2023/07/13
ソニー・太陽の高級ヘッドホンがVGP2023を受賞!—ソニーグループの特例子会社と障害者雇用
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プロの視点で選ばれるオーディオビジュアル機器のアワード「VGP2023」で、ソニーグループの特例子会社、ソニー・太陽株式会社が製造するヘッドホン「MDR-Z1R」が金賞を受賞しました。VGPにおいて今回で7年連続の受賞です。ソニーグループにおける障害者雇用の取り組みとともに、同グループの障害者活躍のポイントをご紹介します。
もくじ
障害者が製造するソニー・太陽株式会社の高級ヘッドホンがVGP2023を受賞
音元出版株式会社が主催する日本最大級のオーディオビジュアルアワード「VGP2023」で、ソニーグループの特例子会社、ソニー・太陽株式会社(以下、ソニー・太陽)が製造する高級ステレオヘッドホン「MDR-Z1R」が、密閉型オーバーヘッド型ヘッドホンとして金賞を受賞しました。同社が手がけるインイヤー型ヘッドホン「IER-Z1R」も「VGP2023」を受賞。それぞれ5年以上続けての受賞となります。
画像出典:MDR-Z1R | SONYIER-Z1R | SONY
ソニー・太陽の設立は、特例子会社制度が始まる以前の1981年。「太陽の家」との共同出資により大分県に設立されました。2021年2月時点で112名の障害者が働いています。
ソニー・太陽が担う業務は、主にマイクロホンやヘッドホンの設計・開発・製造です。他に、Webサイトの作成や技術情報管理なども手がけています。
同社の障害者雇用は、好事例としてこれまでに何度も紹介されてきました。
- 障害特性を補完するシステムや治工具を独自に開発して業務効率化を図る
- ユニバーサルな施設・設備を整備する
- 健康管理室や健康管理システムを用いて社員の体調管理をサポートする
など、多岐にわたる施策が高く評価されています。
社会貢献にも注力しており、2018年にはインクルーシブなワークショップが「障害者の生涯学習支援活動」にかかる文部科学大臣賞を受賞しました。特別支援学校や小中学生を対象とする、ものづくりやプログラムのワークショップです。障害のある社員が講師やスタッフとなって、運営、サポートしています。
ソニー・太陽の取り組みは、以下の関連記事でもご紹介しています。
(関連記事)
【合理的配慮好事例第17回】健康管理と強みを活かした仕事で成長を実感! JEED好事例で何回も受賞する会社の企業風土
ソニーグループの事務や清掃、福利厚生を特例子会社が担当・支援
ソニーグループには、ソニー希望・光株式会社(以下、ソニー希望・光)という特例子会社もあります。2002年に設立され、東京都と神奈川県に4つの事業所をもっています。
ソニー希望・光は、2019年に東京都「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」産業労働局長賞を受賞。2021年時点で101名の障害者が働いており、ダイバーシティに関する取り組みを評価する「PRIDE指標」のゴールドにも、2021年から3年連続で選ばれてきました。
ソニー希望・光の業務内容は、
- 清掃などのオフィス環境整備
- 名刺作成や郵便物等集配などの事務サポート
- 書類等のデジタルアーカイブ化
- 画像アノテーション業務
などです。知的障害者や精神障害者の雇用を進めており、社員一人ひとりの特性に合った職域を創出しています。
他に、ソニー生命の事務業務を担う特例子会社、ソニー生命ビジネスパートナーズ株式会社も2019年に設立。事務サポートを中心に業務を行う一方、建物の清掃・管理、福利厚生の運営・支援など幅広く活躍しています。
いずれの特例子会社もグループ企業に対して障害者採用に関するノウハウを共有しており、グループ全体における障害者雇用の中心的存在です。
2019年にV500へ参加、グループ全体でDE&Iを促進
ソニーグループは、2019年12月に障害者の潜在的な力をビジネス・社会・経済で発揮できるよう活動する国際イニシアティブ「The Valuable 500」に参加しました。現在、活動をリードする「Iconic Companies」の1社となっています。
ソニーグループでは、全社でDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進。社内だけでなく製品やサービスでも取り組みを進めてきました。
同グループが表明しているコミットメントは、以下のとおりです。
<ソニーグループのコミットメント>(概要)
- ダイバーシティステートメント
