2021/07/21
アビリンピック過去問題|第18回東京(2019)ネイル施術・フラワーアレンジメント・パソコン操作・パソコンデータ入力
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アビリンピックの競技種目は、時代の変化に合わせて変化しています。その中で、東京アビリンピックの種目として比較的新しいのが「ネイル施術」や「フラワーアレンジメント」です。
今回は東京アビリンピックの「ネイル施術」「フラワーアレンジメント」と、以前から対象者を限定して実施されてきたパソコン系種目「パソコン操作」「パソコンデータ入力」についてお伝えします。
もくじ
競技種目「ネイル施術」の概要と評価ポイント
東京アビリンピックの「ネイル施術」では、モデルを選手自身が連れていくとともに、事前に左手のネイルケアを済ませておくことが特徴。全国アビリンピックよりも少ない課題で競技を行っています。
身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能です。
「ネイル施術」の課題概要
東京アビリンピック「ネイル施術」の課題には、「ベーシックマニキュア」と「カラーリング」があります。
「ベーシックマニキュア」では、モデルの右手にネイルケアを施します。具体的には、爪の長さ・形・表面など全体を整える、キューティクルのお手入れをするなどです。
モデルの右手は競技前の1週間はケアをしていない状態にしておき、競技内でケアを済ませるという流れです。
左手は競技が始まる前までにネイルケアとファイリングを終了させておきます。
「カラーリング」では、モデルの右手と左手に別々のカラーリングを行います。
- 右手5本:ポリッシュ(赤)
- 左手5本:ジェル(マット赤)
当日は何も塗布していない状態から始めるというルールです。爪の長さは、手のひら側から見て1mm以上5mm程度までに整えておきましょう。
「ネイル施術」で使う物
会場には基本的な作業環境は用意されていますが、消毒用エタノールやコットン、ポリッシュカラー、ベースジェル・トップジェル・カラージェル、その他道具類は選手が持参しなければなりません。かなり大きな荷物になりますので、ボストンバッグなどに整理して持っていきましょう。
<競技会場に準備されるもの>
- 作業台
- 電気スタンド(選手用)
- 完成作品保管・展示用長机とテーブルクロス
- 椅子
- ゴミ袋(A4サイズ目安)
- セロテープ
<選手が持参するもの>
- 消毒用エタノール・消毒用容器
- ネイルコットン・コットン容器
- ウェットステリライザー
- ポリッシュリムーバー・ポリッシュリムーバー用容器
- キューティクルリムーバー
- ベースコート・トップコート
- ポリッシュカラー(赤)
- ネイルプッシャー
- キューティクルニッパー
- ファイル及びバッファー類
- ウッドスティック
- ハンドタオル
- ガーゼ
- ダストブラシ
- トレー
- ブラシ立て
- フィンガーボール
- ペーパータオル
- アームレスト
- 作業エリア用タオル(白無地)
- 水入れ(ケア用)
- タイマー
- 水筒(ケア用のお湯および水)
- ジェルネイルランプ
- ジェルクレンザー(クリーナー)
- ワイプ類(ジェル用コットン)
- 爪用消毒剤(ジェル塗布前に使用)
- ベースジェル・トップジェル
- カラージェル(マット赤)
- ジェル用の筆
- スパチュラ(カラージェル撹拌用)
- 延長コード
- その他施術に必要と思われる物
なお、作業テーブルや椅子の高さ自体を調整することはできませんので、椅子用クッションなどを持参して自分に合う高さに調整してください。
競技にあたり、メモ、デッサン画、参考書、その他資料の持ち込みは一切できません。
「ネイル施術」の制限時間
東京アビリンピックの「ネイル施術」の競技時間は、
- ベーシックマニキュア(右手5本):20分
- カラーリング(右手 ポリッシュ、左手 ジェル):50分
となっています。選手からの申し出で競技が開始され、競技時間終了の合図で競技終了です。
特にカラーリングでは、時間内に以下の作業を全て行う必要があるので効率よく進めましょう。
