民生委員とは何か|民生委員法に基づき給与なしで活動する人々


聞いたことはあるけど活動内容までは知らない人も多い「民生委員」。民生委員は、無報酬で地域の人と人・専門機関・行政をつなぐ特別職の地方公務員です。新型コロナウイルス感染症で外出自粛が続く地域では、電話やメール、SNS等を使った活動が続けられています。

毎年5月は「民生委員の日」と「活動強化週間」の月

「民生委員」という人々を知っていますか?

毎年5月12日は「民生委員の日」。12日からの1週間は民生委員の「活動強化週間」です。毎年、民生委員が一堂に会して情報交換を行う集会やポスターやチラシを用いた広報活動などが行われてきました。

核家族や単身での生活が増えた現代日本では人と人のつながりが希薄になり、近所に誰が暮らしているか知らないということも珍しくありません。そんな中で、民生委員は地域の人と人・専門機関・行政をつなぐ役割を果たしています。

民生委員は地域の見守り役

民生委員は、地域住民の生活状況について把握し、必要に応じて声かけ・相談・支援等を行う人々。その地域の住民であり、地域の実情を知っていて福祉活動・ボランティア活動などに理解と熱意がある人が選任されています。

全ての民生委員が児童委員を兼任しており、妊娠や子育ての相談・支援もOK。「公平・公正」「人権への配慮」を原則として守秘義務もあるため、相談内容を勝手に他人に漏らされる心配もありません。具体的な支援を行うだけでなく、生活上の相談にのったり行政・専門機関からの支援を受けるためのパイプ役にもなってくれたりもします。

現在、民生委員が支援するのは高齢者が多く、障害者の相談・支援は1割ほどでしかありません。しかし、東京都品川区や渋谷区のように民生委員が障害者福祉担当窓口や関係機関と連携して活動する地域、板橋区や小金井市のように災害時要配慮者対策事業の一環として障害者手帳保持者を訪問しどのような支援が必要か調査を行っている地域もあります。

民生委員法とは? 身分・給与・任期、全国に何人いるの?

民生委員は、民生委員法によって身分・給与・任期等が定められています。法律でどのように規定されているのか、民生委員法の一部を見てみましょう。

民生委員の身分、求められる姿勢と給与

民生委員は、厚生労働大臣から委嘱される特別職の地方公務員です。民生委員法によれば、民生委員は次のような姿勢で職務にあたらなければならないとされています。

  • 社会福祉の精神をもっている(第1条)
  • 常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行う(第1条)
  • 福祉事務所等関係行政機関の業務に協力するなど、社会福祉の増進に努める(第1条)
  • 個人の人格を尊重し、平等に対応する(第15条)

全ての民生委員は、民生委員法第10条の規定により、給与なしで活動しています。支給されるのは、交通費等の活動に必要な実費のみです。

民生委員の選出と任期、活動している人数

民生委員の選出は、まず町会や自治会、PTAなどによる推薦から始まります。退任する民生委員が後任を提案し検討する場合もあります。

そうした推薦や提案をもとに、都道府県知事が市町村長の意見を聞いて選出。選出された人は、厚生労働大臣から委嘱されて民生委員となります。

民生委員の任期は3年で、3年に1度、全国で一斉改選が行われます。改選と言っても再任も多く、3年以上活動を続けている民生委員は珍しくありません。実際、2016年度の一斉改選では約7割が再任でした。

2018年3月末の時点で、全国で23万2,041の民生委員が活動しています。

直近の一斉改選は2019年12月。民生委員の多くが60代以上という高齢化が進む中で、若い人を増やそうという動きも盛んになっています。

民生委員の仕事は7つ

民生委員の職務については、民生委員法第14条に規定されています。仕事の内容は大きく分けて7つ。それぞれの概要と実例を見てみましょう。

社会調査

「社会調査」とは、担当している地域の住民の実態や、どのような福祉が必要かを常に把握することです。調査方法はさまざまで、たとえば配食サービスに協力したり、声かけや安否確認を定期的に行ったりすることで、日常的に地域の状況を把握している例があります。

