健康経営への注力、特例子会社での合理的配慮と環境整備—TOTOの障害者雇用施策


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ウォシュレットなどの人気商品をもつTOTOグループ。健康経営で長年評価されており、2019年に国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟するなど、障害者の活躍推進にも意欲的に取り組んでいます。
今回は、TOTOの健康経営と障害者雇用における取り組みをご紹介します。

TOTOの健康経営「健康経営銘柄」「ホワイト500」など外部評価多数

水回りの商品・サービスと聞いて、TOTOグループ(以下、TOTO)を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。TOTOは 健康経営でも知られており、国内外から高い評価を受けています。

直近では、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄 2023」、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人 2023(ホワイト500)」に選ばれました。健康経営銘柄は今回で8回目、ホワイト500は今回で7年連続の認定です。

TOTOの連結従業員数は2022年3月時点で3万6,853名、国内に46拠点、国外に39拠点を持っています。こうした多様な「人財」が安心して働けること、社員とその家族に、長く充実した社会生活を過ごしてもらうことを目指してきました。

健康経営の施策は、会社・健康保険組合・UNION(労働組合)が連携して行っています。年代や役職など、「健康リテラシー」の向上を重視し、それぞれの属性に応じた施策も実施。悩みに合わせて取り組みやすいものを提示すること、正しい知識を得て活用する力など、多角的な視点で従業員の健康をサポートしています。

TOTOのバリアフリーと障害者雇用の取り組み

TOTOは、2019年12月に障害者の活躍推進を目的とする国際イニシアチブ「The Valuable 500」(以下、V500)に加盟。多くの人に使いやすい商品・サービスの提供とともに、障害の有無にかかわらず活躍できるノーマライゼーションを推進しています。

V500におけるTOTOのコミットメント

V500は、ビジネスや経済も含む障害者の活躍推進、インクルージョンを促進する国際イニシアチブ。2019年1月に発足しました。世界のビジネスリーダーが、障害者の社会参加とビジネスや経済などにおける潜在的な価値を発揮できるよう改革を起こすことを目的としています。TOTOは、同年12月に加盟しました。

V500への加盟にあたって、各リーダーは自社/グループで取り組む「コミットメント」を公表します。TOTOは、以下のようなコミットメントを発表しました。

  1. 1. 一人でも多くの人に使いやすい商品とサービスを提供するために、ユニバーサルデザイン商品の開発や、障がい者を含めた多様な方々に配慮したパブリックトイレの研究や提案などに取り組んでいます。
  2. 2. 多様な人財が集まり、安心して働くことができるように、障がい者と健常者がともに活躍できるノーマライゼーションを推進すると共に、職場環境の整備を行っています。
  3. 3. ユニバーサルデザイン活動、障がい者雇用促進を含めたダイバーシティー推進に関する情報を、統合報告書やWEBサイトなど様々な手段で積極的に発信しています。

出典:障がい者インクルージョン推進の国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟|TOTO

TOTOの新ユニバーサルデザイン5原則

コミットメントでは、ユニバーサルデザイン商品への言及が見られます。TOTOは、ユニバーサルデザインに関するそれまでの5つの原則を更新し、新ユニバーサルデザイン5原則を発表。以下のような内容となっています。

<TOTOの新ユニバーサルデザイン5原則>

  1. ラクにつかえる
  2. 操作しやすい
  3. ここちよい
  4. えらべる
  5. 安全で安心

出典:障がい者インクルージョン推進の国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟|TOTO

1つ目の「ラクにつかえる」は、使用者にとって無理な姿勢をとらずに動けたり姿勢をラクに保てたり、ラクに掃除できたりすること。2つ目の「操作しやすい」は、わかりやすい操作方法と、簡単に操作できることを表現しています。

3つ目の「ここちよい」には、2つの要素があります。使用環境に合わせて適切な温度や明るさなどに調整できること、そして、五感にやさしく、いつも気持ちよく使えることです。

