「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)とは? 目的と内容のポイントをわかりやすく解説


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「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)の対日審査が行われた2022年。総括所見では日本における障害者の社会参加について多くの課題が指摘されました。そもそも障害者権利条約とはどのような条約なのでしょうか。対日審査の総括所見を受けて注目された部分を中心にポイントをわかりやすく解説します。

障害者権利条約とその目的(第1条)

障害者権利条約とは、障害者の人権や基本的自由を守れるように国がやるべきことを決めるという国際的な取り決めのことです。

この条約がつくられた目的は「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」(第1条)。つまり、障害によって日々の暮らしや仕事で生じるさまざまな社会的障壁(バリア)を減らし、最終的に障害のある人も障害のない人も尊重される社会にしていこうということです。

障害者権利条約は、障害をもつ当事者の団体も参加して作られています。日本からも200人ほどの障害者団体の方々が国連本部を訪れました。
障害者権利条約は2006年に国連総会で内容が決定され、その翌年である2007年に日本も署名しました。ただ、日本が条約に締結したのは2014年でした。「しっかり条約を締結する前に国内の障害者の社会参加に関する法律や制度を整えるほうがよい」という意見を受けて、法律の改正や制定、制度の見直し等を行ったことが、署名と締結に約7年の差がある理由です。日本は141番目の締結国・機関となりました。

署名から締結までの間に取り組まれた国の施策には、次のものがあります。

  • 2011年 障害者基本法の改正
  • 2012年 障害者総合支援法の制定
  • 2013年 障害者差別解消法の制定、障害者雇用促進法の改正

障害者総合支援法は、もともと障害者自立支援法という名前でした。障害者自立支援法における障害者の定義に難病を追加するとともに、支援の拡大などを含む内容となっています。また、障害の多様な特性や心身の状態に応じて支援を行うことを目的に「障害支援区分」が作られました。

障害者総合支援法については、以下の関連記事で制定の経緯をご紹介しています。

(関連記事)
障害者総合支援法について学習してみよう(法律の制定までの経緯)

「社会モデル」と「Nothing About Us Without Us」

障害者権利条約を理解するために重要な考え方が2つあります。障害の「社会モデル」と「Nothing About Us Without Us」(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)です。

「社会モデル」とは、「障害」は障害者ではなく社会が作り出しているという考え方です。これは、たとえば、目が見えないことで建物を利用するのが難しい場合、障害の原因は目が見えないことではなく、段差が多い、誘導ブロックがない、音声案内がない、点字の案内板がないといった建物の状況に原因(社会的障壁)があるということです。障害者権利条約では、こうした社会的障壁を減らして誰もが生活しやすく働きやすい社会づくりを目指しています。

誰もが暮らしやすく活躍できる社会づくりを進めるには、さまざまなルールや制度の整備、現場でのサポートが必要です。それは国や自治体レベルでも必要ですし、企業や民間の支援機関でも必要です。そうしたときに、障害をもつ当事者の方の意見を聞かずに進めてしまうことが過去にはありました。そこで出てきたのが、障害をもつ方々からの「Nothing About Us Without Us」(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)という言葉です。

「Nothing About Us Without Us」は、障害者が自分のことに関わる問題に主体的に関与する(意見を伝える、アイデアを出す、ルールや制度づくりに参加する等)という考え方です。障害があることを伝えるかどうか、支援を受けるかどうか、どのような支援を受けるかについても、障害をもつ方自身も参加して検討できるよう環境や制度をつくり、維持する必要があります。

障害者権利条約の内容

それでは、障害者権利条約の具体的な内容を見ていきましょう。第1条から第50条までありますので、その中で障害者の社会参加に直接関わる部分や、対日審査で指摘され当事者団体も注目している部分、条約に基づく取り組みの維持・監視・審査に関する部分をピックアップしてご紹介します。

