アビリンピック過去問題|第40回全国(2020)ワードプロセッサ・表計算


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パソコンを使う仕事で必ず必要になるWordとExcel。アビリンピック競技種目「ワード・プロセッサ」と「表計算」では、Microsoft Officeの基本とも言えるこれら2つのソフトを使いこなす技能を競います。2020年度大会での出題内容は例年と同様だったものの、「表計算」では関数とともにグラフ作成にも苦戦する選手の姿が見られました。

2020年度の「ワード・プロセッサ」はテーマパーク開園の告知文書を作成

競技課題は、例年どおり和文文書作成と英文文書作成の2つでした。競技本番で配布される見本の文書と同じものを指示に従いながら作成します。

今大会の和文文書のテーマは「AICHIファーマーズランド」という農業体験型テーマパークのオープン案内の作成。作成に必要な機能等は例年と同様で、当日課題の指示に従って書式設定を行ったり、図表の作成・挿入を行ったりする内容です。英文文書では、英語で愛知県の観光スポットを紹介する、グラフを作成するなどの内容が出題されました。

コロナ禍の影響が大きく、2020年度全国大会での参加者数は例年よりも少ない32名でした。

「ワード・プロセッサ」の制限時間・評価ポイント

和文文書の制限時間は80分、英文文書は60分です。今大会は午前9時〜12時で競技が実施されました。

「ワード・プロセッサ」では制限時間内で効率的に文書を作成するとともに、バランスのよい見た目に仕上げるスキルが問われます。主な評価ポイントは以下のとおりです。

<「ワード・プロセッサ」の評価ポイント>

  1. 文字の入力スピード
  2. 入力内容は正確か
  3. Wordの機能を効果的に使えているか
  4. ページ設定は指示に従っているか
  5. 見本どおりに作図できているか
  6. オブジェクトやグラフィックは正しく挿入されているか
  7. 見本どおりに表が作成されているか
  8. カラー印刷に適した色の選択、コントラスト等の設定ができているか

2020年度大会の講評では「非常にハイレベルで見栄えの良い」作品が多かったと高く評価され、金賞1名、銀賞1名、銅賞2名、努力賞1名が出ています。

「ワード・プロセッサ」の課題概要と必要な操作

今年度の課題は、和文文書作成が新しくオープンするテーマパークの紹介、英文文書が愛知県の観光スポットの紹介。使われたOSとソフトは以下のものです。

  • OS:Windows 10
  • ワープロソフト:Word 2016(Office 2016)
  • 表計算ソフト:Excel 2016(Office 2016)

和部分文書では表や図形、画像などをバランス良く配置するとともに、段落の行間や段組み、インデントなどを用いて見栄えの良く仕上げなければなりません。英文文書では、英文を入力する速さやグラフ作成スキルなどが必要です。

それぞれの当日課題で出題された主な操作内容は以下のとおりです。

<和文文書での操作>

項目 内容
新規作成・保存 新規文書の作成・保存

ファイル名の変更

用紙設定 A4で作成、印刷面の余白を設定

ヘッダーの位置の設定と入力

フッターの位置の設定と入力

行数の指定

段落の設定の変更

図表等の利用 ワードアードでタイトルを作成

図形の挿入とテキストの入力

図形の塗りつぶしを設定

テキストボックスの挿入

指定の画像を挿入

画像の位置とサイズを調整

表の作成、データ入力

表の罫線を変更、配置の変更

セルの塗りつぶし設定

図形と画像を使ってマップを作成

文字入力 指定された文字を入力
段落・書式の設定 指定文字列の書式を設定

インデント(字下げ)を設定

箇条書きの設定・行頭文字の色を指定

行間の設定、段組みの設定

均等割り付け(5文字)を設定

右揃えを設定

スタイルの設定

(見出し1、見出し2、本文)

ファイルの操作

印刷

TXTファイルからテキストを挿入

作成した文書を印刷

<英文文書での操作>

項目 内容
新規作成・保存 新規文書の作成・保存

ファイル名の変更

用紙設定

書式設定

A4で作成

マージン1インチ(2.45cm)を設定

とじしろ0に設定

ページ罫線を引く

図表等の利用 ワードアードでタイトルを作成

画像を挿入しサイズと位置を調整

画像を挿入しグレースケールに変更

図形とテキストボックスを挿入

図形の色を変更

表を作成、データ入力、罫線を変更

セル内に画像を挿入

(トリミング、サイズ調整)

画像のスタイルを変更

(四角形、面取り)

データシートから3-D円グラフ作成

(グラフタイトル、データラベル、グラフの外枠設定あり)

文字入力 指定された文字を入力

脚注を入力

段落・書式の設定 行間を1行に設定

両端揃えに設定

右揃えに設定

文字の効果を設定

(透視投影、影の透明度10%)

インデント2字を設定

文字の網かけを設定

ファイルの操作

印刷

文書をPDF形式で保存

作成した文書を印刷

「ワード・プロセッサ」の競技ルールと持ち込めるもの

「ワード・プロセッサ」では競技本番に辞書類を持ち込むことができます。競技ルールとあわせて確認しておきましょう。

<選手が持ち込めるもの>

  • 国語辞典・漢和辞典・英和辞典等
  • 筆記用具等
  • 障害特性に応じた補助具等(事前に許可を得て競技前日に導入する)

