社会福祉士・精神保健福祉士になるには?違いと仕事内容、ダブルライセンスの科目免除


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インクルージョン社会の実現で大きな役割を担う社会福祉士と精神保健福祉士。いずれも名称独占の国家資格であり、同一年での同時受験が可能です。社会福祉士と精神保健福祉士の定義や違い、資格取得後の仕事内容、受験資格と働きながら資格取得を目指す際の注意点を解説します。

【国家資格】社会福祉士とは?定義・根拠法・役割

社会福祉士は、社会において困難を抱える人々を広く支援対象とする専門家です。1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」において、その定義や業務内容、国家試験の実施などが定められています。

社会福祉士の定義は、以下の通りです。

社会福祉士の定義(第2条第1項)

専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者

社会福祉士が担う主な役割は、相談援助業務(ソーシャルワーク)です。ほかに、社会の公的制度と支援現場の橋渡し、公的制度の改善に向けた活動なども行います。

社会福祉士を名乗るには、国家試験に合格したあと、社会福祉士登録簿に登録しなければなりません。2025年5月末時点では、32万892名が登録されています。

社会福祉士の仕事内容・就職先の例

社会福祉士の仕事内容・就職先の例の図。詳しくは、以下本文。

社会福祉士の中心的な仕事である相談援助業務とは、例えば次のような業務です。

【社会福祉士の相談援助業務の例】

  • 生活で困りごとを抱える人の相談に乗り、解決に向けた助言や計画支援の立案を行う
  • 介護保険や障害福祉サービス等の公的制度について情報を提供し、利用のための支援を行う
  • 生活で困りごとを抱える人が安心して暮らせるよう、環境改善や差別解消に向けた取り組みを行う
  • 医療・介護・教育などの関連分野と連携し、対象者の地域生活について質の高い支援を行う(地域包括ケア)
  • 援助が必要な人の権利擁護を行う(当事者の意思を社会に伝え、インクルーシブな社会の実現を目指す)

社会福祉士が活躍できる就職先は多岐にわたります。福祉施設・組織や福祉系NGO/NPOなどのほか、病院や行政機関、司法施設、学校などで働く姿も見られます。

【社会福祉士の就職先の例】

施設・組織・機関

具体例

医療機関 クリニック・総合病院など
福祉施設・組織
  • 地域包括支援センター
  • 社会福祉協議会
  • 相談支援事業所
  • 障害児・障害者支援施設
  • 高齢者支援施設
  • 福祉系NGO/NPO など
行政機関
  • 福祉事務所
  • 自立相談支援機関
  • 身体障害者更生相談所
  • 知的障害者更生相談所
  • 精神保健福祉センター
  • 児童相談所 など
司法施設
  • 保護観察所
  • 更生保護施設 など
教育機関 全国の小・中学校(スクールソーシャルワーカー)など

病院では、医療ソーシャルワーカーとして退院後の社会生活等に向けた支援を実施。スクールソーシャルワーカーとして働く場合は、学校で発生するいじめ・暴力行為や不登校などの事案に対応しながら、子どもたちの安全を守り、支援する仕事をしています。

障害者支援施設で働く場合は、現場で障害のある人の安定した生活や仕事のための助言・指導を行ったり、支援計画を立てて実行したり、より質の高い支援に向けた提案などを行ったりします。

【国家資格】精神保健福祉士とは?定義・根拠法・役割

他方、精神保健福祉士は、1997年制定の「精神保健福祉士法」に基づく国家資格です。精神保健福祉士の定義は、同法第2条に見られます。

精神保健福祉士の定義(第2条)
精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、若しくは精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談又は精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者

精神保健福祉士の主な役割も、相談援助です。ただし、その対象は精神障害に関わる範囲が中心。特に医療機関で精神障害者の視点に立った支援を行います。ほかに、精神障害者の権利擁護、地域生活支援の推進、インクルーシブな社会の実現なども担っています。