第2条~第9条のポイント

障害者権利条約の第2条から第9条には、この条約で使われる言葉の定義や基本となる考え方、社会全体の意識向上、バリアフリーへの取り組みなどが定められています。

特に第4条までの基本的な考え方、第4条と第5条にある合理的配慮の考え方と提供、第6条の障害をもつ女性が受ける複合的な差別(女性差別と障害者差別の両方の差別を受けることなど)は、日本における取り組みとして今後いっそう力を入れていかなければならない項目です。

第2条 定義
  • 「障害に基づく差別」=障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限のこと(合理的配慮を提供しないことも差別)
  • 「合理的配慮」=障害を持つ方が障害のない方と平等であることを基礎として、全ての人権と基本的自由をもち、行使するために必要な適切な配慮(変更及び調整)であり、特定の場合において必要とされるもの(ただし、配慮を提供する側にとって過度な負担にならないもの)

 

第3条 一般原則
  • 固有の尊厳、個人の自律及び個人の自立の尊重
  • 無差別
  • 社会への完全かつ効果的な参加及び包容
  • 差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ
  • 機会の均等
  • 施設及びサービス等の利用の容易さ
  • 男女の平等
  • 障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性を保持する権利の尊重

 

第4条 一般義務
  • 締結国は、この条約において認められる権利を実現するため、適切な法律や制度、公的サービスの提供などを行う
  • 障害者差別となる法律や規則、慣習などを修正または廃止するための取り組みを行う
  • 全ての政策と計画において障害者の人権の保護と促進を考慮する
  • 障害をもつ当事者と協力しながら、ユニバーサルデザインの製品、サービス、設備、施設の研究・開発を進め、それらの使用を促進する

 

第5条 平等及び無差別
  • 障害に基づくあらゆる差別を禁止する
  • 平等を促進し差別を撤廃するために、合理的配慮が提供されるよう締結国は取り組みを行う
  • 障害者の事実上の平等を促進したり達成したりするために必要な特別な措置は、障害者差別と解釈してはならない

 

第6条 障害のある女子
  • 締結国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識する
  • 障害をもつ女子が人権及び基本的自由をもち、行使することができるよう、能力開発、能力の向上、自律的な力の育成のために必要な取り組みを行う

 

第8条 意識の向上
 

  • 社会全体で障害者の権利及び尊厳に対する理解と尊重を育てる
  • 障害者の技能、長所、能力、仕事における貢献について、社会全体で認識を深める
  • 幼年期からの教育制度の全ての段階で、障害者の権利を尊重する態度を育てる
  • 全ての報道機関が、この条約の目的に適合するように障害者を描写するよう奨励する

 

第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ
  • 都市と農村の両方で、施設やサービス等のバリアフリーを促進する
  • 情報のバリアフリーを促進する
  • 公衆に開放される建物などの施設で、点字の表示と読みやすく理解しやすい形式の表示を行う
  • 公衆に開放される建物などの施設で、人または動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者、専門の手話通訳など)を提供する

第10条~第19条のポイント

第10条から第19条のポイントは、危険な状況で障害をもつ方がきちんと安全に避難できることや、障害を理由とした自由の剥奪を受けないこと、搾取や拷問などを受けないこと、地域社会で暮らせるようにすることなどが定められています。

日本では自然災害が多く発生しますが、第11条ではそうした災害時に障害をもつ方にきちんと情報を伝え、安全に避難できるようサポートする取り組みを求めています。これについては、日本でも国や自治体レベルで取り組みが進められてきました。

一方で、自由の剥奪や搾取・暴力などに関する部分は、まだ課題が大きいといえるでしょう。対日審査の総括所見では、精神障害者の強制入院や、障害者施設での虐待が言及されました。これらは第14条から第16条に特に深く関わっています。

第11条 危険な状況及び人道上の緊急事態
  • 国際人道法や国際人権法を含む国際法に基づいて、戦争や人道上の緊急事態、自然災害の発生といった危険な状況において、障害者を保護し安全を確保するために必要な取り組みを行う

 

