しになりやすい方もいます。服による締め付けがきつく、長く着ていられない、動きが大きく制限されてしまう、そもそも着られないという方もいるでしょう。
視覚障害がある方の場合も、服の形やタグ、縫い目などをもとに表裏前後を判断するには、他の人以上の集中力が必要です。着てみてから、襟ぐりの感じで前後が逆になっていたことに気づく場合もあります。
知的障害のある方では、身支度全般に時間がかかるケースが多く見られます。手先があまり器用でない、手指の力が弱い、服の表裏や前後の区別をしにくいなど、「正しく」服を着るには、たくさんの練習が必要。急がなければならないときの身支度では大きく混乱してしまう方もいるでしょう。
服を着ることに何らかの困難を抱える方の場合、毎日行う着替えだけでも、他の人のように服を着るために何倍もの労力が必要なのです。
ファッションシリーズ「裏表のない世界」
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
2月14日、「オールライト研究所」は、プロジェクト第一弾であるファッションシリーズ「裏表のない世界」を発表しました。
発売されたのは、裏表や前後に関係なく着られるトップス、パンツ、靴下の3アイテム。服の裏表を間違えやすい方、裏表・前後に合わせて着ることに困難がある方向けのシリーズで、どのように着ても「正しい」というリバーシブルを極めたアイテムです。価格も手に取りやすい金額に抑えています。
たとえば、「裏表前後のないポケットTシャツ」の脇には前後対称にポケットが付いており、前後逆に着ても表と裏を逆に着ても、常にほぼ同じ位置にポケットがあります。脱いだときにTシャツが「裏返し」になっても、前と後ろを逆にしても、そのまま着られるという代物です。
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
服の裏表前後が変わると、
「縫い目が首筋にあたって痛いのでは?」
「裏の縫い目が見えてしまうのでは?」
「首回りが苦しくなってしまうのでは?」
といった心配が生じるかもしれません。「裏表前後のないポケットTシャツ」は、こうした懸念に対応し、袖・襟ぐり・裾は縫い目が表裏で同じになるバインダー仕様とし、脇は折り伏せ縫いとしました。タグもポケット内にありますので、首のうしろがチクチクしません。
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
同様のコンセプトで作られた「裏表前後のないまるっとダブルガーゼパンツ」も、ポケットがサイドの位置に裏表前後対称に付いており、サイドやまたぐりも折り伏せ縫い。全体のフォルムはまるっとしたシルエットでアラジンパンツにも近い形となっています。ガーゼなので生地が柔らかく、洗うほどに味わいが出て着やすくなるパンツです。
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
そして、3つめの「裏表前後のないすっきりフィット靴下」は、靴下の前後や左右、かかとのズレを全く気にせずに履けます。つま先の縫い目、かかとがなく、ぐーんと伸びるホールガーメントという編み方で作られました。ボーダーのでこぼこが表裏で変化するものの、左右で異なるでこぼこになってもオシャレな着こなしが可能です。
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
これら3点の開発には、全盲のご夫婦、筋ジストロフィーの女性、知的障害のあるお子様がいるご家族など、さまざまな年齢・性別の方が関わっています。さまざまな方の試着やアドバイスにもとに、改良を重ねてきました。
「オールライト研究所」とは
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
「オールライト研究所」は、「そのままでたのしい、そのままがたのしい暮らし」を研究し、作りだしていくプロジェクト。言葉とスポーツと福祉が専門のコピーライターであり、『マイノリティデザイン』(ライツ社)の著者でもある澤田智洋さんを「ゆる研究員」に迎え、障害をもつ当事者などさまざまな方の視点から商品開発を行っています。澤田さんをはじめ、プロジェクトメンバーそれぞれがもつ「自分がマイノリティな部分」をきっかけに、苦手なことを強みに変換する試みを進めてきました。
『マイノリティデザイン』には、「弱さは社会の伸びしろ」「苦手が苦手のままで楽しい」という思いがあります。困っている方の声と澤田さんの思いを掛け合わせる共創により、「誰にとっても楽しい、やさしい、使いやすい商品」を生み出すことが目標。「イッツオールライト!」と言える、たのしい社会を目指し、「オールライト研究所」という名称になりました。
今回は3点のファッションアイテムが発表されましたが、今後もさまざまな方の意見をきっかけに商品開発を続けていくとのことです。
購入はFELISSIMOの公式ページから
画像出典:裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
「表裏のない世界」シリーズは、FELISSIMOの公式ページから購入可能です。2023年2月現在、Tシャツは1色、パンツは2色、靴下は2色での展開。それぞれの商品の特徴、実際に着ている人の動画などもありますので、「どのような商品か」「どのように着られるのか」を具体的にイメージしやすいでしょう。
「表裏のない世界」シリーズでのラインナップが増えれば、障害をもつ方の就職活動もよりラクになるかもしれません。着やすくても清潔ですっきりして見えるジャケットやパンツなど、就活シーンで求められる「きちんと感」のある商品展開も期待されます。
【参考】
裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズが、フェリシモの「オールライト研究所」から発売|PR TIMES
オールライト研究所|note