アビリンピック過去問題|第19回東京(2020)ネイル施術・フラワーアレンジメント


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コロナ禍の影響で本大会中止となった2020年度の東京アビリンピック。全国大会に出場する候補選手の選考会として競技のみが実施されました。「ネイル施術」も「フラワーアレンジメント」も、例年と同様の内容での出題です。それぞれの競技内容を見ていきましょう。

競技種目「ネイル施術」とは? デザインとともに衛生管理も重要

近年、一般的な職業として定着したネイルサロンでの接客と施術。障害を持つ方にも従事する方が増え、アビリンピックの競技種目に採用されて数年がたちました。
東京アビリンピックでも毎年開催されており、基本となるネイルケアからカラーリングの技術まで、衛生的な施術スキルやデザインとともに競われます。2020年度の選考会でも、前年度と同じ2つの課題が出題されました。

評価ポイントは課題ごとに設けられています。時間内に施術が完了しない場合や、施術対象者(以下、モデル)にケガをさせたり、衛生面に問題があったりする場合は減点対象となるため、練習でも十分気をつけながら取り組みましょう。

<ネイル施術の評価ポイント>

課題 評価ポイント
課題1 –   衛生的に施術しているか

–   器具、材料を正しく使用しているか

–   フリーエッジの削りあとがなめらかで、削り残しやダストが残っていないか

–   ルーススキンが除去されているか

–   ささくれや甘皮の処理がきれいに施されているか

–   10指のフリーエッジの長さと形がバランス良く整っているか

–   作業を全て時間内に終了しているか

–   出血、傷はないか

課題2 –   衛生的に施術しているか

–   エッジの塗りが適切か(裏面は塗布しない)

–   厚みが均一で塗り残しがないか

–   キューティクルラインが空きすぎずなめらかか

–   サイドの塗り残しがないか

–   表面に色むらや刷毛あと、凹凸がないか

–   皮膚に製品がついていないか

–   時間内にトップまで塗られているか(ジェルの表面のべたつきがないか)

–   両手のカラーの色が合っているか

–   左右の仕上がりについて、形がバランス良く整えられているか

–   左右の仕上がりが、かけはなれていないか

–   製品を安全に、かつ用途に応じて使用しているか

競技中は衛生的な施術が行われていないと高評価につながりません。また、以下の減点対象項目に該当すると、最終的な作品の仕上がりが良くても減点によって評価が下がってしまいますので気をつけましょう。

<ネイル施術の減点対象項目>

  • カンニング行為、周囲の人からのアドバイス行為(失格となる場合もある)
  • 作業中に使用器具や材料をバッグから出す行為
  • 課題1の内容が時間内に終了せず、課題2の時間内で終了した場合
  • 課題2の内容が終了しない場合
  • 出血、傷がある場合

「ネイル施術」で持参するもの・会場で用意されるもの

「ネイル施術」で使用する機材や道具類は、その多くを選手が持参しなければなりません。さらに、競技で協力してもらうモデルも選手が連れていく必要があります。

会場で用意されるのは、作業台や電気スタンド、椅子、ゴミ袋といったもののみ。ポリッシュカラーやカラージェルはもちろんのこと、消毒用エタノールやコットン、ハンドタオル、ガーゼ、ブラシ立て、お湯や水なども会場に持参する必要があります。忘れ物がないよう、しっかりチェックしてください。

<会場に用意されるもの>

機材 仕様
作業台 W1800×D450×H700(内高640)
電気スタンド クランプ式:100V 40W
完成作品保管・展示用長机 W1800×D450×H700程度
長机用テーブルクロス 白色・ビニル製
椅子 背もたれ付き
ゴミ袋 A4サイズ目安
セロテープ

<選手が持参するもの> ※は、必要に応じて持って行く物

消毒用エタノール・エタノール用容器 コットン・コットン容器
ウェットステリライザー ポリッシュリムーバー・容器
キューティクルリムーバー ベースコート
トップコート ポリッシュカラー(赤)
ネイルプッシャー キューティクルニッパー
ファイル・バッファー類 ウッドスティック
ハンドタオル※ ガーゼ
ダストブラシ トレー
ブラシ立て フィンガーボール
ペーパータオル アームレスト
作業エリア用タオル(白無地) 水入れ(ケア用)※
タイマー※ 水筒・お湯・水
ジェルネイルランプ ジェルクレンザー(クリーナー)
ジェル用コットン(ワイプ類) 爪用消毒剤
ベースジェル トップジェル
カラージェル(マット赤) ジェル用の筆※
スパチュラ(カラージェル撹拌用) 延長コード
(ACアダプターが大きくないもの)

大会前に公開される課題には、どの機材・道具類をどこにセッティングするかも記載されています。競技開始前に全ての機材・道具・材料等をバッグから出してセッティングしなければなりませんので、近くに置く物同士をある程度まとめておくとよいでしょう。

なお、メモやデッサン画、参考書等の資料の持ち込みは一切禁止です。

連れて行くモデルの爪の状態は、大会当日に以下の状態でなければなりません。競技前に審査がありますので、持ち物だけでなくモデルの爪の状態も要チェックです。

<競技開始前のモデルの爪の状態>

左手 ネイルケアとファイリングを終了している状態
右手 1週間、ネイルケアやファイリングをしていない状態
左右共通 –   爪に亀裂がある場合、ネイルグルーのみ可(事前に補修)

