「よこはま夢工房 長者町」でチョコ作りイベント開催!障害者が安心して長く働けるお菓子工房


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2月8日、パラリンアートで理事を務める中山秀征さんをゲストに迎え、「よこはま夢工房 長者町」でバレンタインに向けたチョコ作りイベントが開催されました。「よこはま夢工房」はパーソルグループの特例子会社であるパーソルサンクス株式会社が工房を運営しています。多くの障害者が焼き菓子製造を担い、「安心して長く働ける」ことを大切にしています。現場で働く小島さん、シュドーズさん、そしてマネージャーの加藤さんにお話をうかがいました。


画像提供:パーソルサンクス株式会社

「よこはま夢工房 長者町」でホワイトチョコのタブレット作りに挑戦!

2023年2月8日、パーソルサンクス株式会社(2023年4月1日から「パーソルダイバース株式会社」)の「よこはま夢工房 長者町」(神奈川県横浜市)において、パラリンアートの理事を務める中山秀征さんを招いたチョコレート作りイベントが開催されました。パーソルサンクスは総合人材サービスのパーソルホールディングス株式会社のグループ傘下で障害者雇用を担う特例子会社です。

ゲストの中山さんは結婚25周年となる奥様へプレゼントする特別なバレンタインチョコレートを作ります。作業前の挨拶では
「一番嬉しいのは、(障害をもつ方々が作ったお菓子を)提供して『おいしい』と評価してもらえることだと思います。そのために、その場所があることが素晴らしいと常々思っております」
「今日体験される方も自分の中で、これならできるぞと、これが好きだということを一つまた発見して帰っていただければ、また違う明日が待っていると思います」
と語りました。

体験イベントで作るのは、板状のチョコレート「タブレットショコラ」。フィアンティーヌというクレープ生地をパリパリに焼いたものを加えたホワイトチョコレートが配られ、参加者がその上にナッツやクッキー、「よこすか・みうら岬工房 大矢部」(神奈川県横須賀市)で製造されたドライフルーツを飾る「トッピング」を行います。


チョコレート作りイベントの様子
撮影:編集部

中山さんのチョコ作りは、同じく工房で働く小島顕さんがサポート。特別にアイシングで「25」と書かれたクッキーとメッセージカードも用意されました。メッセージカードは、「よこはま夢工房」で働くとともにパラリンアートでも活躍する丹野滋生さんの作品です。


カードを制作した丹野さん(左)、完成したチョコレートとカードを手にする中山さん(右)
画像提供:パーソルサンクス株式会社

フィアンティーヌが加えられたホワイトチョコは、「軽い食感で美味しい」「食べやすい」と参加者からも評判。工房では、バレンタインデー用として400枚のタブレットショコラを製造したとのことです。

「よこはま夢工房 長者町」は2022年12月に開所した新工房で、社員のおよそ9割が障害をもっています。姉妹工房である「よこはま夢工房 浦舟」「よこはま夢工房 睦町」ではクッキーを中心に製造し、長者町ではマドレーヌを製造するとのこと。製造されたお菓子は基本的にパーソルグループ内のノベルティとして使われますが、浦舟工房の近くにある南区役所では、週に1回、一般販売もあります。それぞれの工房の従業員数は、以下のとおりです。

「よこはま夢工房」の従業員数

浦舟 睦町 長者町 合計
設立 2006年

6月1日

2019年

12月1日

2022年

12月1日

163名

(135名)

社員数 86名

(71名)

49名

(44名)

28名

(20名)

※2023年1月1日現在 ※( )は障害者の人数

 

イベント終了後、当編集部は「よこはま夢工房」の社員の方にインタビューを実施しました。ここからは、工房でお菓子作りを担当している小島顕さん、現場でサポートを行っているシュドーズ真理子さん、よこはま夢工房の責任者である加藤洋平さんのお話をお届けします。

お菓子製造メンバーの小島さん「自分の当番の仕事をしっかりやる」


イベントの進行・サポートを行う小島さん(左)、シュドーズさん(右)
撮影:編集部

——お菓子の製造メンバーとして働く小島さんと、現場で製造の支援をされているシュドーズさんにお尋ねします。まず小島さん、本日の体験イベントで、中山さんのトッピングをサポートしていらっしゃいました。中山さんのタブレットショコラはいかがでしたか?

