2026/03/04
障害者雇用促進へ!障害者トライアル雇用・チャレンジ雇用とは?
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障害者雇用の法定雇用率が2.5%に引き上げられました。前年には民間企業全体で法定雇用率達成となりましたが、引き上げにより再び達成企業の割合が大きく減少。半数以上の企業が法定雇用率を達成できず、「1人不足企業」や「0人雇用企業」の問題も残ったままとなっています。
障害者雇用を進めるには、どのような支援制度を活用すればよいのでしょうか。答えの1つが、障害者トライアル雇用とチャレンジ雇用の活用です。

「やらないとわからない」障害者雇用
2025年の障害者雇用状況の集計結果によれば、法定雇用率を達成できなかった企業の割合は54.0%。未達成企業数は6万5,033社あり、そのうち64.0%が「障害者をあと1人雇用すれば法定雇用率を達成できる企業(1人不足企業)」、57.3%が「1人も障害者を雇用していない企業(0人雇用企業)」でした。
民間企業全体の実雇用率は2.41%で、法定雇用率(2.5%)を下回っています。
法定雇用率を達成していない企業の数は、例年、全体の約半数を占めています。障害者雇用が進まない主な理由の1つは、企業側のノウハウ不足です。
障害者雇用を促進するには、障害の種類や内容、それによって生じる困りごとについての知識と理解が欠かせません。これらを学べる研修・セミナーは国や自治体などの公的機関も実施してきました。しかし、座学だけで障害者雇用の現場に必要な支援ができるようになるわけではなく、結局は「やらないとわからない」という現実があります。
障害者雇用に慣れていない企業には「やらないとわからない」ことで二の足を踏み、「わからないからやらない」という消極的な姿勢を見せるケースが少なくありません。障害者雇用代行ビジネスなどの外部事業者に丸投げしてしまい、わからない部分を放置して実雇用率という数字だけを上げるケースも見られます。これでは、障害者雇用促進法の理念であるインクルージョンの実現にはつながりません。
こうした課題を解決するため、国は障害者雇用を後押しする「障害者トライアル雇用」や「チャレンジ雇用」を推進しています。
障害者トライアル雇用(以下、トライアル雇用)は、民間企業が利用できる障害者の有期雇用制度。チャレンジ雇用は、省庁や自治体で障害者を雇用して業務経験を積んでもらい、その後は民間企業での雇用につなげる制度です。
障害者トライアル雇用とは?制度の仕組みと助成金の条件
トライアル雇用は、民間企業が障害者を“試しに”雇用してみる制度です。ハローワークや民間の職業紹介事業者等から紹介を受け、有期で障害者を雇用します。条件を満たせば、助成金も受給可能です。
トライアル雇用とは

トライアル雇用は、障害者雇用のノウハウが不足している事業主のために、原則として3か月という短い期間で障害者を試しに雇用する制度です。障害者雇用のきっかけづくりを目的として開始されました。雇用する障害者がテレワーク勤務をする場合や、精神障害者である場合は、トライアル雇用期間が長くなります。
【トライアル雇用の雇用期間】
| 労働者(障害者) | 雇用期間 |
| 精神障害者 | 6か月以上12か月以内 |
| テレワーク勤務の障害者 | 3か月以上6か月以内 |
| その他の障害者 | 3か月 |
トライアル雇用期間の中で、
- どのような業務に適性があるのか
- どのような働き方であれば安定して勤務できるのか
といったことを確認し、環境を整備していきます。労働条件は、労働基準法などの労働関連法に基づいて定めなければなりません。
トライアル雇用は障害者の試用期間ですが、8割以上の障害者が期間終了後も継続して雇用されています。
トライアル雇用と継続雇用の流れ