<ポリッシュカラーリング>
- 爪の油分除去
- ベースコート(エッジも塗る)
- カラーポリッシュ(赤)2度塗り(エッジも塗る)
- トップコート(エッジも塗る)
<ジェルカラーリング>
- プレパレーション(必ずサンディングから行う)
- ベースジェル(エッジも塗る)
- カラージェル(赤)2度塗り(エッジも塗る)
- トップジェル(エッジも塗る)
- 未硬化ジェルの拭き取り
「ネイル施術」の評価ポイント
「ネイル施術」の評価ポイントで最も重要なのは、衛生的な施術を行い、美しい仕上がりになっていることです。
<ベーシックマニキュアの評価ポイント>(両手)
- 衛生的に施術を行っている
- 器具・材料を正しく使っている
- フリーエッジの削りあとがなめらかで、削り残しやダストが残っていない
- ルーススキンが除去されている
- ささくれや甘皮の処理がきれいにされている
- 10指のフリーエッジの長さと形がバランス良くそろっている
- 競技時間内に全ての作業を終了している
※出血や傷などがある場合は減点
<カラーリングの評価ポイント>(両手)
- 衛生的に施術を行っている
- 製品を安全かつ用途に応じて適切に使っている
- エッジの塗りが適切である(裏面は塗布しない)
- 厚みが均一で塗り残しがない
- キューティクルラインが空きすぎず、なめらかである
- サイドの塗り残しがない
- 表面に色むらや刷毛のあと、凹凸がない
- 皮膚に製品がついていない
- 両手のカラーの色が合っている
- 左右の仕上がりがバランス良く形が整えられている(かけはなれていない)
- 競技時間内にトップまで塗られている(ジェルは表面のべたつきがない)
競技種目「フラワーアレンジメント」の概要と評価ポイント
競技種目「フラワーアレンジメント」も東京アビリンピックでは比較的新しい種目。全国大会で出される課題の一部と同じような内容で競技を行っています。
身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能です。
「フラワーアレンジメント」の課題概要
東京アビリンピックの「フラワーアレンジメント」では、ラウンド型の花束を製作します。競技当日に発表されるテーマに合わせて製作しなければなりません。
大きさや製作テクニックなどが指定されるので、条件に合わせて製作を進めましょう。
<製作条件>
- スパイラルテクニックで構成する
- 完成作品はテーブルに自立させる
- できあがりの寸法:高さ 35〜40cm以内、幅35〜40cm以内
- 当日発表されるテーマに合わせて製作する
当日に発表される花束のテーマとしては、季節のイベント、お祝い、お見舞い、告白、枕花などが挙げられています。
多彩なテーマ候補がありますので、選手はさまざまな状況を想定して製作練習をする必要があるでしょう。
「フラワーアレンジメント」で使う物
競技で使用する材料、道具などは主に会場で用意されたものを使用します。
<会場に準備されるもの>
- 植物素材
- 麻ひも
- ゴミ袋
- ぞうきん
- 花用バケツ
- 新聞紙
- メジャー
ただし、ハサミなど花を切る道具に関しては選手自身が使い慣れたものを持参して構いません。競技中の道具類の貸し借りはできませんので、必要な物を忘れずに持参してください。
「フラワーアレンジメント」の制限時間と評価ポイント
「フラワーアレンジメント」の競技時間は70分。この制限時間内に後片付けまで済ませる必要があります。
競技は「始めてください」の合図で開始され、「終了です」の合図で終了です。
<評価ポイント>
- 花瓶に入れた時に、どの方向から見ても美しく見える
- 製作条件を守っている
- テーマに合った花選びとデザインである
- 競技時間内に片付けまで済ませ、机の上が作品のみになっている
競技種目「パソコン操作」の特徴・概要と評価ポイント
アビリンピック競技種目「パソコン操作」は視覚障害者のみが参加できる競技種目。スクリーンリーダや画面の文字を拡大する機能などを用いて、Excelを用いたデータ処理の技能を競います。
「パソコン操作」の概要
