「声をかけづらい」「助けを求めづらい」を解決するアプリとは?—大日本印刷の助けあいアプリ「May ii(メイアイ)」


ユニバーサルデザインや障害者雇用に積極的に取り組む大日本印刷株式会社(DNP)は、多様な人々が共生する社会の実現に意欲的に取り組んでいます。たとえば、同社開発のアプリ「May ii(メイアイ)」の提供やビジネスにおける障害者インクルージョンの推進などです。

「May ii」の提供や障害者インクルーシブに参加するDNPグループが実際にどのような取り組みを行い、どのように考えているのか、一緒に見ていきましょう。

助けあいアプリ「May ii(メイアイ)」が「ダイバーシティTOKYOアプリアワード」アプリ部門優秀賞など受賞

2019年7月、大日本印刷株式会社は、「移動に困って手助けを求める人」と「そうした人を手助けしたい人」をつなげるスマートフォン向けアプリ「DNPソーシャルアクションサービスMay ii(メイアイ)」の提供を開始しました。

同アプリは、街で移動に困っている人と手助けしたい人をマッチングし、助け合いのソリューションを提供するもの。手助けを通したコミュニケーションをきっかけとして、私たちの日常に潜むバリアに気づき、心のバリアも取り除いていくというコンセプトを持っています。

たとえば、車いす利用者が段差のため先に進めないとき。アプリでサポートがほしいことを伝えれば周囲の「サポーター」に伝わり、その時に手伝えるサポーターとマッチングされます。合流までの時間も分かり、合流の際はアプリの画面を見せ合うことで、確実に会えるよう工夫されています。

相手とのやり取りはすべてChatbot(自動応答のプログラム)が行うため、「ニックネーム」「年代」「性別」「位置情報(マッチングから対面までの間/最大30分間)」「保有資格」以外の情報は相手に伝わりません。

視覚障害などがあるため買い物を少し手伝ってほしい時や、荷物が重くて階段を上がれない時、道に迷ってしまった時など「本当にちょっとしたことだけど…」という場合でも利用OK。小さな助け合いが、多くの人の安心につながっています。

「May ii」の累計ダウンロードは2020年12月1日までに3万件を突破し、約1,000件のマッチングを実現。こうした取り組みが評価され、2020年2月に東京都「ダイバーシティTOKYO アプリアワード」アプリ部門で優秀賞を受賞。2020年12月には国の「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」で内閣府特命担当大臣表彰奨励賞を受賞しました。


出典:May ii公式サイト

<助け合いアプリ「May ii」の概要>

  • 利用対象者:満18歳以上
  • 端末の推奨環境:
     Android 6.0 以上
     iOS 11 以上
     (iPodTouchなどは対象外)
  • 利用可能時間:8時〜21時
  • 利用可能エリア:
     北海道 札幌駅周辺
     神奈川県 溝の口駅周辺
     神奈川県 登戸駅周辺
     神奈川県 武蔵小杉駅周辺
     神奈川県 新百合ヶ丘駅周辺
     神奈川県 川崎駅周辺
     東京都 23区
     徳島県 鳴門市
     徳島県 徳島市
     福岡県 博多駅周辺
     福岡県 天神駅周辺
  • アプリ公式サイト:May ii公式サイト

※利用可能時間やエリア、サービス提供状況などの最新情報は公式サイトなどでご確認ください。

【参考】
東京都が主催する「ダイバーシティTOKYO アプリアワード」のアプリ部門で優秀賞を受賞|DNP
「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」の内閣府特命担当大臣表彰奨励賞を受賞

DNPグループの障害者雇用とThe Valuable 500への参加

街の中での助け合いをサポートするDNPグループは、社内のダイバーシティ&インクルージョンにも意欲的に取り組んでいます。

DNPグループの障害者雇用では法定雇用率を達成

DNPグループの障害者雇用は以前からグループ各社で進められてきました。そして、2019年2月に「障がいを持つ方々が、安全安心にいきいきと働ける場」として「株式会社NDPビジネスパートナーズ」を設立。同年10月に特例子会社となり、2020年1月末時点で従業員20名のうち14名の障害者が働いています。

NDPビジネスパートナーズが担う業務は、グループ内の送付物関連業務や名刺印刷、食堂運営サポート、派遣社員の管理サポートなどです。

NDPビジネスパートナーズの社員には大日本印刷株式会社と同様の福利厚生があり、法律・住宅・メンタルヘルス・栄養・運動・特定保健指導などの各種相談が可能。スキルアップや資格取得等のサポートも受けることもできます。これらの取り組みにより、同グループでの2019年度の障害者実雇用率は2.26%で、法定雇用率達成となりました。

また、グループ会社のDNP四国では実雇用率4.2%を維持。施設・設備の設置・整備や障害特性に合わせた職域の創出、高い定着率などが評価され、2020年3月に徳島県から「障がい者雇用優良企業(団体)」として表彰されています。

【参考】
株式会社DNPビジネスパートナース
DNP四国 徳島県より「障がい者雇用優良企業(団体)」として表彰|DNP
CSRマネジメント|DNP

2020年、The Valuable 500 に参加

DNPグループは、ビジネスにおける障害者インクルージョンに賛同し、2020年7月にThe Valuable 500にも参加しています。

The Valuable 500への参加にあたっては具体的なコミットメントを表明する必要があります。DNPグループのコミットメントは、以下の3つでした。

大日本印刷(DNP)グループは、「DNPグループ行動規範」に「人類の尊厳と多様性の尊重」を掲げています。また2020年3月に制定した「DNPグループ人権方針」に基づき、障がい者も含めた社員全員がそれぞれの強みを掛け合わせ、社会の課題を解決するとともに人々の期待に応える新しい価値の創出を実現していきます。