<選手が持ち込めないもの>

  • 事前に配布された課題
  • メモ
  • 辞書類以外の参考書
  • その他資料等
  • USBメモリ等の記憶媒体

<競技のルール>

  • 着席の合図(パトライトの点滅)があったら指定された座席に直ちに着席する
  • 競技課題は、紙媒体で書見台の上に裏返して配付する(競技開始の合図があるまで見てはならない)
  • 競技開始と競技終了の合図は競技委員が行うとともに、「手話」や「パトライト」による合図も実施する
  • 競技終了の合図があったら直ちに競技を終了する
  • 競技中に機器が故障した場合は競技委員の指示に従う
  • 時間内に競技が終了したら競技委員に申し出る
  • 完成した文書は競技終了後に印刷して提出する

2020年度の「表計算」は関数、グラフ作成に注意

アビリンピック競技種目「表計算」は、MicrosoftのExcelを用いて表の作成や装飾、グラフ作成、関数式を使うなどのスキルを競う種目です。4つの課題を制限時間内に完成させなければなりません。

課題に取り組む順番は選手に任されているため、Excelを扱うスキルとともに、どのような順番で取り組めば効率よく進められるかという判断も重要なポイントになります。

2020年度大会には24名の選手が参加しました。

「表計算」の制限時間・評価ポイント

「表計算」では、制限時間75分の中で4つの課題に取り組みます。課題の取り組み順は自由です。今大会では午前9時から10時45分で競技が実施されました。

競技課題では細かく指示が記載されているため、それらの指示にきちんと従って作成・編集できているかどうかが最大の評価ポイントになります。また、75分という短い時間の中で4いかに効率よく作業を進められることも同じくらい重要です。詳しくは後でご紹介する「表計算」の課題概要をご確認ください。

今回の講評では、多くの選手が苦戦する課題2と課題4について解決すべき点や注意するポイントが伝えられました。

たとえば、課題2「関数式による表の完成」では、毎年の様子と同様、関数の設定に時間をとられ他の課題に十分取り組めない、見直しの時間をとれない、慌ててしまい課題文を読み間違えたり見落としたりしてしまうといった選手の姿が指摘されています。課題にある指示に対してどのような関数を用いるべきか、どの順番で引数を設定するかをより早く判断できるよう練習する必要があるとのことです。

課題4「グラフ作成」では、データの範囲の選び方、指定する順番などに気をつけるようアドバイスがありました。知識や操作テクニックだけでなく、求める結果を得るための手順や考え方もしっかり確認しておきましょう。

「表計算」の課題概要

「表計算」の4つの課題のうち、課題1は「装飾・編集」、課題2は「関数式による表の完成」、課題3は「データ処理」、課題4は「グラフ作成」となっています。

各課題の主な内容は以下のとおりです。使用する主な機能や操作は、下表の「主な要素」をご覧ください。

<「表計算」課題の主な要素>

課題名 主な内容 主な要素
課題1 装飾・編集 数値入力、配置変更、罫線変更

図形描画、フォント変更

配置変更、塗りつぶし

数値や書式の貼り付け

数式の修正、条件付き書式の設定

行・列のサイズ変更・削除

行・列の非表示

課題2 関数式による表の完成 セル範囲に名前を定義

10〜13種類の関数の入力

(関数の入れ子あり)

ユーザー定義書式の表示形式設定

課題3 データ処理 フィルターによる抽出・並替え

詳細設定による抽出・並替え

新規シート作成、データの貼り付け

小計、集計表の作成

課題4 グラフ作成 各種グラフから指定された1種類を作成

グラフの各要素のうち7〜8分類の項目を編集

印刷範囲の設定、余白設定

ヘッダー・フッターの設定

多くの選手が苦戦する課題2では、数ある関数の中から10種類以上の関数を組み合わせて指定された結果を出すことが求められます。出題範囲となる関数は以下のもの。どれを出されても対応できるよう、十分に使い方を理解、練習しておきましょう。

<課題2の出題範囲>

関数の分類 関数
統計関数 AVERAGE、AVERAGEIF、AVERAGEIFS

COUNT、COUNTA、COUNTBRANK

COUNTIF、COUNTIFS

LARGE、MAX、MIN、RANK.EQ

SMALL

数学/三角関数 ABS、CEILING、FLOOR、INT

MOD、ROUND、ROUNDDOWN

ROUNDUP

SUBTOTAL、SUM、SUMIF

SUMIFS、TRUNC

日付/時刻関数 DATE、DATEVALUE

DAY、HOUR、MINUTE、MONTH

NOW、SECOND

TIME、TIMEVALUE

TODAY、WEEKDAY、WORKDAY

YEAR、DATEDIF

文字列操作関数 ASC、CLEAN、CONCATENATE

FIND、FINDB、FIXED、JIS

LEFT、LEFTB、LEN、LENB

LOWER、MID、PROPER

REPLACE、REPT

RIGHT、RIGHTB

SUBSTITUTE、TEXT、TRIM

UPPER、VALUE

検索/行列関数 CHOOSE、HLOOKUP

INDEX、MATCH、VLOOKUP

論理関数 AND、FALSE、TRUE

IF、NOT、OR

データベース関数 AND、FALSE、TRUE

IF、NOT、OR

 情報関数  PHONETIC

課題4のグラフ作成において、構成要素の編集に関する出題範囲は次のとおりです。

<課題4 グラフの編集 出題範囲>

グラフエリア グラフタイトル 凡例
プロットエリア 軸ラベル(数値軸・項目軸) 数値軸
項目軸 目盛線(数値軸・項目軸) データラベル
データ系列

これ以外にも編集できる箇所は出題される可能性がありますので、なるべく多くの項目を適切に編集できるよう練習しておくとよいでしょう。

【参考】
アビリンピック 公式サイト
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)|JEED

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