「アート制作は生活の一部」パラリンアート受賞者インタビュー ―ファイントゥデイ資生堂パラリンアート表彰式


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2022年9月15日、東京都のTKP品川グランドセントラルタワーカンファレンスセンターでファイントゥデイ資生堂によるパラリンアートコンテストの表彰式が行われました。『今日の空』というテーマで制作されたアート作品には作者それぞれの思いや経験がこめられ、制作背景を知るほど観る人を作品に引き込みます。受賞者2名のインタビューとともに、表彰式の様子をお伝えします。


ファイントゥデイ資生堂パラリンアート表彰式 障がい者自立推進機構 中山秀征理事と、最優秀賞 koueiさん(撮影:障がい者としごとマガジン編集部)

テーマ『今日の空』 184点の応募作品から4作品が受賞

9月15日、東京都のTKP品川グランドセントラルタワーカンファレンスセンターにて、株式会社ファイントゥデイ資生堂(以下、ファイントゥデイ資生堂)によるパラリンアートコンテストの表彰式が開催されました。
コンテストのテーマは『今日の空』。ファイントゥデイ資生堂のパーパスである「世界中の誰もが、素晴らしい一日を紡ぎ、いつまでも美しく、豊かな人生を送れるようにすること」に基づき、ダイバーシティ&インクルージョンの一環として社内公募でテーマを決定しました。『今日の空』には、「いつも傍らにいる空のように、私たちも世界中の人が美しく豊かな人生を送ることに寄り添いたい」という思いが込められていると代表取締役社長兼CEO小森哲郎氏は語ります。
応募作品数は184作品で、その中から社内投票と2次選考によって選ばれた4作品が受賞。表彰式には2名の受賞者が会場で、他2名の受賞者がオンラインで参加し、会場では表彰状を受け取り涙ぐむ受賞者の姿に大きな拍手が送られました。
優秀賞を受賞したのはナギトマトさん、ちゃいさん、KOTOさん、最優秀賞がkoueiさんです。


作品画像提供: ファイントゥデイ資生堂パラリンアートコンテスト

ナギトマトさんは、夢の中で見た光景をもとに制作。空に花が舞っているのではなく、空のその場所に花が咲いているという作品です。表彰式後のパネルセッションでは、ご自身が「楽観的すぎるところがある」としつつ、それをプラスにとらえる姿勢を伝えたいと語りました。
KOTOさんは「何にでもなれる、何でもできる」というイメージで制作。空がさまざまな色になれることに着想を得て、同じようにさまざまな色になれるカメレオンを中心に多様なモチーフで構成しました。
ちゃいさんは、実際に目にした空にハートが浮かぶ景色を絵にしたと話します。以前大変つらい状況にあったとき、「愛があるなら、そこにしるしを見せて」と言ったところ、雲にハート型の穴が開いたそうです。その経験から「愛は至る所にある」ことを実感し、多くの方に伝えたいという思いで本作品を制作しました。


作品画像提供: ファイントゥデイ資生堂パラリンアートコンテスト

最優秀賞を受賞したkoueiさんの作品は、作品「わくわく 虹色の雲」です。「実際に見る空もとても感動的できれい」としながら、「そこに自分の気持ちをのせて表現していくことができる」「この作品に共感してくださる方に、そういった気持ちで作品をどんどん広げていってほしい」とコメント。ぱっと見では光の反射とも見える部分が、よく見ると大小さまざまなハートになっている点が印象的な作品です。障がい者自立推進機構の中山秀征理事も「空にハートがあるこのような光景がとても自然に描かれている」「(作品名のとおり)わくわくが止まらない」とうなずきました。

受賞者に聞くアート制作と暮らし ―KOTOさん、koueiさん

表彰式後、編集部はKOTOさんとkoueiさんにインタビューを実施。アート制作のきっかけや最近使っている画材、好きなモチーフなど、アーティストとしての活動についてうかがいました。

