2024/04/30
【精神障害者】JRグループ・大手私鉄の運賃割引で精神障害者が対象に
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2024年4月、JRグループや東京メトロ、大手私鉄各社が、運賃割引制度で精神障害者も割引対象になることを発表しました。JRグループは2025年4月、東京メトロは2024年8月から導入。2024年4月現在で精神障害者に対する割引を未導入の大手私鉄では、京成電鉄による2024年6月が最も早い実施となります。大手各社における精神障害者の鉄道運賃割引の条件や導入時期をまとめてご紹介します。
障害者の鉄道運賃割引制度に精神障害者を追加
2024年4月11日、JRグループや東京メトロ、大手私鉄各社が、鉄道運賃割引制度の対象者に精神障害者を追加することを発表しました。割引率は、いずれの事業者も5割です。
身体障害者や知的障害者の運賃割引はすでに全ての鉄道事業者で実施されているものの、精神障害者を対象とする事業者は2022年4月1日時点で58.9%にとどまっていました。
当事者やその家族を含む公益財団法人全国精神保健福祉会連合会、日本弁護士連合会などは、これまで運賃割引の対象者に精神障害者を含めるべきであることなどを請願書や意見書にとって働きかけており、それがが今後約1年をかけて実現されていく見通しです。
ただし、割引対象となる精神障害者の条件や適用する券種は、各社で異なるため注意が必要です。精神障害者手帳(以下、手帳)の所持者とその介護者1名が割引対象である場合もあれば、今後手帳に導入される「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」という項目に記載される「第1種」「第2種」に分けて条件を定めている場合もあります。
なお、第1種は現在の手帳における1級が、第2種は現在の手帳における2級および3級が該当します。
各鉄道事業者での導入時期は、下表のとおりです。
【精神障害者の鉄道運賃割引が導入される時期と条件】※2024年4月以降分
鉄道事業者 | 導入時期 | 注意すべき条件 |
京成電鉄 | 2024年6月1日
(普通乗車券のみ) 2025年4月1日 (定期券・回数券含む) |
— |
東京メトロ | 2024年8月1日
(一部のみ) 2025年4月1日 (定期券・単独乗車含む) |
第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
阪神電気鉄道 | 2025年1月末頃 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
阪急電鉄 | 2025年1月末頃 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
JRグループ | 2025年4月1日 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
東武鉄道 | 2025年4月1日 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
西武鉄道 | 2025年4月1日 | 当事者の単独乗車には距離制限あり |
小田急電鉄 | 2025年4月1日 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
相模鉄道 | 2025年4月1日 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車は対象外 |
京阪電気鉄道 | 2025年4月1日 | 第2種で介護者ありの場合はほぼ対象外
当事者の単独乗車には距離制限あり |
JRグループ、東京メトロ、関東の大手私鉄での割引条件
JRグループ、東京メトロ、関東の大手私鉄における割引対象や条件も、以下にまとめました(2025年4月1日以降実施分)。
【今後導入する鉄道事業者の状況】※2025年4月1日以降実施分
○…対象 △…制限あり ×…対象外
事業者 | 介護者あり | 単独乗車 | ||||||
第1種 | 第2種 | 第1種 | 第2種 | |||||
普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | |
京成 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
東京メトロ | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
JR | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
東武 | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
西武 | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
小田急 | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
相鉄 | ○ | ○ | × | △ | × | × | × | × |
全体として、手帳で第1種(1級)の精神障害者の方は多くの割引を受けられる一方で、第2種(2級・3級)の精神障害者の方は単独乗車で100kmを超えて利用する場合に割引が適用されるケースが多いようです。また、いずれの鉄道事業者においても、小児定期乗車券は割引対象外となっています。
精神障害者割引導入済みの鉄道でも範囲拡大への動き
既に精神障害者を対象とする割引制度を導入済みの主な私鉄でも、来年4月から適用範囲を拡大する方向で動いています。関東で精神障害者割引を導入済みの主な私鉄における実施予定内容は、下表のとおりです。
【導入済みの鉄道事業者の状況】※2025年4月1日以降実施分
○…対象 △…制限あり ×…対象外
事業者 | 介護者あり | 単独乗車 | ||||||
第1種 | 第2種 | 第1種 | 第2種 | |||||
普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | 普通券 | 定期券 | |
京王※ | ○ | × | × | × | × | × | × | × |
京急 | ○ | ○ | × | △ | × | × | × | × |
東急 | ○ | ○ | × | △ | △ | × | △ | × |
※4月1日以降の詳しい条件についてはまだ発表されていないため、現在の状況を記載した
京王電鉄では2023年10月1日から、手帳1級の精神障害者の方を対象に割引を実施してきました。2025年4月1日以降はICカードでの割引も可能とするなど、適用範囲を拡大する方向です。詳しい情報は、今後発表されます。
京浜急行電鉄も、2025年4月から適用範囲を拡大します。現在は手帳1級で介護者と一緒に利用する場合にのみ普通乗車券を半額としていますが、変更後は、介護者と一緒に利用する第1種精神障害者について普通券と定期券が、第2種では一定の条件のもとに介護者の定期券が割引になるとのことです。
東急電鉄も、2025年4月から適用範囲を拡大します。精神障害者を対象とする割引をはじめて導入した2023年10月では、介護者と一緒に利用する場合に、手帳1級を所持する精神障害者とその介護者の普通乗車券を半額としてきました。今後は、単独乗車の第1種、第2種の精神障害者で100km超を利用する場合の普通乗車券が半額に。介護者と共に利用する第1種の方の定期券にも割引が適用されます。
(関連記事)
精神障害者保健福祉手帳を持つメリット・デメリットと障害福祉サービス
【参考】
悲願ついにJR含む私鉄大手が精神障がい者へ交通運賃割引制度導入を発表!|みんなねっと
(参考資料)
公共交通機関における精神障害者割引の実施状況|国土交通省