小島さん(以下、小島) すごくハートのクッキー(のトッピング)がいいです。置く場所がいい感じに決まりました。

——最近は、工房でどのようなお菓子を作っていますか?

シュドーズさん(以下、シュドーズ) 今の時期は、春のイベント用クッキーを作っています。
小島 桜のミルクティーのクッキーを作っていました。
シュドーズ 桜のスノーボールも作りましたね。
小島 はい、やりました。結構注文もいっぱいです。

——これまでのお仕事の中で、嬉しかったことや楽しかったことは、ありましたか?

小島 はい、ありました。いろんなクッキーが作れるのが、嬉しかったです。報告、連絡、相談する人がいて、褒められて嬉しいこともありました。

シュドーズ たくさんございます。たとえば、メンバーが苦手なことを克服したときです。小島さんの場合ですと、すごく上手にやるんですけれども、新しいことが苦手で、「うーん」となってしまうことが多くありました。でも、今日こうやってイベントに来てくれたりして、だんだん「好きだ」「楽しい」と言っていきいきしている姿を見られて、私もすごく楽しいなと思います。


撮影:編集部

——逆に、「これはすごく大変だった」ということは?

小島 いろいろ注文が多くて大変です。本社からの指示や注文が、すごく多くて。(でも、)皆と力を合わせてやれば、終わると思いました。

シュドーズ 私はパティシエの経験はあるんですが、福祉の経験がほとんどなくて。「こういうふうに言えば伝わりやすいのかな」というのを試行錯誤でやってきたところがあります。私の指示が不十分で伝わらなかった時は、「言い方を変えてみよう」「書いてみよう」などやってきました。最初の頃は、そういった点で難しいところがありました。

——普段のお仕事の中で気をつけていることは、何ですか?

小島 自分の当番の仕事をしっかりやることです。「あか当番」「ピンク当番」「トイレ掃除当番」とかもあります。「あか当番」は、ミキシング班に生地を取りにいく当番です。新しい生地が来たら、それを記録します。「ピンク当番」は、消毒などの当番です。触ったものを消毒して拭いたり、廃棄用の生地を量ったりしています。竹串も包んで捨てます。

シュドーズ 私は商品開発のお仕事をすることも多いんですが、そのときに、メンバーが主役になれるような商品を心がけています。「こういうのをやってみようかな」というのを一度メンバーにやってみせてもらいます。かかる時間、本当にできるのかどうかを見せてもらうときに、メンバーから「こっちのほうが可愛い」「これがやりにくい」と言われることがあります。やりにくい場合は、別の方法を考えます。メンバーの意見を聞くことは、かなり多いです。大まかに考えておいて、メンバーの技術に合っているか、簡単すぎないか、作れる量かなどを検討しています。


撮影:編集部

——1日のお仕事は、どのようなスケジュールで進みますか?

シュドーズ 小島さんが所属する成型班の1日についてお答えします。成型班は、型を抜いたりアイシングや細工物をしたりする班です。まず、朝9:00から朝礼を行います。そのあと、午前中はその日に焼くクッキーの型抜きをします。クッキーの種類は前日に決められていて、たとえば小島さんなら「お花のクッキー、500個」です。各メンバーの担当分が紙に書かれていて、それをメンバーが自分で確認して作っていきます。途中で10分休憩があります。

シュドーズ お昼休みは1時間あります。午後は、翌日の準備や、そのあとに使うクッキーの製造を行います。それも割り当てが大体決まっていて、小島さんであれば「小さい菊型のクッキーを700枚抜いてください」という指示が出ているので、その作業を行います。渦巻きクッキーの渦巻きを作るという少し難しい作業を行うこともあります。作業スピードはメンバーによって違うため、割り当てが終わらない場合は、成型班全員で協力しあって終わらせていきます。

——午後のお仕事が終わると、その日の業務は終わりですか?