–   何も塗布していない状態

–   爪の長さは手のひら側から見て1mm以上5mm程度まで

–   爪は形を整えられる長さがある

「ネイル施術」の制限時間と課題概要

ネイル施術は競技自体にかかる時間の他に、セッティングや課題の合間にある審査時間などがあります。競技中に必要なものがセッティングされていないことのないよう、よく確認しながら準備しましょう。なお、審査中はモデルの手に触れてはいけません。

制限時間

「ネイル施術」の制限時間は、課題1が20分課題2が50分です。

競技開始前にセッティングを行う時間が30分あり、モデルの審査も行われます。さらに、課題1と課題2の間に10分間の審査時間もあります。
以上をまとめると、全体の流れは以下のようになります。

内容 時間
セッティング 30分
モデルの審査
課題1 20分
審査 10分
課題2 50分

競技が終了したら、競技委員に申し出て、席で静かに待ちましょう。

課題概要

「ネイル施術」の課題1は「ベーシックマニキュア」で、右手のネイルケアを行います。
課題2は「カラーリング」で、右手5本にポリッシュカラーを、左手5本にカラージェルを塗っていきます。

それぞれの手順は、以下のとおりです。

課題1 「ベーシックマニキュア」ネイルケア(右手)
(1)手指消毒
(2)ファイリング –   10本同じ形にする

–   エッジのカットスタイルは自由

–   長さは1mm〜5mm

(3)キューティクルの処理 –   ウォーターマニキュアを行う

–   メタルプッシャー・ウッドスティック・ネイルマシーンのみ使用可

–   爪の表面をバッファーで整える

–   ネイルオイル・シャイナーは禁止

(4)両手のバランスを整える –   時間内であれば左手を整えてもOK
(5)仕様した器具・材料の片付け –   器具・材料の片付け

–   ペーパータオルの交換 など

課題2 「カラーリング」(両手)
右手5本にネイルポリッシュによるカラーリングを行う –   爪の油分除去

–   ベースコート

–   カラーポリッシュの二度塗り

–   トップコート

※全ての工程でエッジも塗る

左手5本にジェルネイルによるカラーリングを行う –   プレパレーション(サンディングも行う)

–   ベースジェル

–   カラージェルの二度塗り

–   トップジェル

–   未硬化ジェルの拭き取り

※全ての工程でエッジも塗る

衛生面、安全面に十分気をつけながら施術を進め、最終的に両手の爪のバランスがよく、彩りの美しい仕上がりを目指しましょう。

競技種目「フラワーアレンジメント」とは? 評価ポイントは形・配置の美しさ

競技種目「フラワーアレンジメント」は、支給される花材等を使って指定されたスタイルの花束などを製作する競技です。全国大会では3つの課題で競われますが、東京大会では、そのうち最初の課題であるラウンド型の花束の製作のみが課されます。

東京大会の「フラワーアレンジメント」は、毎年概ね同じ制限時間やスタイルで実施されており、テーマが年によって異なるのが特徴です。
主な評価基準は、指定された条件に従って製作されていることと、完成品の形・花の配置の美しさ。これを達成するには、テーマにあった花選びや配置が重要です。

花材や道具類は会場側で用意されます。選手はハサミなどの花を切る道具を持参しましょう。

「フラワーアレンジメント」の制限時間と課題概要

「フラワーアレンジメント」の主な課題内容や制限時間は、前年度と同様です。時間内に作品を完成させ、片付けまで終えることが求められますので、時間配分を意識しながら練習していきましょう。

制限時間

「フラワーアレンジメント」の制限時間は70分。この時間内にテーマに合わせた作品製作から片付けまでを行う必要があります。
競技本番で使える予定の花材は、事前に公開される課題で確認できます。どの花をどう使うか、どのくらいの時間で各工程を行うかなど、練習の中で自分に合った進め方を探ってみてください。

会場で用意される花材や資材の配置を変更したい場合は、競技開始までに競技委員に相談しましょう。

課題概要と支給される物

今回の課題は、前年度と同じラウンドスタイルの花束の製作です。製作テクニックもスパイラルテクニックから変更はありません。

<製作する花束の条件>

  • ラウンドスタイルで製作する
  • 競技当日に公表されるテーマに沿って作成する
  • 花瓶に入れた時に、どの方向から見ても美しく見えるように仕上げる
  • スパイラルテクニックで構成する
  • 高さ・幅ともに35〜40cm以内で製作する
  • 完成した作品はテーブルに自立させる

テーマは、退職祝いから季節のイベントまで多様です。年中行事や人生の節目など、さまざまなテーマでの製作を考えておくとよいでしょう。
会場には、以下の資材や花材が用意されました。

<会場で支給された物>

ダリア バラ
ラナンキュラス カーネーション
スイトピー スプレーバラ
てまり草 かすみ草
アイビー ローゼゼラニウム
ルスカス
麻ひも ゴミ袋
ぞうきん 花用バケツ
新聞紙 メジャー

競技終了後には机の上が作品のみになっているよう、作品完成後にきれいに片付けることも忘れないでください。

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