第14条 身体の自由及び安全
  • 障害者は、他の者と同様に身体の自由と安全についての権利をもつ
  • 法律に反する形で障害者の自由を奪うことは認められない
  • 障害をもつことを理由に自由を奪うことは正当化されない
  • 法律に基づいて障害者の自由が奪われた場合でも、障害のない者と平等に扱われ、国際人権法による保障を受ける権利を持ち、合理的配慮の提供を受けることができる

 

第15条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由
  • いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な、もしくは品位を傷つけるような扱われ方をされたり刑罰を受けたりしてはならない
  • いかなる者も、本人の自由な同意のない状態で医学的な実験や科学的実験を受けない
  • 障害者がこうした扱われ方や刑罰が与えられることがないよう、締結国は法律、行政、司法その他の分野で効果的な取り組みを行う

 

第16条 搾取、暴力及び虐待からの自由
  • 家庭の中であっても家庭の外であっても、あらゆる形の搾取・暴力・虐待から障害者は保護されなければならない
  • 締結国は、特に、障害者やその家族、介護者に対する適切なサポートを提供する(搾取・暴力・虐待を防止すること、理解を深めること、報告する方法、情報提供なども含む)
  • あらゆる形の搾取・暴力・虐待の発生を防ぐため、障害者のための施設や計画を独立した当局が監視できるようにする
  • あらゆる形の搾取・暴力・虐待の被害者となる障害者の回復や社会復帰のための適切な取り組みを、障害者の健康・福祉・自尊心・尊厳・自律を育成する環境の中で実施する

 

第19条 自立した生活及び地域社会への包容
  • 全ての障害者は、障害を持たない人と同様に選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利をもつ
  • どこに居住するか、どこで誰と生活するかについて、障害者自身が選択する機会をもち、特定の生活施設で生活する義務を負わない
  • 地域社会で生活し、地域社会に参加するために必要な支援を障害者が利用できるようにする(在宅サービス、居住サービス、その他の地域社会支援サービス)
  • 一般住民向けの地域社会サービスや施設を障害者も平等に利用できるようにする

第20条~第29条のポイント

第20条から第29条のポイントは、教育、保健サービスの利用、労働などについて障害をもつ方が障害をもたない方と同様の権利をもつことを認め、そうした体制やサービスを利用する機会がきちんと提供されることです。

第20条は障害者の移動に関わる規定で、障害者自身の意思でいつ・どうやって移動するかを決められるように、費用や補助具・支援機器・支援体制を整えていこうというもの。これは、教育や労働における合理的配慮の提供にもつながる重要な視点です。

第24条の教育、第25条の健康、第27条の労働・雇用では、参加や利用にあたって障害者差別がなされないことや合理的配慮が提供されること、障害のない方と平等に参加や利用の機会が得られるよう支援することなどが定められています。また、第27条では、障害がある方を奴隷のように扱ったり強制労働させたりすることを禁止しています。

第28条は、障害をもつ方の貧困に関する内容となっています。障害のない方と同様に、生活水準の維持や改善について公的な支援を受けられること、貧困状態にある障害者とその家族については、費用に関して公的援助を利用できる機会の提供などが主な内容です。

 

第20条 個人の移動を容易にすること
  • 障害者自身ができる限り自分の選んだ方法で、自分が選んだ時に、負担しやすい費用で移動できるようにする
  • 障害者が移動のために質の高い補助具、補装具、支援機器、人や動物による支援などを利用できる機会を増やす
  • 障害者と支援者に対して、移動のためのスキルに関する研修を提供する
  • 移動補助具、補装具、支援機器を生産する会社や団体に対して、より使いやすく、移動に役立つものになるよう奨励する

 

第24条 教育
  • 障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を行う
  • 障害者が障害を理由として一般的な教育制度から排除されないようにする
  • 障害のある児童が障害を理由として無償の義務教育や中等教育から排除されないようにする
  • 教育において、それぞれの障害者が必要とする合理的配慮を提供する
  • 障害者が効果的な教育を受けるために必要な支援を一般的な教育制度の下で行う
  • 障害者が地域社会の構成員として生活・仕事をするための技能習得ができるよう取り組みを進める
  • 締結国は、手話又は点字について能力をもつ教員を雇用し、教育に従事する者に対して研修を行う

