精神障害者手帳と医療費助成、東京都・神奈川県の支援制度


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精神障害者手帳を持つことには様々なメリットがあります。医療費助成を受けられることも、その1つ。手帳を持っていなくても受けられる医療費支援制度もあります。
今回は、東京都と神奈川県の医療費助成制度をご紹介します。

精神障害者手帳とは

精神障害者手帳は、正式には「精神障害者保健福祉手帳」と呼ばれるものです。精神疾患が原因で生活・仕事に障害が発生している人を対象に交付される、障害者手帳の1つです。障害の重さに応じて、1級から3級まであります。

精神疾患があったり、精神疾患を理由とする困り事があったりしても、精神障害者手帳を申請しない人もいます。ただ、家計に余裕がない、障害者枠での雇用を目指しているといった事情がある場合、精神障害者手帳を持つことで得られるメリットは大きいでしょう。

具体的なメリットや精神障害者手帳の申請方法については、以下の関連コラムで詳しく解説しています。

(関連コラム)

  • 精神障害者保健福祉手帳を持つメリット・デメリットと障害福祉サービス
  • 精神障害者手帳の申請方法と更新手続き、等級の変更申請
  • 【精神障害者】JRグループ・大手私鉄の運賃割引で精神障害者が対象に

精神疾患の治療や生活・仕事のためのトレーニングは、効果が出るまで長い時間を要します。通院・入院にかかる費用、薬代の負担は決して小さなものではありません。安心して治療やトレーニングを継続するには、医療費を軽減できる制度の活用がポイントになります。

精神障害者手帳を持っていない人も受けられる医療費支援

精神障害のある人が最初におさえておきたい医療費支援制度は、「自立支援医療」制度です。障害者手帳を持っていない人でも申請が可能で、全国で申請・受給できます。

精神疾患での通院に適用される自立支援医療(精神通院医療)では、医療費が通常の「3割負担」よりも軽減された「原則1割負担」にまで減らせます。制度を活用するには、指定機関での受診・治療が必要ですが、診察料や薬代だけでなく、精神科デイケアの費用も支給対象になる点は、メリットとして大きいでしょう。

精神障害にかかる医療費軽減の第一歩として、おすすめの制度です。

制度のより詳しい内容は、当マガジンのコラムでも解説しています。

(関連コラム)

  • 自立支援医療制度とは?法律とメリット、対象疾患・新規申請・更新方法

具体的な内容や申請手順は、お住まいの自治体の公式ページをご確認ください。

【自立支援医療(精神通院医療)の自治体公式ページ】

なお、「自立支援医療(精神通院医療)制度の申請・受給に関わるのは、指定医療機関と自治体のみ。会社や就職活動での応募先企業に知られることなく、受給できます。

東京都の精神障害者向け医療費助成制度

東京都で利用できる精神障害者向けの医療費助成制度には、「精神障害者通院医療費助成」や、「心身障害者医療費助成」があります。

「精神障害者通院医療費助成」は、自立支援医療(精神通院医療)の自己負担分を東京都が助成することで、精神科への通院等にかかる医療費が無料になる制度。「心身障害者医療費助成」は、精神障害者手帳1級を所持している人が対象となる助成制度です。

精神障害者通院医療費助成

精神障害者通院医療費助成は、健康保険などの加入者で区市町村民税が非課税の人を対象とする助成制度です。精神障害者手帳を持っていない人も受給できます。

助成内容は、自立支援医療(精神通院医療)の自己負担額を東京都が支給するものです。そのため、精神科への通院等にかかる医療費の自己負担額が実質ゼロとなり、無料で治療を続けることができます。

申請方法は、助成を受ける本人の住民票がある区市町村の窓口で、自立支援医療の申請に必要な書類を提出します。申請は任意ですので、条件に該当する人でも、申請を行わなければ助成は受けられません。

詳しくは、区市町村の窓口で自立支援医療(精神通院医療)の申請をする際にお尋ねください。

【東京都の公式ページ】

心身障害者医療費助成

心身障害者医療費助成は、「マル障」と呼ばれる医療証の交付を受けることで、医療費の自己負担が軽減される制度です。身体障害者手帳、療育手帳(愛の手帳)、精神障害者手帳を持っている人のうち、一部の人が対象となります。

精神障害者で対象となるのは、精神障害者手帳1級の所持者です。対象者になると、医療保険の自己負担が軽減されます。自立支援医療(精神通院医療)との併給が可能ですので、区市町村民税で課税されている人の自己負担分も軽減されます。

申請は、住民票のある区市町村の担当窓口で必要書類を提出してください。

ただ、精神障害者手帳1級を所持していても、特定の条件に当てはまる人は支給対象にはなりません。例えば、一定の所得額を超える人や生活保護を受けている人、65歳以上になって初めて精神障害者手帳1級を取得した人などです。