- 様々なビジネス分野での活動で多様な価値観を尊重し、新たにチャレンジする
- 健全な職場環境の整備と多様な人材の採用・育成・登用により、グループ全体でダイバーシティを推進する
- アクセシビリティと使いやすさ
- お客様の本質的なニーズを満たす製品やサービスを開発するため、国内外でユーザーリサーチを実施する
- 製品・サービスの設計代表者が集まり、UIの設計基準を定める
- 人間中心設計、アクセシビリティへの社員の理解を深めるため、専門家による講演会や研修講座を実施する
- 障害者雇用
- 障害のある方の雇用や支援について、事業を展開する国や地域の法令や規範を遵守する
- 障害の有無にかかわらずキャリア構築ができるインクルーシブな職場環境づくりを進める
- 小中学生に科学の楽しさを直接体験するワークショップを障害の有無にかかわらず提供する機会として、「インクルージョンワークショップ」を開催する
- ソニー・太陽とソニー希望・光における雇用ノウハウを日本のグループ各社、中国、タイ、マレーシアの工場に展開し、グローバルに障害者雇用を促進する
障害者の採用・処遇は新卒も中途も一般雇用と同じフィールドで
ソニーグループにおける障害者雇用は、「障害者枠」という形では実施されていません。全ての採用は、ソニーの人材理念「Special You, Diverse Sony」に基づき、異なる個性をもつ一人ひとりが独自のキャリアを築き、その個性や夢、挑戦、実現を支援し、個人とソニーがともに成長していくことを目指して、実施されています。
そのため、障害者の採用に関わる選考フローも、障害のない方と同じフィールドで行われます。障害の有無にかかわらず全ての職種にエントリー可能で、エントリー時に希望した職種での選考が基本。障害特性に応じた配慮が必要な場合は、プロフィールシートに記入したり、別途文書を用意したりして、申し出ることができます。
内定後は、配属面談によって実際の配属先を調整します。
- キャリアプラン
- 目標や夢
- 障害の内容
- 健康管理やサポート内容
などの要素を考慮し、職種を決定していくという流れです。
入社後も、人事評価基準やキャリア形成に関わる制度・支援に障害の有無は関係ありません。スキルアップでは、それぞれの役割に求められる能力が体系化されており、集合研修やe-ラーニングなどの仕組みで支援しています。
社員の自発的な学習を支援する施策もあり、講演会、社外研修に参加できるほか、2021年には国内グループ会社に学習プラットフォームも導入しました。学習プラットフォームには、自身の保有スキルなどを可視化し、学習コンテンツを推薦する機能があります。「必要な時に必要な学びが届く」システムです。
キャリア開発支援では、社内人材を公募する「社内募集」制度や、社員の社内兼業/副業を可能とする「キャリアプラス」制度を利用できます。特にキャリアプラスは、現在の仕事を継続したまま、公募した業務やプロジェクトに参加できるもの。社員それぞれの専門性をより広く活用できるシステムです。同時に、社内ネットワークの拡大にもつなげられます。
障害特性への配慮では、相談しやすい環境づくりやバリアフリーな職場づくりを進めてきました。現場の業務以外の相談、健康上の相談などについては、採用担当、人事担当、人事専門組織、産業医などにいつでも相談可能です。必要に応じて、配属される職場への事前説明も実施しています。
バリアフリーな職場づくりとしては、
- 車椅子対応の立体駐車場を設置する
- 段差のない出入口にする
- 通りやすい通路幅の確保する
- 床と什器の色を見分けやすい強めのコントラストにする
- 社屋に点字ブロックを施設する
などがあります。
2022年3月末時点での障害者雇用率は、ソニーグループ株式会社で2.87%、国内ソニーグループの平均で2.50%となり、法定雇用率を大きく上回りました。
ソニーの企業理念と主な事業
画像出典:事業・製品 | SONY
障害の有無にかかわらず社員それぞれの個性を重視し、会社全体の発展につなげるという考え方は、ソニーグループの理念にも掲げられています。主な事業とともに、ソニーグループの考え方や特徴を見ていきましょう。
ソニーグループのPurposeとValues
ソニーグループの理念は、「Purpose(存在意義)」として規定されています。Purposeの他に、「Values(価値観)」や「Identity(アイデンティティ)」も同グループの核を規定しています。その内容は、次のとおりです。
- Purpose(存在意義)
- クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