 

第25条 健康
  • 障害者が障害のない者に提供されるものと同様に、性別に配慮した保健サービスを受けられるようにする
  • 障害のために必要な保健サービスを提供する
  • これらの保健サービスを利用しやすくする(費用、場所など)
  • 保健、保健サービス、食糧や飲料の提供、生命保険の提供における障害者に対する差別を禁止する

 

第27条 労働及び雇用
  • あらゆる形態の雇用について全ての事項で障害に基づく差別を禁止する
  • 均等な機会、同一価値の労働についての同一報酬など、公正かつ良好な労働条件で雇用する
  • 嫌がらせからの保護を含む安全かつ健康的な作業条件のもとで働けるようにする
  • 障害のない者と同様に労働や労働組合についての権利を行使できるようにする
  • 障害者が効果的な職業紹介サービスや職業訓練、他の継続的な訓練を受けられるようにする
  • 障害者の雇用機会を増やし、就業やキャリアアップ、職場定着、職場復帰の支援を促進する
  • 障害者による起業を促進する
  • 公的部門、民間部門の両方で障害者を雇用する
  • 職場において合理的配慮が提供されるようにする
  • 障害者の職業リハビリテーション、職業の保持、職場復帰計画を促進する
  • 締結国は、障害者が奴隷状態や隷属状態に置かれないこと、障害のない者と同様に強制労働から保護されるようにする

 

第28条 相当な生活水準及び社会的な保障
  • 締結国は、障害者が自分や家族の相当な生活水準についての権利や生活条件の改善についての権利をもつことを認め、障害を理由とする差別なしに、この権利を実現することを保障する
  • 障害者は、清浄な水のサービスを利用する均等な機会を有する
  • 障害者は社会的な保障及び貧困削減に向けた計画を利用する機会をもてる
  • 貧困の状況で生活している障害者とその家族について、障害に関する費用の研修やカウンセリング、財政的援助、介護者の休息のための一時的な介護などの援助を利用する機会を提供する
  • 障害者が公営住宅計画を利用できるようにする
  • 障害者が退職に伴う給付及び計画を利用する機会をもてるようにする

第30条~のポイント

第30条以降は、この条約に基づくさまざまな取り組みについて、それを維持したり監視したり、国連の「障害者の権利に関する委員会」に報告したりすることを定めています。

第30条は障害者が社会的な活動や余暇活動に参加できるよう保障する内容で、第29条以前のように条約に基づく具体的な取り組み内容の規定です。

一方、第31条以降は、国としてこうした取り組みを維持・監視するために専門の組織を設置すること、定期的に国連に報告すること、その報告を国連の「障害者の権利に関する委員会」が確認して必要な助言等を行うこととしています。報告を提出するのは、条約の締結から2年後が最初で、それ以降は少なくとも4年ごとに報告しなさいというルールです。もしこの報告が非常に遅れている場合は、「障害者の権利に関する委員会」が審査する必要があることをその締結国に伝え、審査に参加するよう要請できます。

第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
  • 文化的作品を楽しむ場所、テレビ番組、映画、演劇などで、障害者も利用しやすい様式を提供できるようにする
  • 劇場、博物館、映画館、図書館、観光サービスなどを利用できる機会や重要な記念物や場所を楽しめる機会を可能な限り提供する
  • 障害者が自分の創造的、芸術的、知的な潜在能力を開発、活用するための機会が得られるよう取り組みを進める
  • 知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的作品を享受する機会を妨げる不当または差別的な障壁とならないように取り組みを進める
  • 障害者があらゆる水準の一般のスポーツ活動にできるだけ参加できるよう取り組みを行う
  • 障害者が障害に応じたスポーツやレクリエーション活動をできるよう機会を確保するとともに、適切な指導・研修・資源を障害のない者と同様に利用できるよう推奨する

