2026/05/20
キャリアコンサルティングとは?「キャリアコンサルタント」と「キャリアコンサルティング技能士」の違い
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人材の流動化や働き方の多様化が進む現在、一人ひとりの主体的なキャリア形成に注目が集まっています。そこで重要な役割を果たすのが、キャリアコンサルティング。一般枠での転職だけでなく、障害者雇用枠での就職・転職においてもキャリアコンサルティングは欠かせません。
キャリアコンサルティングの役割と関連する国家資格について解説します。

もくじ
キャリアコンサルティングとは?6つのステップと障害者就労との関係

はじめに、キャリアコンサルティングとは何か、障害者の就労におけるキャリアコンサルティングの重要性を見ていきましょう。
厚生労働省によるキャリアコンサルティングの定義と役割
厚生労働省によれば、「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活の設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、助言や指導を行うことを意味します。キャリアコンサルティングを行う人は、労働者の目指すキャリアの実現に向けて、どのような取り組みが必要かを具体的に示す役割を担っています。
2024年度の「能力開発基本調査」によれば、キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入しているのは2社に1社の割合。近年は微増傾向にあり、得に金融業/保険業、総合サービス業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業といった分野で、正社員向けに多く導入されているようです。※
※参考:「能力開発基本調査:結果の概要 令和6年度」(厚生労働省)
キャリアコンサルティングの6つのステップ
厚生労働省の公式ページでは、「キャリアコンサルティングの流れ」として、以下の6つのステップを示しています。※
【キャリアコンサルティングの6つのステップ】
| ステップ | 項目 | 例 |
| 1 | 自己理解 |
|
| 2 | 仕事理解 |
|
| 3 | 啓発的経験 |
|
| 4 | 意思決定 |
|
| 5 | 方策の実行 |
|
| 6 | 適応 |
|
基本の流れは、現状の理解・分析による本人の意思決定と、計画に基づく取り組みの実行および職業能力の習得・向上に向けた支援です。
キャリアコンサルティングにおけるポイントは、本人の興味・適性等を無視して一方的に「今は〇〇の仕事が狙い目です」といったような押しつけをしないこと。あくまで本人の意思決定や、段階的に能力を高めながら中長期的に少しずつキャリア形成していくための支援を行うことが、キャリアコンサルティングの軸となります。
障害者就労支援におけるキャリアコンサルティング
キャリアコンサルティングは、障害のある人の就職・転職でも重要な活動です。障害のある求職者から次のような悩みが聞かれるからです。
【障害のある求職者の悩み(例)】
- 1つの職場で長く働き続けた経験がなく、不安だ
- 自分に向いている仕事がわからない
- 障害者雇用で働いた経験がなく、応募に戸惑いがある
- 会社側に自分の障害特性を理解してもらえるか心配だ
- 会社側に求める合理的配慮事項を自分でうまくまとめられない
障害のある人が社会的自立を実現するには、ただ「働く」だけでなく、社会の一員として認められ、会社やコミュニティなどでやりがいのある役割を担うことが大切です。それには、「自分はこうなりたい」「こうしたい」というイメージが必要。そうしたイメージをもつには、仕事を通じて能力や人間関係を発展させること、働きながら生活する経験を積むことが役に立ちます。
本人にとっての目指したいイメージが出てきたら、それを言語化し、実現に向けて取り組みを進めていきます。長い期間がかかっても、たとえ小さな成功でも、それらが社会的自立への大きな一歩となるでしょう。
障害のある人のこうしたプロセスに伴走しながらサポートするのが、障害者就労におけるキャリアコンサルティングの役割といえます。
キャリアコンサルティングの国家資格

キャリアコンサルティングには、相談者に寄り添いながら現状のヒアリングから実際のキャリア形成支援まで、プロセスを的確に進める能力が求められます。そのため、国では「キャリアコンサルタント」や「キャリアコンサルティング技能士」という資格を創設し、専門家の養成を進めてきました。
キャリアコンサルタントとは
「キャリアコンサルタント」とは、職業能力開発促進法に基づく名称独占の国家資格です。資格の取得により、キャリアコンサルティングを実施する専門家であることを証明できます。