カラフルで楽しい作風が魅力のKOTOさん「アート制作は生活の一部」

KOTOさんは、空と雲を中心に描いた他の作品と異なり、とてもユニークなモチーフで作品を制作されました。受賞の知らせを受け、「とても嬉しい」「とても驚いた」とのことです。
応募のきっかけは、パラリンアート事務局からコンテストのお知らせをもらったこと。「難しいテーマだけど楽しそう」と感じ、応募しました。アート作品制作は2018年のパラリンアート世界大会への応募から本格的に行っています。それまでも、学業や試験で描いたことはあるものの、作品という形でまとめるようになったのはここ4年とのことでした。
作品には中心に白いカメレオンを置いています。多くの方はつい「カメレオンは緑色」という感覚で描いてしまいがちですが、KOTOさんは「何色にでもなれる」というコンセプトから、あえて白で表現。他にも動物や植物、カップなど多様なモチーフを取り入れ、さまざまに変化する空のイメージを描き出しました。動物や植物は普段から好きなモチーフとのことです。
KOTOさんの作品は色使いが多様で鮮やかな点も魅力です。通常はデジタルで下絵のようなものを制作し、その後、絵の具で描くという工程で制作を進めていますが、今回は「絵の具で一発描きのような感じ」で進め、配色もその中で決めていったそうです。アクリル絵の具と水彩ペン(ポスカなど)を使うことが多く、今回の作品もアクリル絵の具で制作しました。にじみを表現したいということで、他の色と混ざらないよう気をつけつつ水彩のような柔らかさで仕上げています。
最近の制作ペースは月に1枚で、パラリンアートのコンテストにあわせて制作を進めることが中心。アート制作は「もう生活の一部」となっており、体調に応じて半日から1日描く生活を送っていると話してくれました。今後もアート制作やコンテストへの応募を続けていくとのこと。パラリンアートでまた新しいKOTOさんの作品にお会いできそうです。

子ども時代からアートが生活にあったkoueiさん、縦横無尽な制作活動


ファイントゥデイ資生堂パラリンアート表彰式 左:ファイントゥデイ資生堂 代表取締役社長兼CEO小森哲郎氏、右:koueiさん(撮影:障がい者としごとマガジン編集部)

koueiさんは、今年に入ってデジタルアートを始め、その作品の発表の場としてパラリンアートに登録しました。これまで2回ほど応募経験があり、本コンテストではテーマ『今日の空』にひかれて応募したと語ります。
デジタルアートを始める前から絵は身近な存在で、お父様が画廊をしていたり、3歳の頃には一人で美術館に行ったりしていたとのこと。小学生の時点で滝が流れる絵、木に尾長鶏が止まっている絵などを制作し、高校で美術部に入ってから本格的に制作を始めました。その後、一度絵から離れる時期もありましたが、娘さんが小学校になった頃に制作を再開したそうです。
もともとは日本画への志向が強かったものの、最近は周囲の勧めもあり、意識的に表現の幅を広げてきました。制作は思いついたときに1~2日で1枚描き上げるというスタイルで、絵画以外の活動とあわせて行っています。使用している画材は日本画のもの以外にも、鉛筆、アクリル絵の具、水彩など。今回はデジタルアートでの受賞でしたが、「データが重くなって圧縮するのが大変」ということで、次回からは手描きの作品で応募されるそうです。
koueiさんの好きなモチーフは、日本画では百合の花、水彩の場合は夏の晴れた日の大地や雲、居住地である滋賀県の琵琶湖畔などです。子どもの頃に蒸気機関車の絵として車両のつなぎ目を描くなど、ユニークな視点も大きく評価されてきました。
絵の他に、手芸でも切り絵、ローズウィンドウ、編み物、つまみ細工、その他さまざまなジャンルで制作を行っています。ときには教室の先生のアシスタントとして子どもたちに教えることもあるとか。koueiさんの活動領域や交友関係の広さに編集部や会場スタッフの方も驚きながらお話をうかがいました。

ファイントゥデイ資生堂のダイバーシティ&インクルージョンの取り組み

今回のパラリンアートコンテストを開催したファイントゥデイ資生堂は、パーソナルケア事業を営む会社です。2021年にビジネス開始という新しい会社でありながら日本・中国・APAC(アジア太平洋)地域で事業を展開し、売上規模は約1000億円。売上の過半数を海外が占めています。
国内外で事業拡大・組織構築を行うには、国籍・性別・年代・職種・障害の有無にかかわらず一丸となって課題の可視化と解決に向かっていかなければなりません。ゆえに、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みは不可欠です。
そうした背景や環境の中で、ファイントゥデイ資生堂は障害者雇用、パラリンアートコンテストの開催、「fino ウィッグBank」の設立など、多角的な施策を進めてきました。障害者雇用では、マッサージ資格を持つ視覚障害の方、パラアスリートの方などを採用。今回初となるパラリンアートコンテストでは、受賞作品を社内グッズやオフィス内装飾品等に活用していくとのことです。

取材協力:
ファイントゥデイ資生堂パラリンアート表彰式
KOTOさん、koueiさん

【参考】
一般社団法人障がい者自立推進機構 公式サイト
株式会社ファイントゥデイ資生堂 公式サイト
ナギトマトさんのプロフィール|Paralym Art
ちゃいさんのプロフィール|Paralym Art
KOTOさんのプロフィール|Paralym Art
koueiさんのプロフィール|Paralym Art

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