2022/12/14
アビリンピック過去問題|第40回全国(2020)ネイル施術・写真撮影
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2020年度の全国アビリンピックにおいて、競技種目「写真撮影」が現在の職業写真における業務の流れに合わせてリニューアルされ、本競技に復活しました。今大会の「写真撮影」には6名が参加しています。競技種目「ネイル施術」とあわせて、各課題概要をお届けします。
もくじ
2020年度の「ネイル施術」は一部課題で時間短縮
アビリンピック競技種目「ネイル施術」は、モデルを使ってネイルケアやカラーリングの技術を見せるとともに、ネイルチップアートでデザイン力を競う競技。2020年度全国大会では一部課題の制限時間が大幅に短くなり、いかに効率よく丁寧に作業を進めるかがポイントとなりました。
今大会での参加選手は3名で、金賞受賞者はありませんでした。
大会講評では、ていねいな施術が出来ていたことやネイルケアとカラーリングの基本的な技術が全体としてレベルアップしたことを評価。一方で、最終的な仕上げと繊細さにおいて上位者とそうでない選手との違いが出たとしています。
「ネイル施術」でより高得点を狙うには、
- 爪の形をそろえること
- 甘皮処理を十分に行うこと
- エッジやサイドに塗り残しを作らないこと
といった部分に気をつけましょう。
「ネイル施術」の制限時間・評価ポイント
「ネイル施術」の制限時間は、以下のとおりです。
課題 | 内容 | 制限時間 |
課題1 | ネイルケア | 30分 |
カラーリング | 15分 | |
課題2 | ネイルチップアート | 70分 |
制限時間が短縮されたのは、カラーリングとネイルチップアート。カラーリングでは5分、ネイルチップアートでは20分ほど短くなりました。
各課題には細かく評価ポイントが設定されていますので、練習の際もこれらを意識して取り組むとよいでしょう。
<課題1 ネイルケアの評価ポイント>
- 衛生的に施術を行っている
- 器具・材料を正しく使用している
- フリーエッジの削りあとがなめらかで、削り残しやダストが残っていない
- ルーススキンが除去されている
- ささくれや甘皮処理がきれいに施されている
- 10本のフリーエッジの長さと形がバランス良く揃っている
- 時間内に作業全てを終了する
<課題1 カラーリングの評価ポイント>
- 衛生的に施術を行っている
- エッジの塗り残しがない
- キューティクルラインが空きすぎずなめらかである
- サイドの塗り残しがない
- 表面に色むらや刷毛あとがない
- つやがある
- 皮膚にカラー類がついていない
- 時間内にトップコートまで塗られている
<課題2 ネイルチップアートの評価ポイント>
- 一枚のチップの仕上がりにアートデザインが50%以上施してある
- 爪に1枚単位で装着可能なアート作品である
- テーマに合ったデザインである
- オリジナル作品であり、デザイン性が優れている
- 色彩バランスやペイントテクニック等に優れている
- 時間内に完成させている
時間内に指定された工程まで完了できない場合、減点となってしまいます。練習段階から時間配分を意識しつつ、衛生的で丁寧な施術を心がけてください。
「ネイル施術」で選手が持参するもの、会場に用意されるもの
競技種目「ネイル施術」は、選手が持参する器具や材料がとても多いのが特徴です。忘れ物をしないよう、チェックリストなどを作成してしっかり準備を進めましょう。
<選手が持参するもの>
- 競技で施術するモデル
- 消毒用容器(スプレーボトル等)
- コットンとコットン容器
- ウェットステリライザー(消毒用タンブラー等)
- メンダ(容器)
- ベースコート
- トップコート
- ポリッシュカラー(マット赤)
- ネイルプッシャー
- キューティクルニッパー
- ネイルファイル(エメリーボード)
- シャイナー
- ウッドスティック
- バッファー
- ガーゼ(ネイルケア用)
- ダストブラシ
- トレー(全ての用具を入れるためのもの)
- ブラシ立て(ファイルスタンド)