キャリアコンサルタントになるには、国家試験である「キャリアコンサルタント試験」に合格し、登録しなければなりません。登録後は、5年ごとの更新が必要。更新の際は、指定の更新講習を受講します。
キャリアコンサルタントが働く現場は、一般企業やハローワーク、教育機関、若者自立支援機関など様々です。2026年2月末時点で8万7,103名が登録しており、キャリアコンサルティング関連資格として、広く活用されています。※
※出典:「国家資格キャリアコンサルタント WEBサイト登録センター」(特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会)
キャリアコンサルティング技能士とは
「キャリアコンサルティング技能士」は、国家検定「キャリアコンサルティング技能検定」の合格者に与えられる称号です。
2008年に創設されたキャリアコンサルティングの知識・技能を測る国家検定であり、現在1級・2級の2つが実施されています。1級の合格者は「1級キャリアコンサルティング技能士」、2級の合格者は「2級キャリアコンサルティング技能士」を名乗ることができます。
1級と2級の各レベルは、下表の通りです。
【キャリアコンサルティング技能検定 1級・2級のレベル】
| 等級 | レベル |
| 1級 |
|
| 2級 |
|
2026年3月末時点で、1級キャリアコンサルティング技能士は864名、2級キャリアコンサルティング技能士は1万3,192名となっています。※
※出典:「国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 合格発表」(特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会)
キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士の違い
キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士の違いは、受験資格(受検資格)にあります。キャリアコンサルティング技能検定には、受検資格に3年以上の実務経験が設定されており、実務経験なしでも受験できるキャリアコンサルタント試験よりも上位に位置づけられています。
また、実務経験の要否から、両資格には受験者数の違いも見られます。キャリアコンサルタント試験の受験者数は概ね5,000人程度であるのに対し、キャリアコンサルティング技能検定の受検者数は、2級で1,000人前後、1級では1,000人未満となることが多いようです。
キャリアコンサルタントは、いわばキャリアコンサルティングの専門家の入口となる国家資格。その後、実務経験を積んで熟練レベル・指導レベルになった人を合格者に想定するのがキャリアコンサルティング技能検定となります。
【国家試験】キャリアコンサルタント試験の受験資格・合格率
以下、各試験について少し細かく見ていきましょう。
キャリアコンサルタントになるために合格しなければならない「キャリアコンサルタント試験」は、実務経験なしでも受験できる国家試験です。合格率は6割〜7割程度となることが多いようです。
実務経験と受験資格・試験免除
キャリアコンサルタント試験の受験資格は、指定の養成講習を修了した人か、実務経験が3年以上ある人などです。キャリアコンサルティング技能検定の学科試験または実技試験に合格した人も受験可能です。
【キャリアコンサルタント試験の受験資格】
| 区分 | 受験資格の要件 | 必要書類等 |
| 1 | 厚生労働大臣が認定する養成講習を修了した人 | 養成講習実施団体が発行する養成講習修了者コード |
| 2 | キャリア相談の実務経験が3年以上ある人 | 実務経験証明書(上長の記名が必要) |
| 3 | キャリアコンサルティング技能検定の学科試験または実技試験に合格した人 | 一部合格番号(受験申請書に記載する) |
区分1について、対象となる養成講習は2026年4月現在で23件あります。受講費は約20万円〜45万円ほどであり、実施団体によって異なります。
区分2の実務経験で想定されているのは、労働者の職業選択・職業生活設計、または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談業務。人事考課面談や採用面談、キャリア関連セミナーの講師といった業務は、実務経験に含まれません。対象となるキャリア相談業務を概ね月に1名以上の頻度で継続的・反復的に実施していることがポイントです。一般企業におけるキャリア相談、ハローワークのキャリア支援やメンタルヘルス支援、障害者などの就労支援、民間の人材紹介会社における転職・就職支援などが典型例です。