4つ目の「えらべる」は、さまざまな人や使用条件に応じて選べること、変化にあわせて必要な機能を追加・選択できること。そして最後の5つ目「安全で安心」は、さまざまな人が安全に使えるよう配慮すること、万が一に備えた安心配慮があることを述べています。

TOTOの商品・サービスは、多くの方が利用するものです。障害のある方も無理なく、安全に使えるユニバーサル商品を届けるため、TOTOはこうした原則に基づいた開発・製造を行っています。

特例子会社サンアクアTOTOでの取り組み


画像出典:サンアクアTOTO株式会社 公式サイト

TOTOには、福岡県と北九州市、TOTOの共同出資による第三セクターとして設立された特例子会社、サンアクアTOTO株式会社(以下、サンアクアTOTO)があります。

当初は40名ほどの社員でスタートしましたが、設立30周年を迎えた2023年には従業員数145名にまで成長。このうち、93名が障害のある従業員です。もともと身体障害者の雇用人数が多かったものの、近年は知的障害者の雇用も増えました。精神障害や発達障害のある方も一定数働いています。

サンアクアTOTOの主な業務は、大きく分けて製造業務とオフィスサポート業務の2種類です。

製造業務では、水栓金具や給排水金具など約200種類の組立・梱包・検査を担当。「JIS B2061給水栓」の認証を取得し、高品質な製品を製造しています。人気商品のひとつである「エアインシャワー」も、組立から点検まですべて手作業です。

オフィスサポート業務では、DTPや印刷、点字名刺の作成、各種データ入力や書類の電子化、封入・発送業務に加えて、図面の作成も手掛けています。図面は、TOTO商品の補修部品を調べるための分解図、水栓商品の部品図、製品図などです。

製品の梱包やDTPでは、全国アビリンピックで入賞するなど、高い技術を誇ります。第41回全国アビリンピックでは、「製品パッキング」で銀賞を、「DTP」で努力賞を受賞しました。

サンアクアTOTOにおける合理的配慮と環境整備

サンアクアTOTOでは、障害のある多様な方が働いています。そのため、合理的配慮の好事例として、取り組みが紹介されることもありました。

例えば、

  • 車椅子や杖の使用者でも移動・動作がしやすい環境の整備
  • さまざまな高さの洗面台、個室ごとに設備が異なるトイレ

など、ユニークな合理的配慮や環境整備が実施されています。

概要のみではありますが、以下に取り組みの一例をご紹介しましょう。

TOTOの合理的配慮の例 

作業場 –   各自が自分の高さに合った作業台を作れる

–   車椅子のままで作業ができる

駐車場 –   カーポートが付いている

–   雨が多い時期でも傘を差さずに社員通用口まで移動できる

–   車から降りた後も他の車にぶつからずに移動できる広さがある

廊下 –   手すりを設置。全ての床の段差を解消
食堂 –   車椅子や杖の使用者が、ぶつからずに移動・着席できる広さがある

–   人工大理石製のテーブルにより、杖の使用者の身体を支えられる

–   椅子を設置していない車椅子専用スペースがある

洗面台 –   さまざまな高さの洗面台を設置している

–   車椅子利用者、身長の違いなど、自分に合った洗面台を使える

–   手すり付き洗面台もある

トイレ –   障害特性に合ったトイレを選べるよう、個室ごとに設備や配置が異なる

–   手すりや補助具も設置されている

休憩室 –   就業中の体調不良時に、一時的に休むことができる

–   ベッドの他、シャワールームも設置されている

TOTOの安全な職場環境の整備

通路 –   曲がり角でぶつからないよう、カーブミラーを設置している

–   車椅子利用者にも見えやすいよう、低めのカーブミラーも設置している

–   カーブミラーに視線が向くよう「通行注意!」の表示も設置している

天井と廊下 –   高い天井にすることで、火災発生時に天井の上部が煙だまりとなり、避難時間を稼げる

–   廊下の幅を3m確保し、車椅子や杖の使用者も余裕をもってすれ違える

安全確認 –   年に1回、安全担当部門の担当者、直属の上司、本人で確認する

–   障害の状態の変化、会社の施設の点検、車椅子や杖のメンテナンス状態の確認などを実施している

こうした働きやすい環境づくりにより、グループの障害者雇用率は、2015年以降、常に法定雇用率を上まわってきました。法定雇用率が2.0%であった2015年時点で、TOTOの障害者雇用率は2.54%。法定雇用率が2.3%となった現在も障害者雇用率2.58%となっています。

