2023/03/02
アビリンピック過去問題|第19回東京(2020)ホームページ
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コロナ禍で本大会中止となった2020年度の東京アビリンピックは、「第41回 全国障害者技能競技大会出場候補選手選考会」として、開会式・閉会式を実施しない選考会の形式で実施されました。今大会における「ホームページ」の課題テーマは、「新型コロナウイルス対策における社内での取り組み」です。
競技種目「ホームページ」の概要と評価ポイント
アビリンピックの競技種目である「ホームページ」は、指定されたテーマと仕様に基づき、ウェブサイトを制作するスキルを競う種目です。テーマに合ったデザインやコンテンツを考えるとともに、高齢者や障害者でも閲覧・選択しやすいよう、アクセシビリティに配慮したサイトづくりが求められます。課題テーマとして開催地や時事問題が選ばれやすいことが、特徴のひとつです。
作品の評価は、以下の基準で行われます。
<「ホームページ」の評価ポイントと配点>
- 技術力(アクセシビリティを含む) 50点満点
- 芸術性 30点満点
- 独創性 20点満点
「ホームページ」競技全体の流れと制限時間
競技種目「ホームページ」には、大会前に作成する事前課題と、大会当日に作成する当日課題があります。
競技の採点対象は当日課題の範囲のみが原則。だたし、同点の作品がある場合は、事前課題の範囲も考慮されることもあります。
当日は制限時間があるため、事前にホームページの土台をしっかり作っておくことが大切です。
事前課題の準備と制作
大会前に公表される事前課題には、必ず取り組まなければなりません。テーマについてどのくらい調査できたか、それらの情報をサイトのコンテンツとして、いかに見やすく配置できるかを検討しましょう。
事前課題で制作されたホームページは、当日に提出する作品の質に大きな影響を与えます。当日の評価対象外の部分であっても、分かりやすく魅力的になるように、しっかり作っておきましょう。
事前課題制作から当日課題開始までの流れは、概ね以下のとおりです。
<大会前に事前課題と当日までの準備>
- サンプルコンテンツを制作する
- 作成したホームページを事前課題提出用CD/DVDに保存する
- 当日に使うツールや素材を別のCD/DVDに入れる(1枚のみ)
事前課題の提出方法、競技本番での導入方法などは、各大会のルールをよく確認してください。
2020年度東京大会では、事前課題を保存したCD/DVDに選手の氏名を記入し、競技本番でそのまま利用、競技後に当日課題とともに事前課題のCD/DVDも提出するという流れでした。
大会当日の流れと制限時間
大会当日に取り組む課題は、事前課題で作成した作品に修正・改善・追加を施すという内容です。具体的な内容は当日にならないと分かりません。ただ、事前課題の中に「課題例」が記載されています。例年、この課題例から、あるいは類似する内容から本番の課題が出される傾向が見られます。
当日の制限時間は90分と短めです。何をどのくらいの時間で行うか、見通しを立てておきましょう。
<大会当日の競技の流れ>
- 前課題作品のCD/DVDとツール・素材を入れたCD/DVDを持参する
- 競技開始前に機器等の動作確認を行う
- 競技会場で説明と当日課題の配付を受ける
- 「始め」の合図で競技開始(途中休憩なし)
- 事前課題の作品をPCにコピーする
- 必要に応じて用意した素材をPCにコピーする
- 当日課題に取り組む
- 「やめ」の合図で競技終了
- 当日の作品と事前課題の作品を指定の方法で提出する
なお、当日持参できるCD/DVDは2枚です。1枚には事前課題を保存し、もう1枚には競技本番で使いたいツールや素材を保存します。
当日にCD/DVDで持ち込んで利用できるツール、素材としては、以下のものが認められています。
<持ち込み可能なツール・素材>
- ツールとして認められるもの
- ソース編集や画像編集のためのエディターやツール
- XAMPPなど
※使用可能か不安な場合は事前に事務局に問い合わせる
- 素材
- アイコン
- イラスト
- 写真
なお、ツールについては、市販品のDreamWeaverのようなホームページ作成専用ソフトの使用は認められていません。素材については、知的財産権を侵害しないよう、フリー素材か自分で作成した素材を利用するとよいでしょう(他の人が作成したフリー素材でない素材は、使用許可を得る)。
