2021/06/22
障害者のテレワークをもっと楽しく! 分身ロボット「OriHime」の利用申込方法と導入事例
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「人類の孤独を解消する」ことをミッションとする株式会社オリィ研究所。2021年6月21日、分身ロボットOriHimeの常設実験店舗「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」をオープンします。分身ロボットOriHimeとはどのようなロボットなのか、現在どのように活躍しているのか、利用申し込み方法とともに紹介します。
もくじ
分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」とは?
分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」は、操作する方(パイロット)の分身として行きたいところに行ける「もう一つの身体」。頭部にはカメラがついており、OriHimeを通して外出先の景色や手元の資料などを見ることができます。マイクとスピーカーを利用した会話も可能で、パイロットの操作に合わせて動く頭と手がリアルタイムにパイロットの反応を伝えてくれるのが特徴です。
パイロットはiPadやiPhoneのアプリを使ってOriHimeを操作します。右に画面を向ければOriHimeの頭も右を向き、左に画面を向ければ左を向く…。頭部を振って「はい」「いいえ」と伝える基本的な動作はもちろん、手を使って「うーん」と悩む仕草や「なんでやねん」とツッコミを入れる仕草もあり、パイロットの操作でOriHimeはとても感情豊かな分身ロボットになります。
表情豊かとはいっても、実はOriHimeの顔自体は全く変化しません。むしろ「能面」を参考にしたデザインで顔自体の表情の押しつけがないのが特徴といってもいいくらいでしょう。
しかし、これがコミュニケーションをとる人同士の想像力を促してくれます。始めは何の表情もない白いロボットといった外見が、コミュニケーションを進めるうちに少しずつパイロットその人に見えてくるのです。
卓上型のOriHimeは高さ23cm、重さ700gと持ち運びしやすいサイズですが、パタパタと動く手や会話に合わせて意思を伝える頭部など、きちんと存在感があります。通常のWeb会議アプリにはないこうした身体性こそ、OriHimeの最大の魅力です。
「OriHime」の種類・価格・利用方法
OriHimeには用途に合わせて複数の種類が開発されています。また、分身ロボットではありませんが、シリーズ製品の一つとして眼や指しか動かせない重度四肢不自由者のための意思伝達装置もあります。
<OriHimeシリーズの種類・価格>
-
- OriHime Biz(オリヒメビズ)
- 卓上型、法人・イベント利用向け
- カメラ・マイク・スピーカーを搭載
- 常時接続でスムーズに会話
- テレワークでも立ち話のようなコミュニケーションが可能
- 専用管理ツールから接続をスケジューリング可能
- ユーザー制御、利用履歴の閲覧が可能
- 価格:専用フォームから見積もり相談
- OriHime Lite(オリヒメライト)
- 卓上型、個人利用向け
- カメラ・マイク・スピーカーを搭載
- 台数限定で募集期間中に応募可能(1人1台限り)
- 一緒にキッチンに立つ、家庭教師をする、散歩する、カードゲームを楽しむ、おしゃべりするなど、さまざまな楽しみ方が可能
- 価格
- 年間プランA:1年総額237,160円(初期費用あり)
- 年間プランB:1年総額261,360円(初期費用なし)
- 1か月お試し短期プラン:月額32,780円
- 1か月お試し短期プラン(モバイルWi-Fi付き):月額43,780円
- OriHime eye+Switch(オリヒメアイスイッチ)
- 透明文字盤と同じ操作のコミュニケーション支援ツール
- 視線入力装置やスイッチを使った入力
- 透明文字盤を使った介助者の支援の代替として利用可能
- 文字入力、合成音声でのスピーチ、メールの送受信が可能
- 感情表現機能、予測変換あり
- 分身ロボットの操作、写真撮影も可能
- カスタム文字盤の登録可能
- Windows操作可能
- 価格:45万円(補装具費支給制度申請可)
- OriHime 教育(オリヒメきょういく)
- 身体的、精神的な理由で教室へ行けないお子さまに
- OriHime 教育が教室に登校
- 友達と席を並べて勉強したり遊んだりできる
- フリースクール、特別支援学校、私立小学校などに導入実績あり
- 価格(レンタルパック)
- OriHimeのみ:月額4万1000円/1台
- 操作用iPadセット:月額5万円/1台
- その他短期間レンタルプランあり
- OriHime-D(オリヒメディー)
- 身長約120cm、ものをつかめる腕がある
- 移動、簡単なものをつかんで運ぶことが可能
- カメラ・マイク・スピーカーを搭載
- カフェでの接客、ビル内での案内、作業現場の見回りなどが可能
- OriHime eyeと接続することで、寝たきり状態の方が遠隔操作で身体労働を行える
- 価格、レンタルの有無等:要問合せ
- OriHime Biz(オリヒメビズ)