相談

民生委員による「相談」では、地域住民が抱えるさまざまな課題について、相談者の立場にたって親身に相談にのります。

たとえば、定期的に行政機関からリストを受け取って支援が必要と思われる世帯を訪問して見守り活動を続けたり、地域住民の話から支援が必要な人を見つけて対応したりするなどがあります。具体的な支援の相談だけでなく、日々の生活での悩み事や不安を聞いてもらうことも可能です。

連絡通報

情報提供に関連し、地域住民がそれぞれに必要な福祉サービスを受けられるよう関係機関・施設・団体等に連絡し、必要な対応を促すのが「連絡通報」。

民生委員の情報提供と連絡通報のおかげで、福祉サービスや支援を受けられるようになったという例は多く見られます。相談者からお礼を言われ、民生委員の方々も「やっててよかった!」と感じることの多い職務だそうです。

調整

「調整」は、地域住民の福祉ニーズに対応したサービスが受けられるよう支援する活動。

従来の制度にないことでもニーズが高いサービスを受けられるように、社会福祉協議会の事業やボランティア活動の利用をすすめるなどしています。

生活支援

「生活支援」は、地域住民が必要とする生活支援活動を民生委員自身が行ったり、支援体制をつくったりすることです。

実例としては、ゴミ出しのアドバイスや病院への同行、薬の服用の確認など。1人での留守番に不安のある世帯については、家族が外出しなければならない時に民生委員が留守番の見守りをするといった活動例もありました。

意見具申

「意見具申」は、民生委員が日々の活動を通して感じた問題点や改善策を提起する仕事です。

民生委員それぞれが考える問題点や改善策をとりまとめ、関係機関に提示することで、支援を必要とする人々に適切なサービスが届きやすくなると期待されています。

【参考】
民生委員・児童委員に関するQ&A|厚生労働省
民児協活動検索結果(障害者)|都民連

新型コロナウイルス感染症拡大防止策と民生委員の活動

民生委員の活動は、人に会って相談を受けたり連絡したりするものが多いのが実状です。そのため、2020年の「活動強化週間」では、大規模集会の取りやめや対面での相談を控えるなど、従来の方法を変更する必要がありました。

コロナ禍での活動の原則

このコロナ禍で民生委員が活動を続けるにあたり、何よりも民生委員一人ひとりが感染しないことを最優先に行動することが強調されました。そのため、コロナ禍での民生委員の活動は、以下の原則に基づいて行われています。

  • 少しでも体調に不安のある場合は活動に参加しない
  • 緊急性や必要性からみて対面でなければならない場合以外は、電話・メール・SNS等を使って活動する
  • 訪問する場合は前後に電話をかけ、玄関先にメッセージを置いて対面をさけるか、対面する場合はマスクを着用して一定の距離をおく
  • 飲食を伴う活動は避け、健康づくりや交流会等は中止する
  • 大人数による会議・研修会・イベント・飲食が伴う会合は、延期や文書審議に変更したり時間を短縮したりする
  • 3密(密閉・密集・密接)を避ける
  • 咳エチケットを守り、手洗いを励行する
  • 見守りや声かけをしている世帯については、必要に応じて関係機関に連絡し、地域の支援ネットワークを活用する

民生委員に相談するには?

地域の民生委員が誰かを知りたい場合は、「民生委員 ○○市」などで検索すると、民生委員の氏名や連絡先のリストが見つかります。

もし連絡先が分からない場合は、市役所等の担当窓口に問い合わせてみましょう。東京都町田市の場合は福祉総務課、神奈川県相模原市の場合は生活福祉課が窓口です。

今は対面での相談は難しいかもしれませんが、電話やメールなら大丈夫。日常生活で困っていること、心配なこと、支援が必要だと感じることなどがあれば、民生委員の方々への相談も考えてみるとよいでしょう。

【参考】
民生委員・児童委員活動における新型コロナウイルス感染拡大防止等のための当面の留意点について(周知依頼)|厚生労働省
会長メッセージ (新型コロナウイルス「緊急事態宣言」の全国拡大を受けて)|全国民生委員児童委員連合会
会長メッセージ (「人と人をつなぐ私たちの強さ」)|全国民生委員児童委員連合会

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