「ホームページ」の事前課題の概要
2020年度大会での事前課題は、以下のような架空の設定に従って、数ページで構成されるホームページを作成することでした。
<制作すべき作品の架空設定とテーマ>
- 選手が所属する企業で、「新型コロナウイルス COVID-19」に関わる対応として、「企業における社内対策」を情報開示することになった
- 情報開示は既存サイトで行う
- テーマ:新型コロナウイルス対策における社内での取り組み
- 「持続可能な社会の実現として企業の経済活動が継続推進することを目指す」という視点で作成する
- 感染症に関連した対応について、情報発信を行う
– どのような点に注意しているか
– 具体的にどのような対応策を行っているか - 今後も警戒体制が長引くことや、他の感染症などによる危機も考慮して制作する
– 今回影響のあった情報を収集・整理・分析して、課題解決やリスク対策に活用したい
– 社員のひとりひとりができる対策も取り上げる
<事前課題におけるホームページの構成>
- 「トップページ」(index.htmlとする、phpでも可)…既存サイトに追加する形を想定して作成
- タイトル:「新型コロナウイルスにおける社内での取り組み」
- 項目:
– 「勤務形態」
– 「感染拡大予防策」
- 「お知らせ」…社内対応を公開するためのページ
- タイトル:「社内で新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応」
- 項目:
– 「従業員の健康状態確認と休業指示」
– 「濃厚接触者となった従業員の把握と社内対応」
– 「従業員に感染者が出たことの公表」 - 感染者について公表しない項目
– 「氏名」
– 「国籍」
– 「住んでいる市区町村」
– 「職業」
– 「基礎疾患」 - 画像を入れるなどして、レイアウトを見やすくする
- 閲覧・選択しやすいよう配慮する
- 作品の紹介…どのような考えでこのホームページを作成したか説明するためのページ
事前課題は、出場する選手が自分の力で作り上げる必要があります。事前のリサーチや素材の用意、レイアウトなど、「今大会のために新しく自分で作る」という原則を守って制作しましょう。その他、以下の仕様も守ってください。
<事前課題作品の仕様等>
- ソースコードを見やすく記述する
- 動画・画像・音楽・文章等はオリジナルのものを使い、他人の知的財産権を侵害しない
- JavaScript、PHP、SQLは使用可
- XAMPPなどの開発も可
- Flashは使用不可
- 市販のホームページ作成専用ソフトの使用は不可
- 障害のある方でも閲覧できるようアクセシビリティに配慮する
「ホームページ」大会当日課題の概要
大会当日は、事前に作成したホームページに修正・改善・追加等を行った新バージョンのホームページを作成します。
2020年度東京大会の当日課題は、以下のとおり。事前課題で提示された課題例と比較して見てみましょう。
事前課題における課題例 | 当日課題での内容 |
社内での取り組みとして「リモートワーク対応」「退院後の対応」の項目を追加する | トップページに掲載したトピックの項目に『リモートワークの対応』と『退院後の対応』を追加し、各項目の対応例を時系列に明記する |
スマートフォンのページをサンプルとして制作する | ― |
役立つ情報をすばやく検索できるよう、検索フォームを適切な場所に設置する | ホームページ内の情報をゲストがすぐに閲覧できるような『サイト内検索フォーム(検索機能)』を設置する。「検索ボタン」は分かりやすい表示になるよう工夫する |
問い合わせフォームを追加する | 「お問い合わせ」のフォームページを追加する |
この他、以下の点への対応も求められました。
- 事前課題で作成したコンテンツは旧バージョンとして閲覧できるよう残しておく
- 旧バージョンをコピーして、当日課題内容を反映させた新バージョンを制作する
- 新旧の両方のバージョンを「作品の説明」ページからリンクする
- 「作品の説明」ページに、新たな要件(リクエスト)に対して、何をどのように修正・改善・追加したのか、ポイントを箇条書きで書いておく
作品提出については、DVD-RWに保存して提出します。同時に、競技で使用したPCでも閲覧できる状態にしておきましょう。