2019年障害者雇用率について|カウント方法と納付金制度


障害のある人が障害のない人と同じように、能力と適性に応じた仕事に就き、自立した生活を送ることができる社会を実現するために障害者の雇用対策は進められています。

始まりとなったのは1960年、身体障害者雇用促進法が制定され、「法定雇用率」が定められたことからでした。法定雇用率とは、民間企業、国、地方公共団体、都道府県等の教育委員会に対し、雇用すべき障害者を割合として数値にしたもので、当初は努力義務とされていました。

その後、1976年に法定雇用率達成が本格的に義務化へと進み、未達成の企業からは納付金を徴収し、達成企業には調整金を支給するという納付金制度が導入。

当時義務化されていた雇用対象は身体障害者のみでしたが、その後対象範囲が拡大されて、1997年に知的障害者が加わり、2018年には精神障害者も加わることとなりました。

障害者の法定雇用率|2019年時点

法定雇用率は5年ごとに見直しが行われています。直近では2018年4月に改正があり、民間企業における障害者の法定雇用率は2.0%から2.2%に引き上げられました。

それに伴い、障害者の雇用を義務付けられる範囲が、従業員数50人以上から45.5人以上に変更となり、従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

2021年4月までに更に0.1%引き上げ

2021年4月までには全ての事業主区分で同様に0.1%引き上げが予定されています。民間企業に求められる雇用率は2.3%となり、対象となる事業主の範囲は従業員数43.5人以上となるため、新たに対象範囲となる企業は注意が必要です。

具体的な引き上げ時期は、今後、労働政策審議会において議論が行われる予定で、未定となっています。

民間企業の雇用率設定基準

民間企業に課せられた法定雇用率2.2%という数字は、下記の式から算出されています。

この式では短時間労働者は1人を0.5人としてカウント。また重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウントし、短時間労働の重度身体障害者、知的障害者は1人を1人としてカウントします。

カウントの方法は少し複雑なので、次の章で詳しく解説します。

雇用率における障害者のカウント方法

労働者は1人でも、障害の程度と労働時間の長さによって0.5〜2人とカウントは変動します。

まずは “障害の程度” についてですが、身体障害者、知的障害者は重度か重度以外かに分けられており、重度の基準は下記のように定められています。

【身体障害者|重度】
・等級が1級、2級の障害がある
・等級が3級の障害が重複してある

【知的障害者|重度】
・療育手帳に記載されている障害の程度が1度、2度、あるいはA(※地域によって表記が異なる)
・精神保健センター、障害者職業センター等によって職業判定上の重度知的判定がされている

つぎに、“労働時間の長さ” ですが、週所定労働時間が30時間以上の人を常用労働者とし、20時間以上30時間未満を短時間労働者としており、常用労働者のカウントが1人とすると短時間労働者は0.5人として扱われます。

精神障害者の職場定着に向けた特例措置

2018年4月より精神障害者の雇用が義務化されたことは冒頭で紹介しましたが、それに伴い職場定着を促進するための措置として、法定雇用率制度や障害者雇用納付金制度における精神障害者の算定方法が見直されました。

通常であれば精神障害のある人が短時間労働であった場合0.5人としてカウントされますが、下記に該当するケースでは対象者1人につき1人としてカウントします。

精神障害のある短時間労働者であり、雇用から3年以内の方、あるいは精神障害者保険福祉手帳(以下「精神障害者手帳」と表記)の交付から3年以内の方。

ただし、次のような留意事項があるので注意が必要です。

留意点1
特例措置の対象となるのは2023年3月31日までに雇用され、精神障害者手帳を交付を受けた方。2023年3月31日以前に新たに雇用されるか、精神障害者手帳の交付を受けた場合は、その日から3年以内が特例措置の対象となる。

留意点2
精神障害者が退職後、3年以内に退職元と同じ事業主に再雇用された場合は特例の対象とならず、原則通り1人を0.5人とカウントする。

留意点3
知的障害のある従業員が雇用された後に、発達障害により精神障害者手帳の交付を受けた場合は、知的障害の判定日を精神障害者手帳の取得日と見なす。しかし、発達障害以外の精神疾患、あるいは発達障害に加えて別の精神疾患があることによって精神障害者手帳の交付を受けた場合は、精神障害者手帳の交付日で判断する。

雇用を促すための納付金制度

障害者を雇用するためには、障害者の働きやすさに配慮した環境の最適化が求められます。施設内のバリアフリー化や設備の改善、特別な雇用管理など、さまざまな面で事業主は経済的な負担を伴うため、雇用義務を果たしているか、いないかによって経済的負担に差が生じます。

障害者雇用納付金制度は、「企業主が共同して果たしていくべき責任である」との社会連帯責任の理念から、障害者雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図り、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことで、障害者雇用の促進と職業の安定を目的としています。

納付金制度は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が管轄しており、申告義務の対象は、常用雇用労働者の総数が100人を超える全ての事業主です。雇用率の達成、未達成に関わらず100人未満であれば申告義務はありません。

しかし、常用雇用労働者数が100人未満でも、一定の数を超えて障害者を雇用している場合は報奨金の支給申請ができます。

未達成の場合に徴収される納付金

常用雇用労働者の総数が100人以上で、法定障害者雇用率(2.2%)に満たない事業主は “障害者雇用納付金” を納付する義務があります。

前年度の4月1日から3月31日までの、各月ごとの算定基礎日※における雇用障害者数の年度間合計数が、各月ごとの算定基礎日における法定雇用障害者数の年度間合計数に満たない場合、1人当たり月額50,000円の納付が必要です。

ただし、2015年4月1日から2020年3月31日までは納付金の減額特例が適用となり、常用雇用労働者の総数が100人以上200人以下の事業主は、1人当たり月額40,000円に減額されます。

※算定基礎日とは…各月ごとの常時雇用している労働者数、及び雇用障害者数を把握する日。算定基礎日は各月の初日とすることが原則であるが、賃金締切日としても支障はない。

達成した場合に支給される調整金

常用雇用労働者の総数が100人以上で、法定障害者雇用率(2.2%)を上回っている事業主には “障害者雇用調整金” が支給されます。

前年度の4月1日から3月31日までの、各月ごとの算定基礎日における雇用障害者数の年度間
合計数が、各月ごとの算定基礎日における法定雇用障害者数の年度間合計数を超える場合、1人当たり月額27,000円が支給されます。

報奨金の支給

常用雇用労働者の総数が100人以下で、法定雇用障害者数を一定の数を超えて上回っている事業主には報奨金が支給されます。

前年度の4月1日から3月31日までの、各月ごとの算定基礎日における雇用障害者数の年度間合計数が、各月毎の算定基礎日における常用雇用労働者数に4%を乗じて得た数の年度間合計数、又は72人のいずれか多い数を超える場合、1人当たり月額21,000円が支給されます。

在宅就業障害者特例調整金・報奨金の支給

納付金制度は、“雇用” という形態に限らず、在宅就業障害者に仕事を発注して業務の対価を支払った事業主に対しても調整金、報奨金が支給されます。在宅従業支援団体を介して在宅就業障害者に仕事を発注した場合も同様です。

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