精神保健福祉士を名乗るにも、国家試験に合格したあとの登録が必要です。2026年1月末時点で11万3,332名が登録されています。

精神保健福祉士の仕事内容・就職先の例

精神保健福祉士の仕事内容・就職先の例の図。詳しくは、以下本文。

精神保健福祉士の仕事内容は、精神障害者の社会復帰に関する相談援助業務が基本となります。具体的には、次のような業務です。

【精神保健福祉士の相談援助業務の例】

  • 精神障害者が退院するための環境整備を行う
  • 精神障害やメンタルヘルスなどで困難を抱える人々を対象とする援助を行う
  • 精神障害者が安心して暮らせるよう、環境改善や差別解消に向けた取り組みを行う
  • 医療・地域社会の橋渡しを行う(地域包括ケア)
  • 精神障害者の権利擁護を行う

精神保健福祉士が活躍している主な就職先は医療機関の精神科です。ほかに、福祉施設・組織や行政機関、司法施設、学校などでも働いています。

【精神保健福祉士の就職先の例】

施設・組織・機関

具体例

医療機関
  • 精神科クリニック/病院
  • 総合病院の精神科
福祉施設・組織
  • 社会福祉協議会
  • 相談支援事業所
  • グループホーム
  • 就労支援施設
  • 自立訓練施設
  • 救護施設
  • 児童養護施設など
行政機関
  • 自治体の保健所
  • 福祉事務所
  • 精神保健福祉センターなど
司法施設
  • 保護観察所
  • 矯正施設 など
教育機関 全国の小・中学校(スクールソーシャルワーカー)など

精神障害のある入院患者の場合、長期入院により地域生活のハードルが高くなっているケースが珍しくありません。そのハードルを軽減するために、病院の精神科で働く精神保健福祉士は常に患者の権利擁護の視点をもちながら、主治医・看護師・作業療法士などと連携して地域生活への移行に向けた支援を行います。

福祉施設・組織で働く精神保健福祉士の場合は、社会福祉士と同様に現場で当事者の支援・指導を行いながら、社会的バリアの軽減と安定した地域生活の実現を支えています。

行政機関で働くケースでは、法律に基づく各種支援事業や関連手続き、関係機関のコーディネート、地域での普及啓蒙活動なども業務のうちです。司法施設では、「社会復帰調整官」「精神保健参与員」として働く道があります。

社会福祉士と精神保健福祉士の共通点・違い

社会福祉士と精神保健福祉士には、多くの共通点があります。一方で、その支援対象範囲・対象者は異なります。両者の共通点と違いを簡単にまとめたものが、下表です。

【社会福祉士と精神保健福祉士の違い】

社会福祉士

精神保健福祉士

共通点
  • 業務独占の資格ではない(「社会福祉士/精神保健福祉士でなければ〇〇の業務ができない」ということはない
  • 名称独占の国家資格である(国家試験に合格し、登録しなければ、社会福祉士/精神保健福祉士を名乗れない)
  • 対象者の権利擁護を行う
  • 対象者とその家族を中心に支援を行う
  • インクルーシブな社会の実現を推進する
支援対象者の違い 社会生活で困難を抱える人々(高齢者・障害者・生活困窮者・児童など)とその家族 精神障害による困難を抱える人々(統合失調症や双極性障害、うつ病、認知症のある当事者)とその家族

精神保健福祉士は精神障害のある当事者とその家族に特化した専門家であり、社会福祉士は精神障害者も含む多様な社会的弱者に寄り添って支援を行う専門家となっています。

社会福祉士・精神保健福祉士のダブルライセンスとは

社会福祉士と精神保健福祉士は、ダブルライセンスの人が多く見られます。ダブルライセンスとは、2つの資格を両方取得すること。社会福祉士・精神保健福祉士の両方を持つことで、就職先や活躍できる現場の範囲を拡大することができます。

社会福祉士・精神保健福祉士のダブルライセンスが多い理由は、国家試験の科目の一部が共通しているからです。共通科目の試験日も同じため、同一年で社会福祉士・精神保健福祉士の両方を受験することもできます。

例えば2026年の試験では、以下のような日程で実施されました。

【2026年の社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験日程】

1月31日(午後) 2月1日(午前) 2月1日(午後)

精神保健福祉士 国家試験

社会福祉士 国家試験

専門科目(精神)

