2023/06/27
障害福祉サービス等の報酬改定を検討開始、適用は2024年4月から
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2024年4月から適用となる障害福祉サービスの事業者への報酬を改定するための検討が、23年5月に開始されました。今回の改定では、増加するニーズや予算額の中でより質の高い障害福祉サービス等を提供し、かつそれらを持続可能にするための方策などが考慮されます。関係団体へのヒアリングを経て、改定案は24年2月にとりまとめられる予定です。
障害福祉サービス等の報酬改定が5月から検討開始
2024年4月から適用となる障害福祉サービス等の報酬改定の検討が、23年5月から開始されました。障害福祉サービス等報酬改定検討チームが、今後約50の関係団体からヒアリングを行い、24年2月に改定案をとりまとめる予定です。
障害福祉サービス等の報酬とは、障害福祉サービスを行う事業者が当該サービスを提供した場合に、その対価として支払われるサービス費用です。
今回の改定では、以下の観点でヒアリングを行い、報酬を検討します。
- より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法
- 地域において、利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策
- 障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法の施行時から3倍以上に増加している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策
- 業務の負担軽減・効率化に向けた課題及び対処方策(ICT活用など)
報酬額はどのように決められる? 近年の改定の例
報酬は、サービスの提供に必要な平均的な費用を考慮した上でサービスごとに設定されます。基本費用に加えて事業所のサービス体制や利用者の状況等に応じて加算・減算される他、従業員の賃金の地域差も反映し、地域ごと、サービスごとに1単位の単価をもって設定されるのが特徴です。
例えば、2023年6月現在の生活介護の場合、利用定員20人以下で区分6の事業所なら1,288単位が基本報酬として支払われる規定です。状況に応じて人員配置体制で33〜265単位が加算され、他に常勤看護職員等配置加算、定員超過減算なども適用されます。1単位の金額は、1級地なら11.22円、7級地なら10.18円です。
報酬の改定はたびたび行われており、2021年度の改定では、それまでよりも0.65%多い報酬が設定されました。改定の理由は、
- 障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、質の高い相談支援
- 効果的な就労支援
- 医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進
- 感染症等への対応力の強化
- 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進
- 持続可能性の確保
となっています。
さらに2022年度の改定では、障害福祉人材の処遇改善を目的として、現在の処遇改善加算に一定の加算率を乗じる方法で、職員1人あたり月額9000円が上乗せされる仕組みを導入しています。
「障害福祉サービス等」とは?
障害福祉サービス等とは、心身に何らかの障害を持つ方や病気で日常生活に障害を感じている方が、より暮らしやすく、社会に参加しやすくするためのさまざまなサービスのことです。成人で障害のある方を対象とするサービスには、大きくわけて介護給付と訓練等給付があります。
介護給付は、居宅介護や訪問介護、同行援助、生活介護、施設入所支援など9つのサービスがあります。近年利用者数が多いのは、約30万人が利用する生活介護です。
他方、訓練等給付の主なサービス例には、共同生活援助、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援があります。利用者数が多いのは、約17万人が利用する共同生活援助と、約32万人が利用する就労継続支援(B型)。就労移行支援は、3万5,543人が利用しています。※
※2022年12月サービス提供分(国保連データ)
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大きく変化する社会状況に応じた報酬体系検討へ
近年、障害のある方は増加傾向にあり、障害福祉サービス等の利用も増えています。さらにIT利用が進み、事業所の体制を更新する必要もあるでしょう。
より多くの方が適切なサービスを受けられるようにするには、サービス提供にかかる費用への支援やスタッフの処遇改善が必要です。より質の高い障害福祉サービス等の提供に向け、急激に変化する社会状況に対応した報酬体系が求められています。
【参考】
第28回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン)」資料|厚生労働省