2022/01/13
アビリンピック過去問題|第39回全国(2019)機械CAD・建築CAD
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製造や建築で必要とされるCADの技能を競うアビリンピック競技種目に「機械CAD」と「建築CAD」があります。いずれも支給される図面をきちんと読み、規格や指示に従って作図できることが最も重要な種目。一方で、効率よく作業を進めないと時間内に完成させることが難しいのも特徴です。
2019年大会の課題内容については、機械CADでは作図する機械や課題の順序の記載等に変更が見られ、建築物CADでは建物の1階がクリニックに変更されました。
もくじ
競技種目「機械CAD」課題内容
競技種目「機械CAD」では、3次元CADツールを用いて機械の図面を作成します。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能で、2019年全国大会には5名の選手がエントリーしました。
2019年全国大会の課題内容は、「スターリングエンジン」の3次元部品モデルの作成と部品図、組立図などを作図すること。2018年大会や2017年大会で課題となったものとは異なるため、大会前に公表される事前課題をよく確認し、スターリングエンジンがどのようなものかを理解しておかなければなりません。
競技時間と2019年全国大会での変更点
「機械CAD」の競技時間は、3時間10分です。作業時間は90分ずつ前半と後半に分かれており、間に10分間の休憩時間があります。2019年大会では9時〜12時10分に実施されました。
<「機械CAD」の競技時間>
- 前半の作業時間:90分
- 休憩:10分
- 後半の作業時間:90分
課題については、例年通り3つを出題。しかし、各課題の内容にやや変更が見られ、2019年大会では支給される課題図Aや課題図Bと同じ図面を作成することが求められました。
<2019年大会「機械CAD」の課題概要>
- 課題1:課題図Aと同じ3次元部品モデルを作成し、課題図Aと同じ部品図を作成する
- 課題2:部品モデルのアセンブリ作業を行い、課題図Bと同じ組立図を作成する
- 課題3:軸測投影法による組立図と立体分解図を作成する
なお、課題1と課題2は事前公開されますが、課題3の具体的内容は当日にならないと分かりません。
各課題における指示事項は以下のようになっています。
<「機械CAD」課題1の指示事項>
- スターリングエンジンの課題図A・課題図Bを読図し、課題図Aと同じ3次元部品モデルを作成する
- 3次元部品モデルから課題図Aと同じ部品図を作成する
- 寸法が記入されていない箇所は、課題図Aからスケールで測定するか、他から類推して作図する
- 表題欄は課題図から写し取る
<「機械CAD」課題2の指示事項>
- 課題1で作成した部品モデルと配布される部品モデルのアセンブリ作業を行う
- 課題図Bと同じ組立図を作成する
- 表題欄・部品欄は課題図から写し取る
<「機械CAD」課題3の指示事項>※当日公表
- 軸測投影法による組立図と立体分解図を作成する
- 表題欄の作成は不要
「機械CAD」の会場下見と選手が持参できるもの・会場で準備されるもの
「機械CAD」は、課題の一部(課題1と課題2)を事前公開する「競技課題A」が公表される課題です。競技課題Aには会場下見や当日選手が持参するもの、会場に準備されるもの、使えるCADシステムなどが記載されています。
使用するCADシステムの決定と会場下見(競技前日)
「機械CAD」の競技本番で使用できるCADシステムは、「SolidWorks」か「Inventor」です。本番でどちらを使うのかは大会前に調査が行われ、その後に変更することはできません。
会場下見では、線種・文字・表面性状・幾何公差等に関する図示記号の登録・確認作業を行います。このとき、事前に作成した図記号や線種などの設定をUSBメモリに保存して持ち込むことも可能です。図面作成で使用する輪郭線や中心マークの作図やテストプリントなども行います。
選手が持参できるもの・会場で準備されるもの
2019年大会における選手が持参できるもの・会場で準備されているものでは、2018年大会からの変更はありませんでした。
競技本番で使えるCADシステムは、
- Windows 10
- Inventor 2018またはSolidWorks 教育版 2017-2018
となっています。
課題の詳細については、以下の関連記事をご参照ください。
(関連記事)
アビリンピック過去問題|第38回全国(2018)機械CAD・建築CAD
競技種目「建築CAD」課題内容と変更点
競技種目「建築CAD」は、支給される課題図を読んで建物の構造を把握し、3次元CADで建築基本設計図を作成する種目です。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能で、2019年大会では3名の選手がエントリーしました。
2019年大会の課題は、RC造3階建て集合住宅の100分の1の図面作成で、全体としては2018年大会と同じ。ただし、1階部分がクリニックに変更されています。作図するのは、各階平面図、南立面図、断面図です。
利用できるCADシステムは、2018年大会同様にAutoCADとJW-CAD。ただし、それぞれのバージョンが変更されました。
<2019年全国大会の競技本番で利用できるCADシステム>
- Windows 10
- AutoCAD 2018
- JW-CAD(Version 8.10b)
課題の指示事項に関しては、以下のような変更点が見られます。
<2019年大会「建築CAD」課題の指示の変更点>
- 文字の高さ
- 図面名:5mm
- 室名・通り番号・FL:3.5mm
上記以外の部分については、2018年大会の課題内容、指示とほぼ同じです。詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
(関連記事)
アビリンピック過去問題|第38回全国(2018)機械CAD・建築CAD
「建築CAD」の会場下見と当日の制限時間
「建築CAD」でも、前日の会場下見で競技本番に向けた具体的な作業が行われます。大会までにCADシステムを利用した効率的な図面作成を練習するだけでなく、大会前日の下見にも必ず出席しましょう。
競技課題Aと会場下見
「建築CAD」も競技課題Aが事前に公表され、実際の図面や建具表以外の部分を知ることができます。競技課題Aにある指示事項をよく読むとともに、線の太さや文字の大きさ、ISOやJISに規定された図面表現などの確認が必須です。
それらの線種や寸法、文字などの設定は、「建築CAD」の会場下見で行います。重要な作業ですので、必ず会場下見に参加しましょう。
<「建築CAD」会場下見で行うこと>
- 図面枠指示書を用いて図面枠を作成
- システムの動作確認
- CADシステムの設定(レイヤー・線種・寸法・ツールバー・文字・環境設定)
- 建築設備リスト図形ファイルの確認
「建築CAD」の制限時間と競技のポイント
「建築CAD」の制限時間は、3時間30分。2019年全国大会では、13時30分〜17時に実施されました。
<「建築CAD」の制限時間>
- 制限時間:3時間30分
全体会同様、短い時間で複数の図面を作成しなければなりません。そのため、「建築CAD」種目の重要ポイントは以下のようになります。
<「建築CAD」のポイント>
- 建築と製図規則の知識を使って複数の資料内容を図面にまとめる
- 建築CADシステムの機能を有効活用し、作図時間を短縮する
- 各階平面図・断面図・その他資料をもとに、寸法等を算出して南立面図を作成する
2018年大会では、時間内に図面を描き終えられた選手は全体の6割のみ。2019年大会では、金賞・銀賞の受賞者はなく、銅賞2名のみの受賞となりました。全体的に課題の難易度が高く、普段からどれだけCADシステムを使っているか、どれだけ図面を読んでいるかが競技の成績に影響してきます。
実際に配布された建具表や図面などは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公式ページでご確認ください。(過去3年分のみ)