1:障がい者一人ひとりが強みを活かして働ける多様な機会を提供します。
2:社員に研修を行い、インクルージョンへの理解を進め、誰もが活躍できる環境を構築します。
3:製品やサービスの開発に、障がい者など多様な人々に参画していただく「インクルーシブデザイン」を推進します。

社員一人ひとりの違いを尊重し、互いに受け入れ、その多様性を強みとして相互に掛け合わせることで、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する」という企業理念の実現に努めます。
——出典:障がい者の活躍推進に取り組む世界的な活動「The Valuable 500」に賛同|DNP

DNPグループは、2008年に製品・サービスにおける「ユニバーサルデザイン宣言」を発表しています。多くの人にとって利用しやすい製品・サービスをつくることを意識し、片手でも開けやすいパッケージや、多様な色覚の人々に対応できるカラーユニバーサルデザインなどに取り組んでいくという宣言です。

こうしたデザインを実現するには、商品開発への当事者の参加が欠かせません。さまざまな特性をもつ方が参加することは、より便利で使いやすい製品・サービス等の開発につながるでしょう。

【参考】
障がい者の活躍推進に取り組む世界的な活動「The Valuable 500」に賛同|DNP
DNP|The Valuable 500

DNPグループの企業理念と主な事業

DNPグループ全体の経営基本方針は、企業理念を中心として、「事業ビジョン」と「行動指針」で構成されています。また、同グループの行動規範や人権方針には障害者インクルージョンを支える重要な考え方も見られます。

DNPグループのこうした基本方針を見るとともに、実際にどのような事業を手掛けているのか、概観していきましょう。

企業理念・事業ビジョン・行動指針

DNPグループの企業理念は、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する」こと。これに基づき、事業ビジョンでは「P&Iイノベーション」による事業拡大を、行動指針では「対話と協働」を掲げています。

「P&I」とは印刷と情報のこと。両者の強みを掛け合わせて課題への解決策を講じるのが「P&Iイノベーション」です。

DNPグループは印刷を中心に手掛けてきましたが、印刷対象を紙だけでなく、金属やガラスにも拡大してきました。また、印刷用の版をつくる「写真製版技術」を応用し、液晶カラーフィルターや有機ELパネルの製造に使うマスクなどの主要部品を開発・提供しています。

同時に、生産工程へのデジタル技術を印刷業界の企業としていち早く導入。大量の文字や画像を高速処理するシステムの構築により、CD-ROMやDVD、ウェブサイトなどのデジタルメディアへと事業を拡げてきました。現在ではICカードなどのセキュリティ印刷やアプリ、ネットワーク関連のセキュリティ強化でも力を発揮しています。

こうしたさまざまな歴史や技術をもつDNPグループだからこそ、P&Iイノベーションの実現が可能。私たちが何気なく使っている商品や見慣れたパッケージも、実は「DNPグループが開発・提供するものだった」ということは意外と多いようです。今後も何か新しい製品・サービスが登場する時にDNPの名前を見るかもしれません。

【参考】
グループビジョン/行動規範|DNP
P&I Innovations|DNP

「DNPグループ行動規範」と「DNPグループ人権方針」

「DNPグループ行動規範」や「DNPグループ人権方針」は、障害者雇用やインクルーシブデザインの推進の基盤となる考え方を含んでいます。

たとえば、「DNPグループ行動規範」には「人類の尊厳と多様性の尊重」があり、「DNPグループ人権方針」には、事業活動を行う各国・地域における法令を遵守する(各国・地域の法令等と国際的な人権の原則に矛盾がある場合には、現地法を遵守しながら、国際的な人権の原則を尊重する方法を追求する)ことや、人権への負の影響を防止または軽減することに努めることなどが記載されています。

人々の尊厳と多様性を尊重し、さまざまな人が安心して共に生きていける社会づくりに貢献することが、DNPグループの製品・サービス開発やソリューションの提供において重視されていることが分かります。

【参考】
グループビジョン/行動規範|DNP
人権方針|DNP

主な事業

DNPグループでは出版以外にもさまざまな事業を手掛けています。

たとえばリチウムイオン電池用バッテリーパウチやディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクなどでは世界トップシェア。ICカードやPETボトル用無菌充填システム、建装材(床材・鋼板)は、国内トップシェアの製品・サービスです。


出典:会社案内|DNP

紙の書籍と電子書籍、リアル書店とネット書店を連動させる「honto」事業でも利用者が増加しており、会員600万人を突破。他にも、産学提携での観光事業におけるイノベーション、触れずに操作できて不要な時は透明になるという浮遊型ディスプレイなどの注目されている製品も多く見られます。

観光事業への取り組みで期待されるのは、映像コンテンツの充実やVRを利用した観光方法です。高い画質の映像を手軽に自宅でも楽しめるようになれば、外出が困難な人でも気軽に他の土地を擬似的に歩いたり、大自然の中に身を置くような臨場感を味わったりできるかもしれません。

非接触型ディスプレイでは、触れることに不安を覚える人や接触による操作が困難な人にとっても使いやすい装置の実現が期待されます。

現代社会の「これが欲しい」「これがあったら便利」に応じるDNPの製品・サービス・ソリューションは、「こういう解決策があったか」と思わせるような驚きも与えてくれるでしょう。

【参考】
ハイブリッド型総合書店「honto」会員600万人を突破!コロナ禍で入会者数が前年比50%増。感染状況に応じて 巣ごもり と リアル店舗 を使い分ける利用者が急増しハイブリッド型が再評価|PR TIMES
産学連携による『観光映像プロモーション機構』を設立|DNP
手をかざすだけで操作できるタッチレスAR透明浮遊ディスプレイを提供

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