区分3は、キャリアコンサルタント試験よりも上位にあるキャリアコンサルティング技能検定の試験の一部に合格している場合に認められる受験資格です。
キャリアコンサルタント試験には、学科試験と実技試験があります。基本的には両方の試験を受けますが、既にどちらかに合格している場合は、合格しているほうの試験が免除されます。
また、技能検定の学科試験または実技試験のいずれかのみに合格した場合も、「一部合格番号」を申請することで、技能検定で合格した試験の免除を受けられます。
試験内容・合格基準・合格率
キャリアコンサルタント試験の学科試験・実技試験の出題形式・試験時間・合格基準は、以下のようになっています(2026年4月現在)。
【キャリアコンサルタント試験の試験内容・合格基準】
| 試験の種類 | 項目 | 概要 | |
| 学科試験 | 出題形式 | 4つの選択肢から1つを選ぶマークシート方式
50問を出題 |
|
| 試験時間 | 100分 | ||
| 合格基準 | 70/100点以上 | ||
| 実技試験 | 論述 | 出題形式 | 事例記録を読み、設問に回答する記述式 |
| 試験時間 | 50分 | ||
| 合格基準 | 配点の40%以上 | ||
| 面接 | 出題形式 | ロールプレイと口頭試問 | |
| 試験時間 | ロールプレイ:15分
口頭試問:5分 |
||
| 合格基準 | 「態度」「展開」「自己評価」ごとに満点の40%以上 | ||
ロールプレイでは、キャリアコンサルティングの開始から15分間という場面設定で、
- 相談者への態度
- 身だしなみを含む姿勢
- 相談者との関係構築
- 問題を捉えた相談者の気づき・成長につながる応答
といった観点から採点されます。
キャリアコンサルタント試験の近年の合格率は、下表の通りです。
【キャリアコンサルタント試験の受験者数・合格率】※
| 年・月 | 回 | 学科試験 | 実技試験 | ||
| 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | ||
| 2025年11月 | 第30回 | 5,013人 | 77.6% | 5,182人 | 64.1% |
| 2025年7月 | 第29回 | 4,944人 | 72.7% | 4,822人 | 64.3% |
| 2025年3月 | 第28回 | 6,298人 | 68.4% | 5,969人 | 67.7% |
全体として学科試験のほうが合格率は高くなっています。
※出典:「キャリアコンサルタント試験結果の概要」(厚生労働省)
【国家検定】キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)の受験資格・合格率
キャリアコンサルティング技能士になるために受検する国家検定「キャリアコンサルティング技能検定」の受検には、3年以上の実務経験が必須です。合格率は5割を切ることがあります。
実務経験と受験資格・試験免除
キャリアコンサルティング技能検定の受検資格は、実務経験が3年以上ある人のうち、特定の要件を満たす人です。キャリアコンサルタント試験に合格した人も、一定の実務経験を積んでいれば受検可能です。
【キャリアコンサルティング技能検定の受検資格(1級)】
| 区分 | 実務経験 | その他の要件 |
| 1 | 10年以上 | — |
| 2 | 9年以上 | 大学で所定科目20単位以上を習得+大学を卒業 |
| 3 | 9年以上 | キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たす講習などを修了 |
| 4 | 8年以上 | 大学院で所定科目8単位以上を習得+大学院を修了 |
| 5 | 8年以上 | キャリアコンサルタント試験に合格またはキャリアコンサルタントである |
| 6 | 3年以上 | キャリアコンサルティング技能検定2級に合格 |
【キャリアコンサルティング技能検定の受検資格(2級)】
| 区分 | 実務経験 | その他の要件 |
| 1 | 5年以上 | — |
| 2 | 4年以上 | 大学で所定科目20単位以上を習得+大学を卒業 |
| 3 | 4年以上 | キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たす講習などを修了 |
| 4 | 3年以上 | 大学院で所定科目8単位以上を習得+大学院を修了 |
| 5 | 3年以上 | キャリアコンサルタント試験に合格またはキャリアコンサルタントである |
キャリアコンサルティング技能検定にも、学科試験と実技試験があります。基本的には両方の試験を受けますが、既にどちらかに合格している場合は、合格しているほうの試験が一定期間免除されます。免除される期間は、合格した試験の実施日の翌々年度末までです。
