【障害者が作る商品】途上国支援の「古着deワクチン」で活躍する福祉作業所


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SDGsの目標達成や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を意識した事業の中には、障害者の就労が開発途上国の支援につながるシステムを備えたものがあります。その中で、障害者がつくる商品と利用者のサービス利用が開発途上国支援になるユニークなリユース事業が「古着deワクチン」です。

「古着deワクチン」=リユース×開発途上国支援×障害者の就労

「古着deワクチン」は、不要になった衣類やバッグ、靴、その他服飾雑貨を専用の袋に入れて送ると、開発途上国にそれらの物品やワクチンを寄付できるリユースサービスです。

日本リユースシステム株式会社、株式会社リクルートマーケティングパートナーズ(ゼクシィBaby)、認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(以下、JCV)の共同企画として運営されています。

「古着deワクチン」のユニークさは、リユース事業にワクチンの寄付が含まれていること、そして事業の一部に障害者雇用が関わっていること。サービスの利用者が不要な物品を入れて送る強化紙袋は障害者が働く福祉事業所で製造され、回収キットとして封入され発送されています。

その専用紙袋で回収したあと、物品は日本国内で一度仕分け・選別され、日本国内で再利用できるものは国内で、そうでないものは開発途上国でリユースされます。同時に、仕分け・選別を行う日本リユースシステムが、回収品1袋あたり子ども5人分のワクチンをJCVに寄付。開発途上国内のリユースでは、物品の選別・販売という現地雇用も生み出しています。現地での売上の一部もワクチンの寄付に使われる仕組みです。

回収には1袋あたり約3,000円がかかるため「高い」と言われることも。しかし、そうした負担をあえてお願いすることで、「古着deワクチン」というサービスを今後も継続して提供できるようにしているとのことです。

日本では毎年約33億着、金額にして約5兆円の良質な衣類がゴミになっています。こうした衣類を大量廃棄することをやめてリユースするとともに、開発途上国での雇用創出やワクチン寄付を行い、日本国内でも障害者雇用を創出しているのが「古着deワクチン」なのです。

【参考】
古着deワクチンとは?|古着deワクチン
取組紹介 古着deワクチン 日本リユースシステム株式会社|グッドライフアワード
クローゼットから世界へ。古着を手放して社会に貢献する方法|「古着deワクチン」の取り組み|天然生活

「古着deワクチン」の業務を担う福祉作業所

「古着deワクチン」の強化紙袋の製造・封入・発送業務を担う主な事業所は就労継続支援B型事業所。今回は、国立市にある「福祉作業所天成舎」と府中市にある「梅の木の家共同作業所」を見てみましょう。

「福祉作業所天成舎」の活動

「古着deワクチン」の専用回収袋の製造から回収キットの発送まで手がけている福祉作業所の1つが、東京都国立市にある就労継続支援B型事業所、福祉作業所天成舎です。

福祉事業所天成舎では身体・知的・精神・発達障害をもつ方が働いており、「古着deワクチン」から委託された業務以外に、JCVの活動に参加してペットボトルのキャップリサイクルも進めています。集められたペットボトルのキャップは回収業者に買い取られ、その買取金額の一部がワクチン寄付へ。ペットボトルのキャップ自体はプラスチックのリサイクル資源として生まれ変わります。

他にも、

  • 封筒や名刺への点字刻印
  • 歩道清掃や市の花壇の保全
  • ペーパーバッグ製作
  • DM封入・宛名シール貼り
  • 古紙回収・リサイクル
  • 携帯電話アクセサリー周辺作業

など、多様な作業を行っています。

【参考】
福祉作業所 天成舎 公式サイト
ペットボトルキャップ回収|JCV

福祉作業所「梅の木の家共同作業所」の活動

強化紙袋製造と回収キットの封入・発送を担うもう1つのB型事業所が東京都府中市にある「梅の木の家共同作業所」です。


出典:就労継続支援B型〈梅の木の家共同作業所〉|社会福祉法人白梅会

「自分の働ける場所がほしい」「自分のペースに合った仕事がしたい」と考える方が一歩踏み出すための働く場所とともに、さまざまな仕事にチャレンジする機会を提供している梅の木の家共同作業所では、精神障害をもつ方が働いています。

作業所での感染症対策の1つであるソーシャルディスタンスによって狭くなった作業スペースを改善するためにDIYを行うなど、働きやすい工夫をしながら作業を進めています。

作業所のブログは、委託された業務の大量の資材が運ばれる様子や、梅の木の家共同作業所を運営する白梅会の別のB型事業所「レスポワール工房」によるお菓子等の販売会に胸躍らせる様子がつづられるなど、明るい雰囲気です。

梅の木の家共同作業所では「古着deワクチン」の業務の他にも

  • 公園や障害者入所施設の清掃
  • ダイレクトメールの封入・封かん・ラベル貼り
  • 物品の梱包・組立・分解
  • 一般企業での倉庫内作業

なども行っています。

【参考】
梅の木の家共同作業所 公式サイト

「古着deワクチン」の利用方法

「古着deワクチン」は、インターネットの公式サイトから利用申込み可能です。

申し込むと基本的に2〜3日で専用回収キットが届き、そこに25kgまで回収可能品を入れられます。25kgは、シャツなら100枚分、セーターやズボンなら40枚分といった分量。アクセサリーやハンドメイド品も送れます。

決済方法ではクレジットカード、Amazon Pay、PayPay、代金引換が利用可能。領収書の発行にも対応しています。

古着deワクチン公式サイト

「物が増えて困ったな…」というときは、そうした物品が社会貢献につながる「古着deワクチン」などのリユースサービス利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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