共通科目(精神・社会)

専門科目(社会)

同一年での社会福祉士・精神保健福祉士同時受験は、出願の際に所定の手続きを行うことで全国7カ所の試験会場において可能となります。

同時受験しない場合でも、すでに社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持っているなら、共通科目が免除され、専門科目のみで受験可能です。

【国家試験】社会福祉士・精神保健福祉士になるには?受験資格・実務経験の要否と科目一覧・合格率

1つずつ資格を取得するにせよ同時受験するにせよ、国家試験の受験には十分な準備が必要です。受験資格や試験科目、試験時間などの基本情報を確認して学習を進めましょう。同時受験する場合は、社会福祉士と精神保健福祉士で受験資格が異なる点にも気をつけてください。

社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の受験資格

社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験の主な受験資格。詳しくは、以下本文。

社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験受験資格は、学歴・職歴の有無によって異なります。主な違いは、相談援助実務経験の要否や養成施設での学習の要否です。これらの条件を満たすことで、国家試験の受験が可能となります。

【社会福祉士の受験資格】

学歴・職歴

相談援助の実務経験

養成施設での学習

福祉系大学 4年 指定科目履修済み 不要 不要
3年 1年
2年 2年
4年 基礎科目履修済み 不要 短期養成施設
(6か月以上)
3年 1年
2年 2年
福祉系以外の大学・短大 4年 不要 一般養成施設
(1年以上)
3年 1年
2年 2年
その他 相談援助実務の担当者 4年以上 短期養成施設
(6か月以上)
  • 児童福祉司
  • 身体障害者福祉司
  • 査察指導員
  • 知的障害者福祉司
  • 老人福祉指導主事
社会福祉主事養成機関で学んだ人

2年

 

【精神保健福祉士の受験資格】

学歴・職歴

相談援助の実務経験 養成施設での学習
保健福祉系大学 4年 指定科目履修済み 不要 不要
3年 1年
2年 2年
福祉系大学 4年 基礎科目履修済み 不要 短期養成施設
(6か月以上)
3年 1年
2年 2年

社会福祉士登録者

不要 短期養成施設
(6か月以上)

保健福祉/福祉系以外の大学・短大

4年 不要 一般養成施設
(1年以上)
3年 1年
2年 2年

その他

相談援助業務の担当者 4年以上

 

表にあるように、両資格には共通の受験資格が多く見られます。既に社会福祉士の資格を持っているなら、短期養成施設で6か月以上学習することにより、実務経験の年数にかかわらず精神保健福祉士の受験資格を得られます。

科目一覧(共通科目・専門科目)と試験日・試験時間

社会福祉士・精神保健福祉士の試験科目も、半分以上が共通しています。下表にまとめていますので、比較してみてください。

【社会福祉士・精神保健福祉士の試験科目一覧(2026年)】

精神保健福祉士 国家試験

社会福祉士 国家試験

専門科目(精神)

共通科目(精神・社会)

専門科目(社会)

  • 精神医学と精神医療
  • 現代の精神保健の課題と支援
  • 精神保健福祉の原理
  • ソーシャルワークの理論と方法(専門)
  • 精神障害リハビリテーション論
  • 精神保健福祉制度論
  • 医学概論
  • 心理学と心理的支援
  • 社会学と社会システム
  • 社会福祉の原理と政策
  • 社会保障
  • 権利擁護を支える法制度
  • 地域福祉と包括的支援体制
  • 障害者福祉
  • 刑事司法と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職
  • ソーシャルワークの理論と方法
  • 社会福祉調査の基礎
  • 高齢者福祉
  • 児童・家庭福祉
  • 貧困に対する支援
  • 保健医療と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
  • ソーシャルワークの理論と方法(専門)
  • 福祉サービスの組織と経営

試験日程は、精神保健福祉士の場合は2日間、社会福祉士の場合は1日間です。2026年の試験日と時間は以下のようになりました。

【2026年の社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験日程】

1月31日(午後) 2月1日(午前) 2月1日(午後)

精神保健福祉士 国家試験

社会福祉士 国家試験

専門科目 1時間30分
(14:00〜15:30)