試験内容・合格基準・合格率
キャリアコンサルティング技能検定の学科試験・実技試験の出題形式・試験時間・合格基準は、以下のようになっています(2026年4月現在)。
【キャリアコンサルティング技能検定(1級)の試験内容・合格基準】
| 試験の種類 | 項目 | 概要 | |
| 学科試験 | 出題形式 | 5つの選択肢から1つを選ぶマークシート方式
50問を出題 |
|
| 試験時間 | 100分 | ||
| 合格基準 | 70/100点以上 | ||
| 実技試験 | 論述 | 出題形式 | 1ケースについて設問に回答する記述式 |
| 試験時間 | 80分 | ||
| 合格基準 | 60/100点 | ||
| 面接 | 出題形式 | ロールプレイと口頭試問 | |
| 試験時間 | ロールプレイ:30分
口頭試問:9分 |
||
| 合格基準 | それぞれ60/100点 | ||
【キャリアコンサルティング技能検定(2級)の試験内容・合格基準】
| 試験の種類 | 項目 | 概要 | |
| 学科試験 | 出題形式 | 4つの選択肢から1つを選ぶマークシート方式
50問を出題 |
|
| 試験時間 | 100分 | ||
| 合格基準 | 70/100点以上 | ||
| 実技試験 | 論述 | 出題形式 | 1ケースについて設問に回答する記述式 |
| 試験時間 | 60分 | ||
| 合格基準 | 60/100点 | ||
| 面接 | 出題形式 | ロールプレイと口頭試問 | |
| 試験時間 | ロールプレイ:20分
口頭試問:7分 |
||
| 合格基準 | それぞれ60/100点 | ||
キャリアコンサルティング技能検定の近年の合格率は、下表の通りです。
【キャリアコンサルティング技能検定(1級)の受験者数・合格率】※
| 年 | 回 | 学科試験 | 実技試験 | ||
| 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | ||
| 2025年度 | 第15回 | 561人 | 48.8% | 1,045人 | 8.54% |
| 2024年度 | 第14回 | 647人 | 61.6% | 914人 | 6.6% |
| 2023年度 | 第13回 | 476人 | 35.7% | 907人 | 9.0% |
【キャリアコンサルティング技能検定(2級)の受験者数・合格率】※
| 年 | 回 | 学科試験 | 実技試験 | ||
| 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | ||
| 2025年度 | 第35回 | 1,103人 | 74.2% | 2,025人 | 20.45% |
| 2025年度 | 第34回 | 1,120人 | 62.9% | 1,814人 | 21.7% |
| 2024年度 | 第33回 | 1,079人 | 55.3% | 1,976人 | 17.7% |
1級も2級も、実技試験の合格率が極端に低くなっています。2級では5人に1人程度の合格率、1級では10人に1人未満。そのため、学科試験より実技試験のほうが受験者数が多い状況です。
国家資格取得で多いのは養成講座修了からキャリアコンサルタントへの道

以上のように、資格の位置づけとしては
- キャリアコンサルタント:入門・初級レベル
- 2級キャリアコンサルティング技能士:熟練レベル
- 1級キャリアコンサルティング技能士:指導レベル
の順で高くなります。
キャリアコンサルティングに関する資格取得を目指すなら、まずは厚生労働大臣が認定する養成講座を修了してキャリアコンサルタント試験に合格する道がよいでしょう。実際、2025年11月に実施された第30回キャリアコンサルタント試験でも、養成講習を修了して受験した人が8割以上を占めました。
キャリアコンサルタントとして実務経験が3年以上になったら、キャリアコンサルティング技能検定の合格を目指してみましょう。
【参考】
- 「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」(厚生労働省)
- 「キャリアコンサルタント試験」(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会)
- 「キャリアコンサルティング技能検定」(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会)
【画像・イラスト素材提供】
mapo/ PIXTA(ピクスタ)
kabu/ PIXTA(ピクスタ)