シュドーズ そうですね、午後の仕事は16:00で終わります。その前の15:30くらいから清掃や記録を行います。成型班では、清掃が終わったあと、自分でつくったクッキーの数、自分が使った生地の量、残った生地の量を自分で記録します。こうした記録の仕事に10〜15分かかります。きちんと数えていないと、どんどん合わなくなってきてしまうので、大事なお仕事かもしれないですね。

小島 そうです。

シュドーズ 清掃と記録のあとは、終礼のようなものがあります。「今日は忙しかったですね」「明日はこういうお仕事が入っています」など、あとは注意することなどを連絡して終わりです。

——もしよければでいいのですが、お休みの日の過ごし方を教えてください。

小島 店の品出しのお手伝いをしたり、片付けたりとかしています。おばあちゃんの家に行っているので、代わりにやっています。おばあちゃんの飼っているワンちゃんを散歩させたりもしています。それと、床のゴミの掃除、ゴミの整理とかもしています。

シュドーズ 結構田舎に住んでいるので、市場に行ったり直売所で野菜を買って調理をしたりしています。クッキーを作ることは、あまりないかもしれないです(笑)。料理をすることが、かなりリフレッシュになります。

マネージャー加藤さん「安心して長く働ける職場に」


よこはま夢工房の事業を説明する加藤さん
撮影:編集部

——「よこはま夢工房」さんについてお尋ねします。開所にあたり、地域とどのような協力・連携を行いましたか?

加藤さん(以下、加藤) 「よこはま夢工房」では焼き菓子製造を行っておりますので、たとえば衛生面などでご支援をいただきました。浦舟と睦町の2つの工房は横浜市南区、長者町は中区にあります。それぞれの食品衛生課の方に相談し、私達の事業を理解してもらいました。障害者雇用で言えば、横浜市内の特別支援学校や就労移行支援事業所の方に説明会や見学に参加いただいています。新しい方をご紹介いただいて実習に来ていただくこともありました。17年間、横浜市内でやってきて、見えない部分でもいろいろなつながりがあります。

——お菓子の製造以外の業務には、どのような業務がありますか?

加藤 たとえば、洗濯班というものがあります。普段、製造の中で着る白衣や使用する布巾などを洗濯し、乾かし、アイロンがけをして、皆が次の日に気持ちよく着られるようにハンガーにかける。間接的に製造を支える縁の下の力持ちの班です。清掃もあります。実習や見学で皆さんがお帰りになったあと、部屋やテーブルを清掃・消毒し、靴棚などをほうきやちりとりを使って土・ほこりを出す仕事です。あとは、庶務的な仕事もあります。

——庶務的な仕事では、具体的にどのような業務がありますか?

加藤 事務系の業務でルーチンワークと言われるものをやっていただく仕事を2023年1月から徐々に作ってきました。名札を作ったり、販売で使うPOPを作成したり、個人情報等が入らない入力業務を行ったりしています。今後は、製造の中で手書きした上で入力・集計しているものも庶務の方にデータ入力してもらうことを考えています。

——業務の割り振りは、どのように決めていますか?

加藤 採用段階で「採用実習」をやります。得手不得手の中で得意な部分にフォーカスを当て、「この工房のどの仕事に当てはまって、一生懸命頑張ってもらえるか、今後さらに伸びていくか」ということを考えてやっています。配属後の業務については、班の仕事の中でどこが得意かを見ながら、割り振りを行います。ただ、杓子定規に決めると可能性を狭めてしまうので、ペースや特性を見ながら徐々にチャレンジしもらうところ、もう少し頑張ってもらうところ、と配分をしていきます。

シュドーズ 長く働いてもらうこと、得意な分野で活躍してもらうことを考えて、どこが一番その人に合うかを見ています。


撮影:編集部

——業務との相性はどのくらいで見えてきますか?

加藤 人によりますね。実習は週5日を2回やります。しかし、実際に班の中で全ての業務をやってみて、人との関わり、手先を使うことが得意か、口頭での指示で分かるのか、図や文字のほうが分かるのかなどは実習だけでは分かりません。入社後に「こんな得意なこともあったのか」ということもあります。3カ月や半年やっていく中で見えてくる感じかと思います。

シュドーズ そうですね、3カ月はかかると思います。

——製造メンバーのスキルアップという観点ではいかがですか?

