2022/05/17
アビリンピック過去問題|第40回全国(2020)DTP
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チラシやポスター制作に不可欠なDTPの技能を競う全国アビリンピックの競技種目「DTP」。2020年度大会では、花粉症で咳やくしゃみが出る人がコロナ禍で抱える悩みに対応する「花粉症ストラップ」のデザインと、その利用促進のためのポスター制作が出題されました。課題の概要とポイントをお届けします。
もくじ
2020年度の「DTP」は社会状況を反映した内容に
DTPとはDesktop Publishingの略で、印刷用のデザインやデータをパソコンで作成することを指します。全国アビリンピックの競技種目「DTP」では、毎年シンボルマークとポスターの制作が出題されてきました。タイトルやキャッチコピーなども選手が自分で考える必要があるため、幅広い知識やスキルが求められるのが特徴です。
2020年度の全国アビリンピックでは、コロナ禍で生じた困り事をもとに例年とはやや異なる内容の出題に。円形ストラップのためのデザインと、そのデザインを用いたB4サイズのポスター制作です。
課題の制限時間に変更はありませんが、作品で使用する画像は選手が会場下見の際に持ち込み、競技用パソコンに保存する形となりました。
「DTP」の制限時間・評価ポイント
全国大会の「DTP」の制限時間は、3時間です。
デザインの検討は事前に検討することが可能で、今大会では画像も選手が自分で用意できます。そのため、当日に画像ソフトを使ってデザインするスキルだけでなく、大会前にどのくらいアイデアや素材を準備できるかが重要となります。
「DTP」の評価ポイントは、目的に合った画像素材の準備や使用、印刷するためのデータとしての適切性やデザインなどです。
<DTPの評価ポイント>
- 課題の仕様に沿って制作されているか
- 目的に合ったデザインができているか
- デザインの意図に合った素材の使い方ができているか
- 豊かなイメージやインパクトがあるか
- 印刷物に仕上げるためのデータ作成ができているか
課題の内容をしっかり確認し、「何のためにデザインするのか」を考えながら制作を進めましょう。
大会での講評によれば、「DTP」に参加する選手の技術レベルは毎年確実にアップしているとのこと。画像ソフトを使うスキル、印刷に関する知識、制作の意図を理解してデザインするスキル、タイトルやキャッチコピーをつくるスキルなど、今後もより高いレベルが目指されていくと考えられます。
「DTP」の課題概要
2020年度の全国大会の「DTP」では、例年同様2つの課題が出されました。ただし、利用できる画像の自由度が上がり、例年課された「シンボルマーク」は「円形ストラップ」のデザインに変更されています。
作品制作中は仕上がり確認のために、2回までテストプリントが可能です。例年、競技時間終了間際はテストプリントで混み合うため、時間に余裕をもって行いましょう。
<2020年度の課題と仕様>
課題1 | 「花粉症ストラップ」のデザイン制作 |
制作目的 | 感染症の影響で、せきやくしゃみがしづらいという花粉症患者に使用してもらうボールチェーン型円形ストラップ。
自分の症状が花粉症であり、感染症ではないことを周囲にアピールするために使われる。 |
仕様 | 仕上げ寸法:直径7cmの円形
CMYKフルカラー片面 |
その他 | A4サイズにプリントして提出(縦・横自由)
作品の下に制作意図を記入(100字以内) |
課題2 | ポスター制作 |
制作目的 | 「花粉症ストラップ」の存在を知ってもらい、ポスターを見た花粉症患者に「花粉症ストラップを使いたい」と思ってもらう。 |
仕様 | ポスターに使用するもの
・画像(〜2点・印刷可能な解像度・加工自由) ・タイトル ・サブタイトル ・テキスト(フォントスタイル自由) ・ロゴ(形状自由) ・課題1で制作したデザイン 仕上げ寸法:B4(縦横自由) CMYKフルカラー片面 トンボ:裁ち落とし3mmで配置 出力形式:高解像度PDF(PDF/X-1a:2001) |
その他 | A3サイズで印刷して提出(競技時間終了後)
データは課題番号別のフォルダに保存 ファイル名は「競技者番号」と「名前」 |
課題に取り組むにあたり、選手は以下のものを自ら準備しなければなりません。大会当日前に準備が必要なものが多くあります。
<選手が自分で準備するもの>
課題1のデザイン | 事前に選手が考える |
課題2のデザイン | 事前に選手が考える |
画像素材 | 選手が2点まで用意し、指示に従って競技用パソコンに保存する |
タイトル | 選手が考える |
サブタイトル | 選手が考える |
ロゴ | 提供された情報をもとに選手がデザインする |
「DTP」で持ち込めるもの・会場で用意されるもの
「DTP」で制作を進めるために、選手は次のものを大会当日に会場に持ち込むことができます。
<大会当日に持ち込めるもの>
- 鉛筆
- 色鉛筆
- 定規
- カラーマーカー
- 電卓
事前に配布される課題やメモ、参考書、その他デジタル記憶媒体は、当日の競技会場に一切持ち込めません。事前に考えたレイアウト案も、メモやデータといった形では持ち込めませんので、自分で覚えて競技に臨みましょう。
競技で使用するパソコンや画像ソフト、用紙、プリンターなどは会場側で用意されます。
<会場側で用意されるもの>
- パソコン
- OS:Windows 10 Pro
- ソフトウェア
- Adobe Photoshop CC
- Adobe Illustrator CC
- Adobe Acrobat Pro CC
- 材料等
- A4カラープリンタ用紙 3枚
- A3カラープリンタ用紙 3枚
- B4下書き(ラフ)用紙 3枚
- 課題データ一式
- 作品保存用USBメモリ 1個
- プリンター
「DTP」スキルアップには、日頃から情報収集を
今回の「DTP」では、社会状況を反映した制作内容となりました。
実際に困っている方がいることに対する解決策を提案する形ですので、どのようなタイトル・サブタイトルが目を引くか、どのようなデザインであれば「使ってみよう」と感じてもらえるかなどが重要ポイントとなります。
アップデートされていく画像ソフトを扱うスキルとともに、日頃からさまざまなポスターやシンボルマークのデザインパターン、そこから受ける印象などに気をつけて見ておくと、実際の制作でもアイデアの大きなヒントになるでしょう。
【参考】
アビリンピック 公式サイト
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)|JEED