競技種目「パソコン操作」は、Excelファイルなどを用いて出題された課題に沿ってExcelに解答を入力する形で進められる競技です。2019年度の東京アビリンピックでは「出勤簿」と「銘柄一覧」に関する問題が出されました。
具体的な操作としては、たとえば以下のようなものが求められています。
<出勤簿に関する問題>
- 休日一覧表を確認しつつ、関数を用いて1月の稼働日一覧を作成する
- 指定のセルに出勤時刻と退勤時刻をそれぞれ入力する
- 休憩時間1時間を差し引いた勤務時間を求める(出勤時刻または退勤時刻が未入力の場合は勤務時間が表示されないように設定)
- 9時から18時の1日18時間勤務として、18時以降の残業時間を15分単位で切り下げ処理する
- 残業時間を求める
- 1月の外勤の日付をリストから選べるように設定する(土日祝日以外の日付)
- 年や月を変更すると、外勤の日付リストや稼働日の一覧もその年・月に合わせて変わるように設定する
- 社員名簿に記載されている生年月日(年/月/日)を序数付きの英語表記(例:January 21st, 1960)に変える
「パソコン操作」の課題では、勤務時間や残業時間を関数で求める問題が頻繁に出題されています。出勤簿作成に関する操作や使用する関数などに慣れておくとよいでしょう。
(関連記事)
アビリンピック過去問題|第17回東京(2018)パソコン操作とパソコンデータ入力
「パソコン操作」の制限時間
「パソコン操作」の制限時間は60分。
昨年度と同じように、この60分で2つの課題を仕上げる必要があります。
「パソコン操作」の評価ポイント
「パソコン操作」の評価ポイントは、求められた操作や設定を間違いなくできているかどうか。日付や時間などは関数を使って求めるのが基本です。そのため、時間や日付を求める関数を使い慣れていることや、IF関数を用いて入れ子になった関数を扱えるかどうかなどが評価に影響するでしょう。
競技種目「パソコンデータ入力」の特徴・概要と評価ポイント
アビリンピック競技種目「パソコンデータ入力」は知的障害者のみが参加できる種目。パソコンを使ったデータ入力や帳票作成、文章修正の技能を競います。
全体的に作業量が多めで、きちんとルールに従って入力する必要があります。
「パソコンデータ入力」の課題概要と制限時間
「パソコンデータ入力」は、ExcelやWordを用いて入力・修正等を行う競技種目です。紙で支給されるアンケート用紙の内容をExcelの画面に入力したり、Wordを使って文章の修正を行ったりします。
2019年の東京アビリンピックでは、一部の課題で名称や内容の変更がありました。
<「パソコンデータ入力」の3つの課題>
- データ入力競技課題(「アンケート入力競技課題」から変更)
- 帳票等作成競技課題
- 文章修正競技課題(「ワープロ入力競技課題」から変更)
<課題内容の変更点>
- データ入力競技課題 … Excelのシートへの入力に変更(指定のセルに正しく入力)
- 帳票等作成競技課題 … 大きな変更なし・Excelで見本どおりに帳票を作成する
- 文章修正競技課題 … 見本の文章の入力から、見本の文章のとおりに文章を修正するものに変更・Wordを使用
競技時間に変更はなく、いずれの課題も制限時間は30分です。
「パソコンデータ入力」の評価ポイント
「パソコンデータ入力」の評価ポイントは、速さと正確性です。
各課題で出される指示に従って、全角・半角、フォント、文字のサイズなどのルールを守りながら作成できているかどうかが大きなポイントになります。
帳票等作成では
- 文字や数字の内容
- 入力するセルの位置
- 罫線の種類や太さ
を見本と同じにしなければなりません。この時、
- 表示形式や横位置、縦位置
- 列の幅や行の高さ
- 下線・太字・下二重罫線
- 計算式や関数
- セルの結合
なども指定されることがありますので、忘れずに指定しましょう。
文章修正競技課題では、とにかく文章量が多いことに注意。A4紙で7ページ分の文章について、見本と同じ表記になっているかどうかを確認・修正しなければなりません。
文章修正競技では筆記用具の持ち込みが認められていますので、どこまで確認したか、どこが間違っているかを見本に書き込みながら作業を進めましょう。