- Values(価値観)
- 夢と好奇心
– 夢と好奇心から、未来を拓く。 - 多様性
– 多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。 - 高潔さと誠実さ
– 倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。 - 持続可能性
– 規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。
- 夢と好奇心
- Identity(アイデンティティ)
- テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー
代表執行役会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏は、『SONY Corporate Report 2022 統合報告書』において、「『感動』と『人』を軸とした経営に一貫して取り組んできたことが、今の姿につながっています」と語りました。
ソニーグループの主な6事業
画像出典:SONY 『Corporate Report 2022 統合報告書2022』
ソニーグループで最近話題になったものといえば、ゲームシリーズの「アンチャーテッド」やアニメ「鬼滅の刃」でしょう。
「アンチャーテッド」は、臨場感あふれるロケーションや映画のようなアクション、個性豊かなキャラクターが魅力です。2022年には映画版も公開され、わずか4カ月の間にアメリカで1.4億USドル以上、世界で2.5億USドル以上の興行収入となりました。
他方、「鬼滅の刃」もアニメから一気に人気に火がつき、原作のコミックも含めて一大ブームに。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は歴代1位の興行収入を記録し、世界の累計来場者は4000万人以上、総興行収入は500億円以上に達しています。
こうしたゲームや映画を手がける事業は、ゲーム&ネットワークサービス事業と映画事業です。ゲーム&ネットワークサービス事業は、連結売上高および営業収入で4分の1を占め、世界有数のゲームエコシステムとして確立されています。「PS5」などのハードウェア、ソフトウェアの販売、ネットワークサービス、アドオンコンテンツが安定的な収益の伸長に貢献してきました。
映画事業は、ソニーの売上高の1割強を占める事業です。コロナ禍の影響で劇場の興行収入が減少したものの、独立系スタジオとしての地位を確立し、大ヒット映画作品や有料コンテンツIPを保有。劇場公開による収入以外に、デジタル配信やテレビライセンスよる収入も中長期的な収益を支えています。
ゲーム&ネットワークサービス事業と並んでソニーの核となっている事業は、エンタテインメント・テクノロジー&サービス事業です。連結売上高および営業収入の2割強を占める事業で、映像、音、通信に関する技術を背景とした付加価値の高い製品が評価されています。特に人気の製品は、ミラーレス一眼カメラ、テレビ、ヘッドホン、スマートフォンなど。近年のコロナ禍や社会情勢の変化で半導体などの部品調達に困難がある環境でも、グループ会社間の体制が強みとなって、大きな収益につながっています。
金融事業では生命保険、損害保険、銀行などを展開。売上げは全体の1割強ほどです。生命保険では質の高いコンサルティングによるオーダーメイドの生命保険を提供しており、個人向け・法人向けともに安定した保険料収入となっています。損害保険では自動車保険が主軸となり、銀行事業ではインターネットを通じた個人向け住宅ローンや外貨預金が中心です。
残る主要事業は、音楽事業とイメージ&センシング・ソリューション事業です。それぞれ売上高の約1割を占めています。
音楽事業は、音楽出版で世界1位、音楽制作で世界2位という実績。巨大な音楽カタログを持ち、使用料や映像メディア・プラットフォームにおけるコンテンツIPの多様な展開などが収益を支えています。
イメージ&センシング・ソリューション事業では、CMOSイメージセンサーに関わる技術で大きなシェアを獲得し、価格帯ごとにそれぞれ魅力ある製品を提供。AI処理機能を搭載した製品も展開しています。
【参考】
ソニー、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ 「The Valuable 500」に加盟|SONY
SONY GROUP|The Valuable 500
『SONY Corporate Report 2022 統合報告書』|SONY
障がいのある方へ|SONY