< OriHime 利用の申込み方法>
公式サイトの専用フォームに入力して送信ください。
※最新の価格・申し込み方法は公式サイトでご確認ください
【参考】
オリィ研究所 公式サイト
OriHime プロダクト紹介|オリィ研究所
導入事例1:モスバーガー大崎店で働くOriHime
出典:遠隔操作でモスバーガーの店員に!】期間限定でモスバーガー大崎店に実験導入されます!|オリィ研究所
現在、さまざまな店舗や機関でOriHimeが活用されています。ここからは実際に活躍してきたOriHimeパイロットと業務事例を見ていきましょう。
最初にご紹介するのは、モスバーガー大崎店。注文カウンターに置かれた卓上型のOriHimeがユニフォームを身につけ、難病や障害で外出が難しいパイロットがお客様の希望に応じたメニューを案内し注文を受け付けています。
最初のOriHimeの導入は期間限定で2020年7月から。「ゆっくりレジ」として導入され、3か月ほどで一旦終了。その後、11月から「アシストセルフレジ」サービスとしてあらためて開始されました。2021年6月現在も続いており、終了期間は未定です。
他の注文カウンターと異なるのは、商品を相談しながらゆっくり選べることです。お子さま連れやシニアの方、相談しながら注文したい方とコミュニケーションをとり、セルフレジの横で操作案内もしてくれます。
お子さまも興味津々でOriHimeに向かって話しかけることが多いようで、パイロットに教えてもらいながらセルフレジを操作する光景も見られるとのことです。
OriHimeによる接客時間は、月・火・土が11時〜15時、木・金が14時〜18時。1台のOriHimeを4人のパイロットが交替で操作しているため、曜日や時間帯によってさまざまなコミュニケーションを楽しめるでしょう。お近くまで行った際はぜひ立ち寄ってみてください。
【参考】
モスバーガー大崎店|モスバーガー
【遠隔操作でモスバーガーの店員に!】期間限定でモスバーガー大崎店に実験導入されます!|オリィ研究所
OriHimeとモスバーガーの取り組み「アシストセルフレジ」を体感!|ライフネットジャーナル オンライン
導入事例2:NTTで働くOriHime
出典:遠隔操作型分身ロボット「OriHime-D」を活用した障がい者による受付業務の本格導入について|NTT
NTTでもOriHimeを積極的に活用しています。OriHimeパイロットが担うのは受付業務です。
2020年2月からトライアルとしてOriHime-Dによる受付業務を開始し、同年7月から本格導入。パイロット4名でのシフト勤務体制で、遠隔操作による応接室・会議室までの先導、来訪者からの問合せなどに対応しています。
NTTは2020年10月からオリィ研究所と資本業務提携も行っています。今後はNTTグループが保有する研究開発力とオリィ研究所の高い商品開発力などにより、身体が不自由な方、外出困難な方の雇用と活躍の場の拡大、リモートワールドに対応した取り組みを推進するとのこと。ドコモショップでのOriHimeの活用検討、OriHimeによる受付等の拠点拡大や研究開発等を進めていくとしています。
リモートワールド実現に向けた実証実験として、2021年春には卓上型OriHimeを活用した障害者施設の子どもたちとラグビー選手との交流イベントも開催されました。
【参考】
遠隔操作型分身ロボット「OriHime-D」を活用した障がい者による受付業務の本格導入について|NTT
日本電信電話株式会社と株式会社オリィ研究所との資本業務提携について|NTT
分身ロボット「OriHime」を活用したICT×スポーツ×地域の共創プロジェクト「E Cheer Up!」 共同実証実験の開始について|NTT
導入事例3:神奈川県庁で働くOriHime
自治体でもOriHimeの導入事例があります。
代表的なのが神奈川県庁(新庁舎1階)で受付業務を担当するOriHime。来訪者に声かけや案内を行ったり、「ともに生きる社会かながわ憲章」の説明、憲章グッズの案内などを行ったりなど、2020年9月末から3か月ほど活躍しました。
同県平塚市では、OriHimeを活用した障害者就労支援の試行も実施。市役所1階の障がい者福祉ショップ「ありがとう」に設置されたOriHimeを島根県に暮らす脊髄性筋萎縮症(SMA)をもつパイロットが操作し、来店者とコミュニケーションをとりました。
【参考】
分身ロボット「OriHime」の活用|神奈川県
神奈川県 分身ロボで遠隔接客 平塚で障害者就労支援|タウンニュース
分身ロボットでの就労をもっと身近に
2020年、2021年はコロナ禍の影響でテレワークの導入を進めた企業が多く見られます。テレワークは障害をもつ方にとって出勤の負担や職場環境での悩みを改善してくれる1つの手段となる可能性も見えました。
一方で、テレワークによる孤独感も課題として残っています。
こうした状況で、OriHimeのような分身ロボットは、パイロットの人柄や存在感を反映させたテレワークを実現させます。重度身体障害をもつ方だけでなく、外出が困難なさまざまな方にとっても、「他の人と一緒にその場を体験する」という重要な手段になるでしょう。
テレワークでの身体性も実現する分身ロボットは、外出が困難な方の出会い・学習・就労をもっと身近なものにしてくれるはず。今後の活躍に期待が高まります。