- フィンガーボール
- ペーパータオル
- アームレスト
- 作業エリア用タオル(白無地タオル)
- チップスタンド(5個組)
- その他施術に必要と思われる物
ただし、メモ、デッサン画、参考書、その他の資料等の持ち込みは一切できません。書見台等の補助具の導入が必要な場合は、事前に事務局に申し出てください。
競技会場には、作業台やゴミ袋等の主な設備が用意されています。消毒用エタノール、水、電気ポットも用意されていますので、競技開始前に位置をよく確認してスムーズに用意できるようにしましょう。
<会場に用意されるもの>
- 作業台とイス、テーブルシート
- 選手用電気スタンド(クランプ式蛍光灯)
- 完成品保管・展示用長机とテーブルクロス
- ゴミ袋(45号)
- 消毒用エタノール
- ポリッシュリムーバー
- キューティクルリムーバー
- ネイルチップ
- 水(お湯の温度調整用)
- 電気ポット(1台を参加者で共有)
なお、作業台は幅1800mm×奥行き450mm×高さ700mm程度の長机です。練習の際に同じようなサイズのテーブルを使うか大きなテーブルの一部をテープ等で区切り、実際の広さの中で機材等の配置や作業の進め方のイメージをつかみましょう。
「ネイル施術」の課題概要
「ネイル施術」の具体的な課題の概要は、大会前に「競技課題A」として公開されています。制限時間や注意事項、当日の持ち物やアートチップの大きさなど、細かな条件が記載されていますので、事前によく確認してください。
2020年度の各課題の概要は、以下のとおりです。
課題 | 概要 |
ネイルケア | ※ウォーターケアを利用したネイルケアをモデルの両手に施す
|
カラーリング | ※ポリッシュカラーのマット赤を使用する
|
ネイルチップアート | ※テーマ「花」にあったネイルアートをネイルチップ5本に施す
|
なお、競技を進めるにあたり、いくつかの注意事項があります。違反すると減点もしくは競技への参加ができなくなってしまいますので、練習の際はこうしたルールもしっかりと意識しましょう。
<「ネイル施術」の注意事項>
- 競技で施術するモデルは選手が各自で手配する
- モデルの爪の状態は、ネイルカラーなどが何もついていないナチュラルネイルの状態(爪の長さは手のひら側から見て1mm以上5mm程度まで、1週間以上お手入れがされていない状態)
- テーブルセッティングは競技開始前までに全て完了させる(競技中に使用器具、材料をカバンから出す場合は原点となる
- 使用する器具、材料は全てトレー内に準備する
- 審査中はモデルの手や爪に触れない
- モデルに出血が生じた場合は、近くにいる競技委員に報告して指示に従い、手指消毒をしてから施術を再開する
- 器具、材料を落とした場合は放置せず、拾って破棄する(破棄できない物は消毒液で消毒してからセッティング、使用する)
- 使用機材に不具合が発生した場合は競技委員に報告し、指示に従う
- ネイルアートの装飾品として、ラメ、ラインストーン、スタッズなどの使用は可だが、市販のネイルシール、3Dパーツといったデザイン性があるパーツを使用することは不可
- ネイルアートにおいて、著作権など他者の権利を侵害しない
- ネイルアートはネイルケースに入る作品(9cm×13.5cm×2.5cm)とし、5本全体で1つのテーマを表現する
いずれも競技の公平性や衛生面等に関わる重要な項目です。
2020年度の「写真撮影」は実際の業務に基づきリニューアルして開催
アビリンピック競技種目「写真撮影」は、2006年全国大会以来の開催です。新種目として競技内容をリニューアルし、職業写真の日常業務等に合わせた課題内容となりました。現在の職業写真では撮影だけでなく、その後のPC処理もカメラマンの業務となっていることから、競技時間の前半は撮影、後半はPC処理の時間という構成で進められます。
今大会の「写真撮影」に参加した選手は合計6名。金賞1名、銀賞1名、銅賞1名、努力賞1名という結果でした。
大会講評によれば、「プリントまでの工程では僅差」だったものの、「上位入賞した提出社員は課題テーマが集約され画面の隅々まで配慮されて」いた点が最終審査に大きく影響したとのことです。
