【障害者雇用実態調査】令和5年度は雇用者数110万人突破、発達障害も5万人増【1】


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厚生労働省が、2023年6月に調査を実施した「令和5年障害者雇用実態調査」の結果を公表しました。全体の雇用障害者数は前回調査(2018年)から大きく伸び、25万6,000人増となる110万7,000人です。
調査結果の内容を6回にわたってシリーズでお届けします。第1回となる今回は、調査の概要と雇用障害者数の変化や平均勤続年数を見ていきましょう。

令和5年度障害者雇用実態調査、5年間で25万人増の雇用者数

2024年3月、厚生労働省が「令和5年度障害者雇用実態調査」の調査結果を公表しました。同調査は、身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者の障害種別の雇用に関する実態について、常用労働者5人以上の民間企業から無作為に抽出した事業所を対象に行われるものです。

雇用されている障害者数全体は、前回調査である2018年の結果と比べて25万6,000人増加し、今回は110万7,000人でした。障害種別にみても、いずれも雇用者数が増加しています。

【障害種別雇用者数と前回調査からの増減】

障害種別 令和5年度

(2023年)

平成30年度

(2018年)

増減
身体障害 52万6,000人 42万3,000人 10万3,000人増
知的障害 27万5,000人 18万9,000人 8万6,000人増
精神障害 21万5,000人 20万0,000人 1万5,000人増
発達障害 9万1,000人 3万9,000人 5万2,000人増
全体 110万7,000人 85万1,000人 25万6,000人増

雇用者の増加人数で最も増えたのは10万3,000人増の身体障害者でした。続いて知的障害者で8万6,000人増、発達障害者で5万2,000人増となっています。

精神障害者は1万5,000人増と相対的に少ない増加数です。ただ、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人の中で発達障害だけで手帳を交付されている人を除いた人数となっている点には注意が必要です。

発達障害による一定程度の障害が認められる場合、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けられます。そのため、手帳の種類でいえば、発達障害のある方が精神障害に分類されているケースは珍しくありません。しかし、同調査では発達障害のみで他の精神障害による障害がない方を「精神障害」の区分から外し、「発達障害」の区分で集計しています。

こうした事情を考慮すると、精神障害者数として雇用される方の中に占める発達障害者の方の割合が、この5年間で大きく増加したとみることができます。

なお、障害種別で見た勤続年数も、それぞれ2年ほど増える結果となりました。

【障害種別の平均勤続年数】

障害種別 令和5年度

(2023年)

平成30年度

(2018年)

増減
身体障害 12年2カ月 10年2カ月 2年0カ月
知的障害 9年1カ月 7年5カ月 1年8カ月
精神障害 5年3カ月 3年2カ月 2年1カ月
発達障害 5年1カ月 3年4カ月 1年9カ月

障害者雇用実態調査とは? 障害種別の定義

厚生労働省が実施する「障害者雇用実態調査」は、民間企業における障害者雇用の実態を把握し、その後の政策等に役立てることを目的として、5年に1度行われます。

障害の分類は、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害の4つ。それぞれについて、雇用者数、賃金、労働時間、職業、雇用管理上の措置などを調査し、障害種別をベースに、産業別や事業所規模別などで比較・分析しています。

障害種別の定義は、下表のとおりです。

厚生労働省が実施する「障害者雇用実態調査」は、民間企業における障害者雇用の実態を把握し、その後の政策等に役立てることを目的として、5年に1度行われます。

障害の分類は、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害の4つ。それぞれについて、雇用者数、賃金、労働時間、職業、雇用管理上の措置などを調査し、障害種別をベースに、産業別や事業所規模別などで比較・分析しています。

障害種別の定義は、下表のとおりです。

【障害者雇用実態調査における障害種別の定義】

障害種別 定義
身体障害者 障害者雇用促進法で規定される身体障害者

●    障害の種類

○    視覚障害

○    聴覚障害

○    肢体不自由

○    内部障害

○    重複障害

●    障害の程度

○    重度…1級・2級

○    中度…3級・4級

○    軽度…5級・6級

●    原則として身体障害者手帳の交付を受けている者

●    手帳の交付を受けていなくても、指定医または産業医の診断書・意見書により確認されていれば対象に含む

知的障害者 障害者雇用促進法で規定される知的障害者

●    以下の機関等で知的障害があると判定された者

○    児童相談所

○    知的障害者更生相談所

○    精神保健福祉センター

○    精神保健指定医

○    障害者職業センター

●    以下のいずれかに該当する場合は「重度」となる

○    療育手帳で程度が「A」「1度」「2度」

○    次の機関等で療育手帳の「A」に相当する判定書をもらっている

■    児童相談所

■    知的障害者更生相談所

■    精神保健福祉センター

■    精神保健指定医

○    障害者職業センターで重度知的障害者と判定された

精神障害者 障害者雇用促進法で規定される精神障害者

●    以下のいずれかに該当し、症状が安定して就労可能な状態の者

○    精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている(発達障害のみにより交付を受けている者を除く)

○    手帳の交付は受けていないが、産業医、主治医から統合失調症、躁うつ病、またはてんかんの診断を受けている

発達障害者 精神科医から、発達障害の診断を受けている者

●    自閉症、アスペルガー症候群、その他広汎性発達障害

●    学習障害

●    注意欠陥多動性障害 など

2024年4月から障害者雇用率カウント方法変更、重度障害者・精神障害者が働きやすく

重度身体障害、重度知的障害、精神障害者の雇用では、令和6年度から週10時間以上20時間未満での就労も障害者雇用率算定対象となり、障害の状態に応じた労働時間をより実現しやすくなりました。

職場での合理的配慮においても、状態が悪化した際は週20時間未満での就労または休職、状態が良い場合は週20時間以上の労働時間にするなど、柔軟な調整が可能になります。こうした施策で労働時間の調整がより視野に入りやすくなり、安定した障害者雇用の実現につながるでしょう。

【令和6年度からの障害者雇用率 カウント方法(1人あたり)】

障害種別 週所定労働時間
30時間以上 20時間以上

30時間未満

(短時間労働)

10時間以上

20時間未満

(特定短時間労働)

身体障害 重度 2 1 0.5
重度以外 1 0.5
知的障害 重度 2 1 0.5
重度以外 1 0.5
精神障害 1 1 0.5

特定短時間労働は、これまで算定対象とはならなかった区分です。しかし、主に障害者雇用における超短時間労働のニーズが高いこと、週20時間未満での就労から安定した就労の取り組みを行うことの効果が期待され、法改正につながりました。

(関連記事)
週20時間未満の超短時間労働が障害者雇用率算定対象に! 障害者総合支援法改正案のポイント

【参考】
令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省
7.資料編(1)障害者雇用率制度|JEED

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