静岡県「京丸園」が厚生労働大臣表彰受賞! 100人が働くユニバーサル農園の取り組み


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静岡県の京丸園株式会社が、2022年度障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣表彰を受賞しました。ユニバーサル農園として各方面から注目を集め続けている京丸園では、どのような職場づくりを行っているのでしょうか。機械化の導入による支援や特性に合った業務の割り振りなど、従業員とともに進める取り組みをご紹介します。

静岡県「京丸園」 障害者雇用優良事業所として厚生労働大臣表彰を受賞


画像出典:京丸園株式会社 公式サイト

京丸園株式会社(静岡県浜松市)が、2022年度の障害者雇用優良事業所等表彰で厚生労働大臣表彰を受賞しました。農林水産省による「ノウフクアワード2021」でもグランプリを受賞するなど、同社の取り組みは各方面から大きく注目されています。オリジナルブランド商品「姫ねぎ」をテレビで観たという人もいることでしょう。

京丸園が目指すのは「農業経営における幸せの追求」です。もともとは人手不足を補うために始めた農福連携でしたが、今や農業を変えるための農福連携、「農福融合」へと向かっています。障害をもつ方の雇用は単なる「人手不足対策」や「ボランティア」ではなく、農業の現場と経営を支えるパートナーなのです。

障害の有無や年齢・性別を問わず、さまざまな人材が活躍する「ユニバーサル農園」として、従業員は100名ほどにまで増え、下は10代から上は80代まで多様な方々が働き、既に障害者雇用率も40%を越えました。

京丸園の障害者雇用のきっかけとメリット

京丸園では、日々の作業の中で「自分の存在が誰かの役に立っている」と実感できることを重視しています。一人ひとりが役割と努力の目標を持ち、持てる力と責任でその目標を達成できることが、働く人の幸せにつながると考えているためです。

障害者雇用のきっかけは、障害をもったお子さんを連れたお母さんが「給料は要らないから、子どもを働かせてほしい」と農園を訪れたこと。当時は障害者雇用に消極的だったものの、障害をもつ方の働く熱意を間近に見ることで考えが変わったそうです。実際に雇用したあとは、従業員がサポートし合うことで農園全体の雰囲気がとても良くなり、全体の作業量が増えました。

京丸園では、その後も1年に1人ずつ、新規に障害者を雇用しています。それぞれの障害特性に応じたプログラムに沿って適材適所で働けるよう、支援機関と連携しながら、さらなる取り組みを進めています。

職場環境づくりにおける3つのポイント

京丸園の働きやすい職場環境づくりのポイントは3つ。仲間との協力、適材適所と機械の導入、そして関係者との連携です。

(1)仲間と協力しながら作業を進める

障害をもつ従業員は、「心耕部」という部署に配属されます。個人ごとの目標を定めつつ、全ての従業員が日々細かく連携しながら作業を進めるのが京丸園のスタイルです。

農業では1年を通じて稼働しなければなりません。一方で、従業員には休日が必要です。この一見対立する課題を解決するため、京丸園は作業の担当者が交代しても同じ品質で作業できるような体制を整えました。それぞれの従業員が自分の仕事に責任をもち、作業を引き継ぎやすい工夫とコミュニケーションを実践しています。

(2)適材適所と機械の導入

京丸園では、特性にあった業務の割り振りができるよう「京丸ナビゲーションマップ」という一覧表を作成し、活用しています。これは作業工程ごとにレベルを定めたもので、同じ作業工程でも「どこまでできるか」を分かりやすくしたもの。京丸ナビゲーションマップを使えば、各人の得意なこと、できることを見つけ、スキルアップの方向性を決めやすくなります。

作業のレベルといっても、従事者が全てその作業を一人で行わなければならないというものではありません。種まきであれば、全て手作業で行うのではなく自社開発の「種まき機械」を使って作業の質を補うことができますし、苗植でも操作手順が貼り付けられた機械を使って作業を進められます。

「機械化することでいろいろな人が働ける農業に変わる」というのが京丸園の基本姿勢。効率的で計画的な生産と障害者雇用を機械の導入によって両立させてきました。

(3)関係者との連携強化で支援体制を維持

障害をもつ方が働き続けるには、ご本人の家族や地域生活支援センター、医療機関、保健所、ハローワークなど、多様な人や機関との連携が効果的です。京丸園でも関係者との連携を重視し、働くご本人の生活環境を見守れる支援体制を維持しています。

地元である浜松市からの提案で、農業と福祉に加えて企業との連携も行いました。具体的には、特例子会社に一部の業務を委託し、一緒に京丸園の作業をしてもらうというものです。企業側には、業務確保による障害者雇用促進や地域貢献、そして新規分野の開拓につながるというメリットがあります。

他にもある京丸園のさまざまな取り組み

他にも京丸園の取り組みがあります。

たとえば、地域との関わりでは、特別支援学校の生徒の実習や地元中学生の職業体験を受け入れてきました。特別支援学校の実習では参加する生徒の障害特性に応じてジョブコーチを現場に配置し、さまざまな作業を体験してもらっています。職業体験では、心耕部の方が作業を教えるなどして、従業員自身の成長の機会にもなりました。

さらに、京丸園の取り組みを社会へアピールするものとして、絵本も出版しました。『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』(合同出版)は、障害をもつ方と一緒に働く実体験をつづったもの。農福連携の現場が抱える悩みと解決策、仲間との交流など、勢いのある絵とともに楽しく学べます。対象年齢は6歳以上ですが、「ぜひ大人にも読んでほしい」と多くの声が寄せられました。全国の書店、Amazonなどのネット書店で購入できます。

障害をもつ方がパートナーになる仕組みづくりを

農福連携に限らず、障害者雇用を進めていくと「健常者」との対応の違いが大きな壁となるでしょう。それまでは「きれいに片付けておいて」と言うだけで通じていたことが、障害をもつ方にとっては「きれいってどこまで?」「いつまでにやる?」など、多くの疑問が残る指示になってしまうというケースは少なくありません。他の従業員にとってあまり問題にならないことが、障害をもつ方にとっては業務がうまくできない要因になるのです。

しかし、京丸園のように細かな作業分解を行い、特性に応じた指示を出せるようになれば、障害をもつ方の作業効率は格段にアップしやすくなります。京丸園の鈴木厚志社長は、「障害者が働ける現場は、誰にとっても働きやすい現場」と繰り返し述べてきました。

ダイバーシティ&インクルージョンが推進される現在、誰にとっても働きやすい現場は障害の有無にかかわらず活躍できる理想的な職場環境となります。障害者雇用を推進している事業所も、これから取り組みを進めようと考えている事業所も、障害をもつ方を事業のパートナーとして誰もが働きやすい職場づくりにつなげていきましょう。

【参考】
京丸園株式会社 公式サイト
表彰式に出席してきました。|京丸園
農の福祉力・包容力」の実践~農園における障害者雇用~(京丸園)|障害者雇用事例リファレンスサービス
ノウフク・アワード2021結果発表|ノウフク

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