対象除外となる所得制限では、扶養家族の人数によって基準額が定められています。この基準を超えると、制度の適用対象から除外されます。

【マル障の所得制限の例】(2025年5月現在)

扶養家族の人数 所得制限
0人 360万4,000円
1人 398万4,000円
2人 436万4,000円

また、助成対象となっている人でも、医療保険の対象でない費用や健康保険組合等から支給される費用などについては、支給されません。

【心身障害者医療費助成の支給対象外の費用例】

  • 健康診断や予防接種の費用
  • 薬の容器代
  • 入院時の食事療養、生活療養の標準負担額、差額ベッド代
  • 健康保険組合等から支給される高額医療費、付加給付に該当する医療費
  • ほかの公費医療で助成される費用
  • 介護保険の利用者負担額 など

対象除外となるか否か、所得制限の基準額、区市町村民税を課税されている場合の自己負担額といった細かい要件については、区市町村の窓口でご確認ください。

【東京都の公式ページ】

神奈川県の精神障害者向け医療費助成制度

神奈川県の医療費助成制度には、精神科の病院・病棟の入院費用を助成する「精神障害者入院医療援護金」やマル障が交付される「重度障害者医療費助成」があります。

精神障害者入院医療援護金は、入院中に申請することで月額1万円が支給される制度。精神障害者手帳の有無は問われません。重度障害者医療費助成は、精神障害者の場合、精神障害者手帳1級または2級の所持者が対象です。

精神障害者入院医療援護金

精神障害者入院医療援護金は、精神保健福祉法に基づいて入院している精神障害者を対象とする医療費助成制度です。対象者の要件には、精神科の病院・病棟に入院していること以外に、所得額や医療費の自己負担額といった要件があります。

【精神障害者入院医療援護金の対象者の要件】

  • 精神保健福祉法に基づいて、精神科の病院・病棟に入院している
  • 神奈川県内に住民票がある
  • 入院している本人と同一世帯の人の前年所得税額の合計が8万7,000円以下である
  • 医療費の自己負担額が月額1万円以上である

助成内容は、月額1万円の支給です。月の初日から末日まで入院した場合に受け取ることができます。認定を受けた月から支給されるため、入院後なるべく早く申請しましょう。

申請は、指定送付先まで必要書類を郵送して行います。所定の申請書がありますので、入院先の病院で入手するか、公式ページからダウンロード・印刷して、記入してください。申請書以外に、世帯全員分の住民票、15歳以上の世帯全員分の所得税額を証明する書類などが必要です。

なお、神奈川県が行う精神障害者入院医療援護金の場合は、政令指定都市である横浜市・川崎市・相模原市の住民は対象外となります。しかし、各政令都市でも、対象者の要件がやや異なるものの、ほぼ同じ制度を実施しています。

詳しくは、神奈川県または各政令指定都市の公式ページをご確認ください。

【精神障害者入院医療援護金に関する公式ページ】

重度障害者医療費助成

重度障害者医療費助成は、医療証が交付される助成制度です。精神障害者の場合、精神障害者手帳1級または2級の所持者が対象です(市町村によって範囲が異なるため注意)。

ただし、精神障害者手帳の1級・2級所持者であっても、市町村によっては、一定の所得額を超える人や生活保護を受けている人、65歳以上になって初めて精神障害者手帳1級を取得した人などは対象とならないことがあります。例えば、相模原市の場合は年齢や所得に制限がありますが、横浜市の場合は所得・年齢に制限はありません。

助成内容は、保健診療による医療費の自己負担額の助成です。助成から除外される費用には、保健診療ではない医療費、健康診断や予防接種の費用、入院時の食事代、差額ベッド代などがあります。

申請方法は、費用書類の窓口提出です。申請書は公式ページからダウンロード可能。健康保険の被保険者であることがわかる資格情報や障害者手帳などを添えて申請してください。

【横浜市・川崎市・相模原市の公式ページ】

神奈川県内のほかの市町村については、「○○市 重度障害者医療費助成」などで検索すると、公式ページを見つけられます。

公的支援制度の利用で医療費軽減へ

都道府県や区市町村には、精神障害のある人を対象とする公的な医療費助成制度があります。非課税世帯であることや所得制限など、一定の要件を満たす必要はありますが、助成を受けられれば生活を安定させやすくなるでしょう。

医療費助成制度の利用をまだ検討したことがない人、自分が該当するかどうかわからない人は、一度窓口に問い合わせてみてください。就労移行支援事業所などを利用中なら、支援スタッフに相談することも可能です。

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