TOTOの社是・企業理念と主な事業


画像出典:TOTO公式サイト

最後に、TOTOの企業理念や主な事業を見ていきましょう。

TOTOの社是と企業理念

TOTOの社是は、以下のとおり。創立者の思想を伝える普遍的な思想として掲げられています。

愛業至誠
良品と均質
奉仕と信用
協力と発展

出典:グループ共有理念丨TOTO

社是に基づき、すべてのステークホルダーに対して、企業としての存在目的や事業領域、ありたい姿を示しているのが、グループの企業理念です。

TOTOグループ企業理念

私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します。
そのために
>水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化を創造します。
>さまざまな提案を通じ、お客様の期待以上の満足を追求します。
>たゆまぬ研究開発により、質の高い商品とサービスを提供します。
>限りある資源とエネルギーを大切にし、地球環境を守ります。
>一人ひとりの個性を尊重し、いきいきとした職場を実現します。

出典:グループ共有理念丨TOTO

お客様に高品質な商品とサービスを届けることで、水回りを中心とした生活文化の形成に貢献すると同時に、従業員の多様性を前提とした働きやすい職場づくりに取り組んでいることが分かります。

主な事業内容


出典:「TOTOグループ統合報告書2022」|TOTO

TOTOの主な事業は、日本住設事業、海外住設事業、新領域事業の3つに分けられます。

日本住設事業で手掛けるのは、日本において展開されるトイレ、システムバスルーム、システムキッチン、洗面化粧台など。2021年度の売上高は4,409億円で、全体の68%を占める主力事業となっています。

海外住設事業では、国外において温水洗浄便座ウォシュレット、便器、洗面器、水栓金具、浴槽などを展開。2021年度の売上高は1.740億円で、全体の27%を占めました。

新事業領域では、特にセラミック事業を展開しています。半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置分野で、高品質・高精密なセラミック商品を提供。半導体では、静電チャックを製造するほか、AD(エアロゾルデポジション)法によるセラミック膜を開発しました。FPDでは、画面の大型化に伴う部材の変化に対応し、金属よりも軽くて剛性が高いセラミックの部材を製造しています。

2021年度は、コロナ禍の影響で事業活動に制限がついたり、原材料の価格高騰や自然災害によるサプライチェーンへの影響があったりなど、思うような活動ができなかったといいます。しかし、社会全体で衛生や清潔に対する意識が高まったこと、リモートワークの普及で自宅環境改善に向けたリフォームの需要が高まったことなどを受け、2021年度の業績は過去最高を記録しました。

想定外の出来事が重なる中、TOTOでは、2030年と2050年に向けた目標を掲げた中・長期経営計画「新共通価値創造戦略 TOTO WILL 2030」を作成。同計画では、従来の細かな計画案から一転、長期的な目標を設定し、その目標に向けて社会の変化に応じた課題を解決していくという考え方にシフトしました。

2030年に「持続可能な社会」「きれいで快適・健康な暮らし」の実現を、2050年にカーボンニュートラルで持続可能な社会の実現を目指すとしています。

【参考】
「健康経営銘柄」に8回目の選定 合わせて「健康経営優良法人」として7年連続で選定|TOTO
「TOTOグループ統合報告書2022」および「TOTOグループ 財務・非財務データ集2023」|TOTO
障がい者インクルージョン推進の国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟|TOTO
サンアクアTOTO株式会社 公式サイト

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