加藤 私達の捉え方では、業務が広がったりレベルアップしたりすることだけでなく、「今やれていることが、明日もきちんとできる」「安定してできる」ということも、その方にとってのスキルアップです。工房には定着支援担当のスタッフもいます。何かが起きたときに、「何が原因なのか」について、実際に製造を支援するスタッフとともに組織として対応しています。いかに安心して、安定して長く働いてもらえるかに力を入れています。


撮影:編集部

——イベントの中で体験実習についてお話をされていました。どのくらいの頻度で、どのような方を対象に実施していらっしゃいますか?

加藤 体験実習は、特別支援学校の高2生、高3生を対象に毎週実施しています。高3生は新卒入社、高2生は就職活動の1年前の体験です。高2で「クッキー作り、面白そうだな」と思って、就職活動で「また夢工房でやってみたい」となっていただけると嬉しいです。就労移行支援にいらした方もお迎えするケースがたくさんあります。企業からの見学についても随時受け入れています。ただ、コロナ禍ということもありますし実習もありますので、人数やスケジュール調整をした上で、いらしていただいています。

——就労移行支援から特例子会社に就職を考えている場合、どのような準備をしておくとよいですか?

加藤 身の回りのことを自分でできる、自分なりの表現で困っていることや意思を伝えることができる、という点は最も重要です。それ以外では、金銭面やSNSの使い方、社会人として、他の人に攻撃的にならないような伝え方、受け取り方を練習していただければと思います。そうした点で引っ張られてしまうと、仕事がおぼつかない状況になり、落ち着かなくて二次的、三次的に課題が拡大してしまうことがあります。就労移行支援で練習していただき、就職後も支援事業所にサポートしていただけるとよいです。会社から伝わりにくいことでも、語り手を変えて支援事業所の方から伝えていただくことで、ご本人に入っていきやすい場合があります。

——工房全体として、今後の方向性はどのようにお考えですか?

加藤 今働いているメンバーの皆さんが、安心して長く働けること、これを長く継続することです。その中に、少しチャレンジの機会があって、去年よりも今年、あるいは「5年経ってみたら、少しできることが増えたね」と感じられる工房にしていきたいと思います。主役はメンバーです。その上で、食を扱う会社として「安全」という部分を外さず、きちんとお客様にお届けする、そこに長く携わることですね。中山さんがおっしゃってくださったように、お届けした方から「いいよね」と返ってきて、その声がメンバーに伝わって、「今やっていることが、誰かに喜んでもらえるんだ」と感じてもらって、「また頑張ろう」という。このサイクルが回っていく会社にしたいと思っています。

「まず体験してみる」の一歩から「皆の力になる」へ

最後に、インタビューに答えていただいた小島さん、シュドーズさん、加藤さんに、「これから働きたい」と考えている方への応援メッセージをいただきました。

小島さん
私の場合、自分ができることをやって、仕事をしたいと思います。皆の力になりたいです。

加藤さん
働くって、最初は誰しも不安があるものです。やってみて気がつくことがあるので、「まず体験してみる」「何かに行ってみる」ということを進めてほしいなと思います。そうすると、「あ、意外に自分、できるのか」と感じたり、得意と思っていなかったことを他の人から評価されたり。それって、嬉しいじゃないですか。少しチャレンジすることで、可能性が広がると思っています。

シュドーズさん
加藤さんと同じです。やる前にいろいろ決めつけずに、一歩踏み出していただければと思います。

 

職業体験や実習、今回のイベントのように、実際に仕事を始める前に挑戦してみる場は意外と多く見つかります。「ちょっと気になるかも」と感じたときは、ぜひ足を運んでみてください。自分の中の新しい一面が見えてくるかもしれません。


撮影:編集部

【取材協力】
パーソルサンクス株式会社 よこはま夢工房 長者町

【参考】
よこはま夢工房 長者町開所のニュースリリース
丹野滋生さん|パラリンアート

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