 

第33条 国内における実施及び監視
  • 締結国は、自国の制度に従ってこの条約の実施に関連する事項を取り扱う中央連絡先を政府内に指定する
  • 締結国は、この条約の実施を促進・保護・監視するための枠組みを自国内で維持・強化・指定または設置する
  • 市民社会は、監視の過程に十分関与し、参加する

 

第34条 障害者の権利に関する委員会
  • 「障害者の権利に関する委員会」を設置する
  • 上限18人で構成し、地理的に衡平に委員の配分が行われ、異なる文化形態・主要な包帯系が代表され、男女が衡平に代表されるようにする(障害のある専門家が参加することを考慮に入れて選出する)。任期は4年。

 

第35条 締結国による報告
  • 締結国は、この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告を、この条約が自国について効力を生じたあと2年以内に国際連合事務総長を通じて「障害者の権利に関する委員会」に提出する
  • その後、締結国は、少なくとも4年ごとに、さらに「障害者の権利に関する委員会」が要請するときはいつでも、その後の報告を提出する
  • 締結国は、委員会に対する報告を作成するにあたって、公開され、かつ、透明性のある過程において作成することを検討する

 

第36条 報告の検討
  • 「障害者の権利に関する委員会」は各報告を検討し、その報告について適切な提案や一般的な勧告を行う。それに対し、締結国は自国が選択する情報を提供することで回答できる
  • いずれかの締結国による報告の提出が著しく遅延している場合、「障害者の権利に関する委員会」は、信頼し得る情報を基礎として、その締結国におけるこの条約の実施状況を審査する必要があることについて、その締結国に通報できる。これに対して、その締結国は関連する報告を提出して回答することができる

2022年8月に対日審査を実施

2022年8月、スイス・ジュネーブにおいて障害者権利条約に関する日本の取り組みについて2日間の審査が行われました。コロナ禍の影響で実施が約2年延期されていたものの、ようやく最初の対日審査が実現しました。実施方法は、「障害者の権利に関する委員会」が日本政府に質問を提示し、日本政府がそれに回答する「建設的対話」という形式です。

審査後は、その結果をまとめた総括所見(勧告)が出されました。対日審査の総括所見は、いくつかの日本の取り組みを評価する一方で、精神疾患をもつ方の強制入院、障害児の分離教育、障害をもつ女性が受ける複合的差別に対するさらなる取り組みを強く求めています。
障害者権利条約の国内監視機関である内閣府の障害者政策委員会でも、同様の問題意識をもっているようです。しかし、審査で参照された民間団体のパラレルレポートと日本政府による報告で大きく異なる部分が見られました。

全国の福祉作業所が参加する団体「きょうされん」の声明では、「日本の障害施策の課題の本質に迫る質問を投げかける権利委員と、法制度の紹介や自身のとりくみの正当化に終始した日本政府との姿勢の違いが際立った」(※1)と述べてられています。精神障害当事者会「ポルケ」も、精神障害をもつ方の自由と安全、強制治療、虐待、障害者の施設収容などに関する「障害者の権利に関する委員会」の懸念を特に伝えています(※2)。

総括所見の公定訳はまだ出ていませんが、ポルケが紹介している仮訳により日本語で概要を確認できます。
障害をもつ方が自らの意思で選択して生活や仕事ができるよう、日本国内でのいっそうの取り組みが求められています。

※1 【障害者権利条約 日本審査】総括所見を受けての声明|きょうされん (2022年10月21日閲覧)
※2 【情報提供】障害者権利条約 総括所見公表されました(速報)|ポルケ (2022年10月21日閲覧)

【参考】
障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)|外務省
【障害者権利条約 日本審査】総括所見を受けての声明|きょうされん
【情報提供】障害者権利条約 総括所見公表されました(速報)|ポルケ

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