共通科目 2時間20分
(10:00〜12:20)

専門科目 1時間25分
(14:10〜15:35)

社会福祉士・精神保健福祉士を同時受験する場合は、1日目の午後から2日の午後まで試験を受けることになります。

なお、試験時間については、弱視等受験者は1.3倍、点字等受験者は1.5倍に延長されます。

合格率と合格点の基準、0点を取ってはいけない科目群

社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験の合格率は、精神保健福祉士のほうがやや高くなっています。合格点は「総得点の60%程度を基準に、問題の難易度で補正」という基準で共通しています。

両資格の2026年の受験者数・合格者数・合格率は、下表の通りです。

【社会福祉士・精神保健福祉士の受験者数・合格者数・合格率・合格点(2026年)】

社会福祉士 精神保健福祉士
受験者数 2万5,430人 7,107人
合格者数 1万5,438人 5,558人
合格率 60.7% 78.2%
合格点 50/129点

(特定科目群で0点がない)

62/132点
(特定科目群で0点がない)

 

0点を取ると不合格になる科目群は、それぞれ以下のようになっています。

 

【社会福祉士・精神保健福祉士で0点を取ると不合格になる科目群(2026年)】

社会福祉士 国家試験 精神保健福祉士 国家試験
  • 医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
  • 社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
  • 地域福祉と包括的支援態勢、障害者福祉、刑事司法と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎
  • 高齢者福祉、児童・家庭福祉、貧困に対する支援、保健医療と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、福祉サービスの組織と経営
  • 精神医学と精神医療
  • 現代の精神保健の課題と支援
  • 精神保健福祉の原理
  • ソーシャルワークの理論と方法(専門)
  • 精神障害リハビリテーション論、精神保健福祉制度論
  • 医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
  • 社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
  • 地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎

社会福祉士の合格率は従来30%程度でした。しかし、社会福祉士のニーズが社会で高まっていることを背景に出題傾向が変わり、2024年試験から60%前後となっています。精神保健福祉士についても2022年試験では合格率が60%台でしたが、2023年試験から70%台まで上昇しました。

働きながら資格を取るには?実習免除の条件

働きながら通信学習で社会福祉士・精神保健福祉士の資格取得を目指す場合の一般的なルートおよび実習免除ルートの図。詳しくは、以下本文。

社会福祉士・精神保健福祉士の取得を検討する際、「働きながら取得できないだろうか」と考える人は多いようです。結論からいえば、通信教育を利用することで取得しやすくなります。ただし、1つ重要な注意点があります。

社会福祉士であれば福祉系大学、精神保健福祉士であれば保健福祉系大学の卒業者でない限り、一般養成施設または短期養成施設で学習しなければなりません。これには、実習への参加が含まれます。実習は、福祉施設の現場で約1か月間、実際に支援業務に参加するというものです。

通信教育で学ぶ人でも、土日を中心に開催されるスクーリングと約1か月間の実習には参加する必要があります。要件を満たす施設と時間数での実習が求められますので、「本業の都合を優先して、特定曜日だけ参加する」「特定の時間だけ実習に参加する」といったスケジュール調整は困難です。

そのため、基本的には養成施設入学前に職場と交渉し、1か月間の実習に参加できるよう休暇取得の了解を得ることになります。

ただ、既に相談援助業務などに1年以上従事している人の場合は、実習が免除されます。社会福祉士の実習免除と精神保健福祉士の実習免除の要件はやや異なりますが、目安として、指定の相談援助業務で1日6時間・週5日以上となる勤務を1年以上続けていれば、実習免除の要件を満たせるでしょう。具体的な条件は、養成施設にお問い合わせください。

社会福祉士も精神保健福祉士も、支援対象者の権利を擁護し、現場で寄り添った支援を担う専門家です。その高い知識・スキル習得のためにも、養成施設入学前から家族や職場と調整を進め、集中して勉強できる環境を整えていきましょう。

【参考・データ出典】

【写真・イラスト素材提供】
EKAKI/ PIXTA(ピクスタ)
kabu / PIXTA(ピクスタ)

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