「写真撮影」の制限時間・評価ポイント
「写真撮影」の合計制限時間は4時間です。午前に2時間半の写真撮影を行い、午後には1時間半でPC処理を行います。
項目 | 制限時間 |
写真撮影
(午前) |
2時間30分 |
PC処理・プリント
(午後) |
1時間30分 |
2020年度は、10:00-12:30および13:30-15:00の時間帯で実施されました。
「写真撮影」では、以下のような項目が評価ポイントとなります。
<「写真撮影」の評価ポイント>
- テーマに合った魅力的な写真かどうか
- 写真撮影における基本的な技術や総合的な構成力
- 他の競技、イベント等を妨げていないか
- 他の人の迷惑にならないよう配慮して撮影しているか
- 撮影した画像のPC処理(トリミング、明るさの調整)は適切か
撮影可能場所は全国大会の開催会場内の複数箇所です。他の競技参加者やスタッフがいる中での撮影となるため、撮影マナーには特に気をつけなければなりません。
選手が持参するもの、会場で用意されるもの
「写真撮影」で使用するカメラおよび記録媒体は、会場側で用意される物を使用するルールとなっています。
会場側で用意される機材は、以下のとおりです。
<「写真撮影」で会場側で用意される物>
- 一眼レフカメラ(Canon EOS Kiss X8i)
- 接続備品(接続ドライバ、USBケーブル)
- 記録媒体(SDカード)
- 編集用パソコン(Windows 10 Pro 64bit)
- 編集用ソフト(Adobe Photoshop CC)
- プリンタ・印刷用紙
- 写真台紙
選手が自分で持ち込めるのは、原則として撮影やパソコン操作をする際に必要な支援機器等(ズームテキストなどのソフトウェアを含む)のみ。競技で支援機器を使いたい場合は、事前に大会事務局へ申し出て許可を受けましょう。
「写真撮影」の課題概要
2020年全国大会での競技種目「写真撮影」では、会場となった愛知県国際展示場の写真撮影が課されました。テーマは、写真を見た人が「ぜひ行ってみたい!」と思えるような魅力的な写真です。
今大会で撮影場所・内容に使えるのは、
- 愛知県国際展示場の外観
- 展示場のエントランス
- インフォメーション
- ショップ
- その他オープンスペース
など。具体的な撮影可能場所は、選手の会場下見の際に説明されました。
「写真撮影」の競技は、主に以下の流れで進みます。
項目 | 内容 |
写真撮影(午前) | 撮影可能場所で撮影を行う |
PC処理 | 撮影した画像をPCに移す |
画像のファイル名を変更する | |
プリントするが画像4点を選ぶ | |
選んだ画像を編集する(トリミング、明るさ調整のみ) | |
編集した画像を支給される記録媒体に保存する | |
プリントの準備 | 競技委員の指示に従い、フォルダ作成、画像の移動等を行う |
プリント | 選んだ画像4点をA4紙にプリントする |
提出 | プリントした作品に1点ずつゼッケン番号を記入する |
プリントした作品を指定された台紙に挟み込んで提出する |
なお、肖像権を考慮し、カメラに記録された画像は最終的に全て削除しましょう。
自分の機材を使えないことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。今大会の金賞受賞者の方も、普段使っているカメラと異なるカメラで撮影することにはじめは戸惑ったそうです。しかし、競技で使っていくうちに「カメラの特徴やクセみたいなものが分かって」きたとのこと。会場の隅々まで歩き回ってイメージに合う写真をじっくり考えながら撮影を進めたことが、受賞につながりました。
大会の講評でも、「写真は沢山撮ることが上達の近道」としています。普段から多くの写真を撮り、より魅力的な作品を目指していきましょう。
今後、地方アビリンピックでも「写真撮影」の開催が増えると予想されますので、腕に覚えのある方はぜひ挑戦してみてください。
【参考】
アビリンピック 公式サイト
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)|JEED