【合理的配慮好事例第16回】チーム制導入で作業能率アップに成功! 自信や意欲向上にも


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障害をもつ従業員の健康管理がうまくいかないと、不安感が強まったり欠勤が増えたりして業務が滞ることがあります。それが自信喪失の原因となり、障害者雇用で職場定着が進まないという課題を抱える事業所も少なくありません。

こうした課題への解決策の1つがチーム制の導入です。

合理的配慮好事例解説シリーズ第16回は、第15回に引き続きチーム制導入の好事例を紹介。今回は、特に業務の効率化や意欲向上に結びついた事例を取り上げます。

「休むと迷惑をかける」という思いを解消し業務の効率化、職場定着へ—富士ソフト企画株式会社

富士ソフト株式会社の特例子会社である富士ソフト企画株式会社。多くの精神障害者を雇用しており、職場改善等の取り組みが評価されて平成21年度「精神障害者のための職場改善」の好事例として最優秀賞を受賞しました。同社では、WEB制作やシステムの保守・管理の他、映像編集や事務代行など幅広い業務を担っています。

同社で行った取り組みの1つが、チーム制の導入です。きっかけは、体調不良で欠勤した従業員の業務を部署内でフォローできる体制づくりでした。従業員はそれぞれの得意・不得意をもとにチームまたはペアで業務にあたります。

これにより、「自分が休むと迷惑をかける」というそれまでの精神的な負担が軽減され、職場定着にもつながったとのこと。成功のポイントは、障害種別で分けるのではなく、各人の特性や適性をもとに支え合って進められるようにすることです。

<チーム制導入のポイント>

  • 業務遂行をチームでフォローする
  • 得意・不得意を支え合って仕事を進める

チーム制導入後は、体調不良で仕事を休む従業員がいても、滞ることなく作業を進行できるようになりました。

【参考】
精神障害者のための職場改善好事例集(平成21年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
富士ソフト企画株式会社

指導スタッフが橋渡し・調整役に! 得意分野をもとにチームを結成—トーマツチャレンジド株式会社

トーマツチャレンジド株式会社は、有限責任監査法人トーマツの特例子会社です。親会社から依頼されるさまざまな業務を担当するなかで発達障害者のための職場改善にも取り組み、平成23年度に好事例で優秀賞を受賞しました。同社では、経理、PCセットアップ、パントリー、メールなど、さまざまな業務を担当しています。

チーム制導入のきっかけは、依頼された業務の遂行にあたり親会社の担当者と障害をもつ従業員双方の不安を解消し、業務を円滑に進める必要があったこと。チームは、指導スタッフと業務に必要なスキルのある障害をもった従業員数名で、業務の内容に合わせて結成されます。

これまでは親会社の担当者が業務を障害のある従業員に任せるにあたり、どう対応していいか困ることがありました。しかし、チームに指導スタッフがいることで親会社の担当者との調整や橋渡しが円滑に。障害をもつ従業員にとっても障害特性や得意なことを活かして業務にあたれるようになったそうです。

同社のチーム制導入では、以下の3つがポイントです。

<チーム制導入のポイント>

  • チームに指導スタッフを配置し、親会社と業務遂行メンバーの橋渡しを行う
  • 業務遂行に必要な能力を見極めてメンバーを決める
  • 障害特性や得意なことを活かす

チーム制による業務遂行は、業務全体の効率化や従業員の自信、モチベーションの向上につながっています。また、スムーズな業務遂行が評価されて親会社からの業務依頼も増え、従業員のスキルアップや職務創出にも貢献したとのことでした。

【参考】
発達障害者のための職場改善好事例集(平成23年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
トーマツチャレンジド株式会社

“業務の進め方はチームに任せる”で自主性と協力姿勢が向上—株式会社髙島屋横浜店

株式会社高島屋横浜店では、障害をもつ従業員でワーキングチームを結成し業務を遂行してきました。この取り組みが評価され、平成24年度「障害者のキャリアアップや加齢に伴う問題への対応」の好事例として最優秀賞を受賞。障害をもつ従業員は、箱折り、印刷製本作業、伝票書き、品出しなど、日々多くの業務を担当しています。

高島屋横浜店での取り組みの大きな特徴は、“業務の進め方はチーム内で話し合う”という点です。

担当業務は、各売場で販売の合間に行われるような軽作業。その日の業務が割り振られたあとは、チームメンバーがそれぞれ自分で担当業務を話し合って決めていきます。慣れてくれば各自の得意分野を把握できるため、具体的な進め方や細かい作業の割り振りはすぐに決まるとのことでした。

また、「チーム内作業検定」という仕組みも導入し、定期的に作業能率向上を目指す取り組みを行っているのも特徴です。

<チーム制導入のポイント>

  • 現場担当者は業務内容を指示するだけ
  • 具体的な業務の進め方はチームメンバーで話し合う
  • 日々の業務を一通り体験して自分の得意分野を見つける
  • チーム全体で目標を決め「チーム内作業検定」を実施する

こうした取り組みは、従業員の自信やモチベーション向上につながり、“自分の業務が終わったら他の作業の手伝いに入る”という自発性・協力姿勢の育成にも貢献しました。

【参考】
障害者のキャリアアップや加齢に伴う問題への対応に関する職場改善好事例集(平成24年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
株式会社高島屋

作業能率アップに向けたチーム制導入のポイント

チーム制の導入は、1人が1つの業務をまるごと担当するよりも、作業能率を向上させるのに効果的な場合があります。ポイントは、複数の従業員をただチームにするのではなく、それぞれの得意分野を活かしてチーム内でフォローし合える仕組みをつくることです。

<作業能率アップに向けたチーム制導入のポイントとメリット>

  • 依頼者と業務遂行チームの橋渡しを行う担当者を配置する
  • 業務に必要な能力をもとにメンバーを決定する
  • 得意を活かし、不得意を補い合いながら業務を進める
  • 細かく指示を出すより、業務の進め方をチームメンバーに任せることで自発性や協力姿勢を養える
  • チーム全体で目標を定めて取り組むことで、スキルアップへつなげられる

チーム制を導入する初期段階では、どのように業務を進めていくのか、誰がどんな得意分野をもっているのかなどを話し合ったり共有したりする必要があります。そのため、最初はなかなか業務の効率化が大変かもしれません。

しかし、どのような業務があり、どうやって進めるかというパターンが分かってくれば、細かい指導がなくてもチームで自主的に業務を進めていく土台を作れるでしょう。

他の人と一緒に作業をするのが極端に苦手な従業員の場合は、メンバー数を減らして2〜3人で業務にあたるという方法もあります。

従業員1人に1つの業務を任せる体制に困難を感じたら、ぜひチーム制の導入を検討してみてください。

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