トライアル雇用を行うには、まず求人をハローワークに提出。求人の条件に合致し、トライアル雇用で働くことを希望する障害者がいれば紹介を受けられます。紹介された障害者に対して企業は選考面接を行い、双方で雇用について合意ができれば採用します。
トライアル雇用を開始したら、2週間以内に「実施計画書」を作成し、対象障害者を紹介したハローワークに提出しなければなりません。雇用契約書などの労働条件が確認できる書類も添えましょう。
雇用期間中は、企業内の支援者や外部支援機関と連携しながら、業務の切り出し・割り当て・環境調整・体調管理の支援などを実施。全てを社内の人員だけで解決しようとせず、ジョブコーチなどの専門スキルをもつ支援者を頼ることが成功のポイントです。
トライアル雇用期間が終わりに近づいたら、継続雇用へ移行するかどうかを判断しましょう。本人と会社側で継続雇用への移行要件を確認し、要件を満たす場合は継続雇用の手続きを進めます。要件に合わない場合は、トライアル雇用期間が満了となり、雇用が終わります。
トライアル雇用には、助成金も用意されています。助成金の申請期間は、トライアル雇用終了日の翌日から2か月以内。事業所を管轄するハローワークまたは労働局に必要書類を提出してください。
トライアル雇用助成金の要件と支給額
トライアル雇用を対象とする助成金「トライアル雇用助成金」には、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」があります。
支給対象者と支給額は、下表の通りです。いずれもトライアル雇用の終了後に支給されます。
【トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)】
| 支給対象 | トライアル雇用を行った事業主
|
| 労働者の条件 |
|
| 助成額 |
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【トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)】
| 支給対象 | トライアル雇用を行った事業主
|
| 労働者の条件 |
|
| 助成額 |
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以上の要件は、2026年1月現在のものですので、詳しい要件や最新情報は、都道府県労働局やハローワークの担当窓口にお問い合わせください。
チャレンジ雇用制度とは?公的機関の職員から民間企業での雇用へ

トライアル雇用にも大きな不安を感じる場合は、チャレンジ雇用で働いた経験がある障害者を雇用する選択肢もあります。
チャレンジ雇用とは、1年以内の期間を単位として、各省庁や自治体において障害者を会計年度任用職員に採用する制度。雇用期間は1年〜3年程度であり、チャレンジ雇用期間満了後は、ハローワーク等を通じて対象障害者の民間企業への就職につなげていきます。
チャレンジ雇用制度が始まったのは2008年度から。2007年12月に障害者施策推進本部において「重点施策実施5か年計画」が決定し、実施されてからは対象障害者の範囲が拡大されてきました。
チャレンジ雇用の流れは、概ね以下のようになっています。
【チャレンジ雇用の流れ】
- 各省庁・自治体で受け入れ準備を行い、人材を募集する
- 選考面接で障害者を採用する
- 就業前実習で業務や働き方の調整を行い、勤務時間・業務内容・合理的配慮の内容などを決める
- 障害者の就業を開始する
- 必要に応じてジョブコーチによる支援を受け、業務や環境の調整を行いながら、障害者本人の能力を高めていく
- チャレンジ雇用期間終了半年前を目安に、人事担当者・本人・ジョブコーチの三者面談を行い、チャレンジ雇用期間の更新を行うか、民間企業等への就職を目指すかを決定する
- 一般企業等への就職を目指す場合、ハローワークを通じて就職先を検討する(各省庁・自治体は、就職活動のための業務・労働時間の調整などを行う)
厚生労働省の労働基準局では、2026年度任用職員として、新聞・郵便物の受取・仕分け・配布やシュレッダー業務といった事務補助業務の担当者をチャレンジ雇用で募集。労働時間は週5日・9時〜17時45分というフルタイム勤務です。
現場では、本人の希望に沿った「育成計画」を作成し、ステップアップを支援しています。厚生労働省が実施した「令和6年度実施状況の点検」では、担当する業務の範囲を広げたいと回答した者のうち、67.3%が実際に担当業務が広がったと回答しました。
チャレンジ雇用では、ジョブコーチによる支援を受けることが前提ですので、1年以上働いてきた障害者は、職場でのコミュニケーションスキルや業務内容・環境の調整対する協力的姿勢を養ってきたと考えてよいでしょう。基本的な業務遂行スキルと安定した勤務の実績があるという点で、障害者を初めて雇用する企業にとって心強い存在です。
民間企業に求められる障害者雇用の「最初の1人」
「ノウハウがないから障害者雇用を進められない」
「障害者雇用をしていないから、ノウハウがない」
このような悪循環を断ち切るには、まずはトライアル雇用やチャレンジ雇用を活用して「最初の1人」を雇用してみることが重要です。ジョブコーチを代表とする外部支援機関のサポートを受ければ、障害者を雇用しながら知識・ノウハウも蓄積できるでしょう。
当マガジンを運営する「ルミノーゾ」も、就労移行支援・就労定着支援の一環として、障害者雇用に関するご相談をお受けしています。
障害者の就労に関する様々な社会的リソースを活用しながら、誰もが安心して働ける職場づくりを進めていきましょう。
【参考】


