2026/05/27
デジタルアクセシビリティアドバイザーとは?認定試験の概要・合格率・学習方法
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インクルーシブな社会の実現には、駅や通路、店舗、職場などでの環境調整だけでなく、誰でもデジタルを活用できるような支援・調整も欠かせません。そうしたデジタル活用に向けた調整・支援に取り組む人を認定するのが、デジタルアクセシビリティアドバイザー(DAA)という民間資格です。
今回は、デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の創設目的や試験の概要、学習方法などをご紹介します。

もくじ
デジタルアクセシビリティアドバイザーとは?役割・活躍できる仕事

デジタルアクセシビリティアドバイザー(Digital Accessibility Advisor、DAA)とは、「ICT機器などのデジタル機器を障害のある人や高齢者に対して、その困りに合わせて適切にコーディネートし、その利活用をサポートできる知識と技術を認定された人材」のこと。以前は「ICTアクセシビリティアドバイザー」という名称で知られていた民間資格です。※
デジタル技術や機器活用が日常風景の一部となった現在、それでも身体機能や認知機能に制限がある人たちの活用については見逃されている場面が散見されます。こうした人たちが情報格差の中で置き去りにされやすい現状を改善するのは、当事者だけの努力では困難です。そこで、デジタルを活用しやすい生活環境構築の支援者を増やすべく、デジタルアクセシビリティアドバイザー認定制度が創設されました。
デジタルアクセシビリティアドバイザーとして想定されるのは、当事者やその家族、教員、セラピストだけではありません。家電量販店や携帯電話事業者の説明員といったデジタル技術の商品・サービスに関わる人々の活躍も期待されています。
デジタルアクセシビリティアドバイザーには「誰もが気軽にデジタルの恩恵が受けられる環境」を作るという役割があります。合格者はデジタル庁の「デジタル推進委員」として認定される点も、この資格の魅力の1つでしょう。
資格取得者の活躍分野は多岐にわたります。例えば、以下のような分野があげられます。
【デジタルアクセシビリティアドバイザーの仕事例】
| 分野 | 仕事の例 |
| 情報通信分野 |
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| 就労分野 |
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| 教育分野 |
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| 医療分野 |
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| 福祉分野 |
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認定試験では、現場での具体的な支援につなげられるよう、障害理解や関連法令、具体的なアクセシビリティ機能といった幅広い内容が出題されています。
※出典:「はじめに」(デジタルアクセシビリティアドバイザー)
デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の概要・合格率

では、具体的に認定試験の内容や合格率を見ていきましょう。
デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の概要
デジタルアクセシビリティアドバイザーの認定を行うのは、一般社団法人日本支援技術協会です。
受験資格に年齢・学歴・国籍等の条件はなく、誰でも試験を受けられます。出題形式は選択式で、オデッセイコミュニケーションズが運営するCBT方式で実施されます。CBTとはComputer Based Testingの略で、パソコンの画面に問題が表示され、解答もパソコンに入力していくテスト形式です。
現在は2つの等級が実施されており、さらにもう1つの等級としてプロフェッショナル(Professional)レベルの追加が検討されています(2026年5月現在)。
【デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の等級】
| 等級 | 想定する受験者 |
| ベーシック(Basic)レベル |
|
| スタンダード(Standard)レベル |
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| プロフェッショナル(Professional)レベル |
|
試験は、ほぼ毎日受験可能。全国にあるオデッセイコミュニケーションズのテストセンターから会場を選択できるため、都合の合う場所・日程で試験を受けられます。
ベーシック(Basic)レベルの試験内容・合格率
障害特性やデジタルアクセシビリティに関する基本を学ぶベーシックレベルは、出題範囲が比較的狭く、1時間の試験時間で実施されます。高齢者や障害者のICT機器の利活用をサポートするための知識習得を目的とする等級です。
ベーシックレベルの出題範囲・出題数・試験時間・合格率は下表のようになっています。
【ベーシック(Basic)レベルの出題範囲・合格率など】
| 出題範囲 |
|
| 出題数 | 50問(選択式) |
| 試験時間 | 60分 |
| 受験者数※ | 155名 |
| 合格率※ | 54.2% |
出題範囲のうち、「障害の理解」では障害観の変化や障害の種類、関連法令などを扱います。「テクノロジーの理解」は、テクノロジと人間、障害との関係、アクセシビリティ確保の重要性などが対象です。「各OSの標準アクセシビリティ」では、Windows、MacOS、iOS/iPadOS、AndroidOSといったよく利用されるOSでの具体的なアクセシビリティ機能と、便利な周辺機器などが出題されています。
ただし、出題内容の一部は一般常識や時事問題となっている点に気をつけてください。具体的には、法令等の改正、OSのアップデートといった内容です。そのため、教材だけでなく、日々の技術の発展と社会の状況にも目を向けて学習しなければなりません。
※2023年度のデータ。出典:「デジタルアクセシビリティアドバイザー検討委員会 報告書」(一般社団法人日本支援技術協会)、p.12
スタンダード(Standard)レベルの試験内容・合格率
スタンダードレベルは、ベーシックレベルの内容も含む試験です。加えて、困りごとのパターンや生活場面別の適合技術などの応用的な知識・技術についても出題対象です。ベーシックレベルに合格していなくても受験できます。
スタンダードレベルの出題範囲・出題数・試験時間・合格率は下表の通りです。
【スタンダード(Standard)レベルの出題範囲・合格率など】
| 出題範囲 |
|
| 出題数 | 80問(選択式) |
| 試験時間 | 90分 |
| 受験者数※ | 39名 |
| 合格率※ | 79.5% |
出題範囲のうち、「困難別の支援技術」では、見る・読む・書く・聞く・動くといったことに困難がある場合の支援や、コミュニケーションに困難がある場合の支援などが対象です。「安心・安全で快適な環境を作るために」では、作業環境の整備と作業管理、衛生的環境、情報アクセシビリティなどが出題されます。
また、ベーシックレベルと同様、一般常識や時事問題についても出題されています。
※2023年度のデータ。出典:「デジタルアクセシビリティアドバイザー検討委員会 報告書」(一般社団法人日本支援技術協会)、p.12
プロフェッショナル(Professional)レベルの認定基準・審査方法
プロフェッショナルレベルは、現在準備中の等級です(2026年5月現在)。創設の目的は、デジタルアクセシビリティや支援技術に関する研究と実践を行い、講師としてのスキルがあることの認定です。ベーシックレベルやスタンダードレベルのような選択式による試験ではなく、実績・能力および他者からの推薦を条件に、書類審査・ビデオ審査・面接によって審査されます。
【プロフェッショナルレベルの認定基準(全てを満たす)】※
- デジタルアクセシビリティに関する研究、支援実践にすぐれ、各地での支援技術の利用の中心的役割を担っている
- ベーシック、スタンダード有資格者向けのサポートや地域コミュニティを運営し、日本支援技術協会が主催するセミナーの研修会講師を担当できる
- 障害のある方へのデジタル機器のサポート経験があり、かつ今後もサポートする力をもっている
- 指導者としての人格および見識を兼ね備えている
- デジタルアクセシビリティアドバイザーのスタンダードレベル取得から2年以上経過している
- スタンダードレベルの資格をもつ推薦者2名からの推薦書を添付できる(プロフェッショナルレベルの資格をもつ推薦者の場合は1名からの推薦書でOK)
プロフェッショナルレベルの認定に関する最新情報は、公式サイトをご確認ください。
※「Professionalの認定基準」(デジタルアクセシビリティアドバイザー)
デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の学習方法

デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験に向けた学習方法の基本は、公式教材での学習です。
公式教材の最も大切な教材は、有料の公式テキストです。試験内容も、基本的に公式テキストの範囲から出題されます。
公式テキスト以外では、無料のビデオ教材が便利です。公式テキストの内容をダイジェストでまとめたものであり、デジタルアクセシビリティアドバイザーコミュニティ(DAAコミュニティ)に参加すると視聴可能です。1本あたりの所要時間が短いため、公式テキストで本格的に学ぶ前の予習や、隙間時間を使った復習によいでしょう。ビデオ教材を視聴できるコミュニティには、受験前でも無料で参加できます。
公式テキスト学習後の試験対策用には、試験対策テキストやe-ラーニングシステムが販売されています。これらを使わない合格者もいるため、「試験に不安がある場合に追加で利用する」という考え方でよいでしょう。
まとめると、学習方法の基本の流れは下表のようになります。
【デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験の学習方法】
| 教材 | 学習方法 | |
| 1 | 公式ビデオ教材(無料) |
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| 2 | 公式テキスト(有料) |
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| 3 | 公式ビデオ教材(無料) |
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| 4 | 試験対策テキスト(有料) |
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| 5 | 試験対策用e-ラーニング(有料) |
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公式テキストで具体的なアクセシビリティ機能が紹介されている場合は、自分が持っているデバイスで実際に使ってみることも大切です。自分が体験することで、機能の使い方や利便性について実感をもって理解できるでしょう。
誰もが参加できる社会の実現に向け、デジタル面もインクルーシブに
代表的なOSは、高齢者・障害者も使えるようなデジタルアクセシビリティ機能を備えています。しかし、そうした機能があることを知らずに当事者が情報を得られなかったり、そもそもデジタルアクセシビリティという観点をもたずに情報発信が行われていたりするケースは珍しくありません。
効果的にデジタル機器を使える支援することが、より多くの人の情報にアクセスする機会を増やし、社会参加の促進につながります。そのためにも、デジタルアクセシビリティアドバイザーのような資格の学習を通じて、デジタルアクセシビリティの考え方と具体的な実践方法を理解していくとよいでしょう。
【参考】
- デジタルアクセシビリティアドバイザー 公式サイト
- 「デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験 Basicレベル」(オデッセイCBT)
- 「デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験 Standardレベル」(オデッセイCBT)
【画像・イラスト素材提供】
Graphs / PIXTA(ピクスタ)
kabu / PIXTA(ピクスタ)


