2022/09/06
アビリンピック過去問題|第40回全国(2020)ホームページ
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アビリンピック競技種目のうち、競技本番前に一定程度の課題制作が求められるのが「ホームページ」です。2020年度全国アビリンピックでは、観光農園をテーマとしたホームページ制作を出題。施設のバリアフリーなどの情報発信を行うととに、障害者の社会参加という視点が重視される内容でした。
もくじ
2020年度の「ホームページ」のテーマは観光農園のPR! ブログ形式での情報発信、問い合わせフォーム作成など
アビリンピック競技種目「ホームページ」は、ホームページを制作する技術とともにデザインや情報設計、文章構成力なども求められる競技です。事前に指定された約3ページの内容でサンプルサイトを制作し、競技本番ではそれを改良して提出します。
今大会の出題テーマは「観光農園」というテーマパークのPRで、10名の選手が競技に参加。金賞受賞者は出なかったものの、銀賞を2名、銅賞を1名が受賞しました。
「ホームページ」の制限時間・評価ポイント
競技種目「ホームページ」の大会当日の制限時間は3時間です。2020年度全国大会では13時30分〜16時30分で実施されました。
主な評価ポイントは、大会当日の競技時間内に制作した項目を対象とする以下の7点となっています。
<「ホームページ」の主な評価ポイント>
- 課題の最低限の仕様を満たしている
- 他人に見られることを前提にHTMLソースを記述している
- 課題の仕様に対して適切な技術を用いている
- 課題の要件を適切に理解して制作している
- ウェブアクセシビリティに配慮している
- 作品にユニークさがある
- 閲覧者を惹きつけるデザインになっている
なお、当日課題で同点となるケースが生じた場合は、評価にあたって事前課題が参照されることもありますので、事前課題からしっかり取り組みましょう。
大会での講評によれば、参加者のレベルは毎年アップしており、より高いスキルが求められるようになりました。ホームページ制作の技術はもとより、閲覧者にとってわかりやすく、かつ適切な情報を得られるような作品制作が高く評価されています。
「ホームページ」の事前課題の概要
参加選手は、まず大会前に「事前課題」に取り組む必要があります。例年、事前課題では指定された3ページからなるサンプルサイトと、どういった提案を行っているかを説明するプレゼンページを制作しなければなりません。
今大会における「ホームページ」の課題内容は、観光農園をテーマとしたホームページ制作です。想定するクライアントは、観光農園の利用者が増えてきたため、より魅力をPRできるホームページへのリニューアルを希望しているという設定。閲覧者は、地方観光をしたい観光客、観光農園を視察したい自治体や農業団体、観光農園で働きたい人の3者が想定されています。
今大会で具体的に求められたのは、次のような内容です。
<サイト全体の要件>
- スマホでも閲覧できるものにする
- 写真などを多用して魅力を紹介する
- 障害がある方々の就労を積極的に進め、農福連携の観光農園として県外から視察を受け入れていることを伝える
- 使用できる技術はHTML、CSS、JavaScriptで、これ以外のFlashやCMSなどは不可
<事前課題で制作するサンプルページ>
ページの名称 | ファイル名 | 内容 |
トップページ | index.html | サイトのトップページ |
観光農園施設紹介ページ | about.html | 園内の各施設を紹介
直売所やレストラン、体験施設があることが分かる |
生産物紹介ページ | list.html | 園内で生産している物の紹介
野菜・果物を生産していることが分かる |
<事前課題で制作するプレゼンページ>
ページの名称 | ファイル名 | 内容 |
プレゼンページ | sample.html
sample2.html … |
提案事項を整理・説明
複数ページ制作可 フッターに選手が所属する都道府県名と氏名を記述 |
サイトの中で使用する画像やテキストなどは、選手が自分で用意しなければなりません。特に知的財産権を侵害しないように気をつけましょう。
「ホームページ」の当日課題の概要
大会当日は、事前課題をもとにしつつ当日課題の指示に基づいてホームページを改良していきます。今大会では以下のA課題とB課題が出題されました。
<当日課題の概要>
課題名 | 内容 |
A課題 | ブログ形式で、以下の情報を発信する
・月ごとの観光農園のイベント情報 ・月ごとのレストランの新メニュー トップページにスライダーを設け、上記2つのPR情報へ誘導する |
B課題 | 施設紹介でバリアフリーへの配慮を紹介する
・各施設に多目的トイレがある ・補助犬入園に配慮している 施設見学の申し込みフォームを設置する ・実際の送信機能は実装不要 ・必要な項目は、以下の6項目 1)団体名(会社名) 2)住所 3)ご担当者連絡先 (部署名、氏名、TEL、E-mailアドレス) 4)視察希望日(年月日) (第1希望、第2希望) 5)視察人数 6)その他自由記入欄 |
以上の内容で制作したら、会場で支給されるUSBメモリーに保存して提出します。
会場下見でやること、当日使えるもの
競技種目「ホームページ」では、競技本番の前日に選手が会場下見を行い、本番で使う機器類の動作確認や設定を行います。効率的に作業をすすめやすくするための環境設定の変更や機器の配置調整なども可能です。
障害特性に応じた補助具等の導入も、原則としてこの日に行うことになっています(事前に許可が必要)。
さらに、競技本番で使う事前課題の作品を競技用PCで閲覧・編集できるようインストールおよび環境設定も行いましょう。
競技本番で使えるシステムやソフトウェアは、以下のとおりです。
<競技本番で使えるもの>
項目 | 名称など |
パソコン | OS: Windows 10 |
テキストエディタ | TeraPad |
ブラウザソフト | Google Chrome
Fire Fox Microsoft Internet Explorer 11以上 |
グラフィックソフト | Adobe Illustrator CC
Adobe Photoshop CC |
画像閲覧ソフト | XnView、Bridge |
ウェブ制作ソフト | Adobe Dreamweaver CC |
事前課題のCD/DVD | 事前課題
事前課題で使用していないHTML/CSS、スクリプト、利用方法のメモ、素材等の参照(市販品の素材は不可) |
市販の参考書1冊 | 選手が必要に応じて持ち込にOK
(メモやノート、個人所有のUSBメモリー等の記憶媒体は持ち込み禁止) |
ウェブアクセシビリティは観光庁「バリアフリー情報発信の手引」を参考に
「ホームページ」では、視覚障害や聴覚障害等をもつ方々、高齢の方なども利用しやすいサイトづくりも評価対象です。特に前大会では「バリアフリー情報発信」を明確に指定した課題が出され、具体的にどのような点を意識するかを説明したマニュアルが提示されました。
今後、情報のバリアフリー化はいっそう求められます。「ホームページ」の課題に取り組むにあたっては、サイトの制作スキル向上とともに、ぜひバリアフリー情報発信にも力を入れたいところ。2019年度大会で示されたマニュアルは観光庁が公開しているものですので、今後の作品制作や練習にぜひご活用ください。
より詳しく知りたい方には、情報通信研究機構(NICT)の公式サイトも参考になります。
【参考】
アビリンピック 公式サイト
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)|JEED