平成29年(2017年)障害者雇用状況の集計結果を読み解く


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皆さん、こんにちは。

公的機関や民間企業には法定雇用率制度が適用され、一定割合の障害者の方を雇用する義務があります。これは「障がい者としごとマガジン」でもご紹介してきました。

さて、その法定雇用率制度を実質的なものにするため、毎年6月1日現在の障害雇用の状況について、事業主に報告義務が課されています。

今回は平成29年障害者雇用状況の集計結果を読み解いてみましょう。

雇用状況は前年より向上するも法定雇用率達成企業は2社に1社



図1:平成29年障害者雇用状況の集計結果(詳細は画像をクリックして出典元サイトでご覧ください)(出典:厚生労働省ホームページ「平成29年障害者雇用状況の集計結果」

民間企業では、雇用障害者数、雇用率ともに過去最高となっています。

  • 雇用障害者数:49 万 5,795.0 人。対前年+4.5%
  • 雇用率 :1.97%。対前年比 +0.05
  • 法定雇用率達成企業の割合:50.0%(対前年比 +1.2%)

確実に数字が上昇していますが、法定雇用率を達成している企業は未だ2社に1社というのが残念です。

その他、公的機関や独立行政法人でも雇用障害者数、雇用率ともに対前年で上回っています。

企業規模別の障害者雇用状況

次に企業規模別の障害者雇用状況を見てみましょう。

企業規模別の障害者雇用状況(出典:厚生労働省ホームページ「平成29年障害者雇用状況の集計結果」をもとに「障がい者としごとマガジン編集部」が作成)

すべての規模の企業において、雇用数、雇用率、法定雇用率達成率が上昇しています。国・地方公共団体による様々な施策の効果や、民間企業においても障害者雇用に対する理解・受け入れ体制が深化したためと考えられます。

特に雇用率に着目すると、やはり企業規模が大きくなればなるにつれ、障害者雇用率が上がります。大企業ならではの受け入れ体力と企業の社会的責任(CSR)に対する意識の高さが見受けられます。

一方で、中小企業においても雇用率が上昇しています。国・地方公共団体による啓蒙活動や、障害者雇用に対する補助と雇用率未達成に対する制裁といったアメとムチが徐々に浸透しているのではないでしょうか。

産業別の障害者雇用状況

少し面白いデータとして、障害者雇用の産業別のデータもあります。

「医療、福祉」(2.50%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.15%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.11%)、「農林漁業」 (2.04%)、「運輸業、郵便業」(2.04%)、「製造業」(2.02%)が法定雇用率を上回っています。

一方で、「教育、学習支援業」(1.59%)、「不動産業、物品賃貸業」(1.64%)、「情報通信業」(1.66%)は全体の平均を大きく下回っています。

逆張りの発想をすれば、現在法定雇用率を満たしていない産業は、将来的に障害者雇用を積極的に進める必要が出てくるわけですから、就職先として狙い目と言えるかもしれません。

法定雇用率未達成の企業

法定雇用率未達成の企業のうち、不足数が0.5人または1人である企業は、全体の67.3%となっています。

また、障害者を1人も雇用していない企業が未達成企業に占める割合は、58.7%となっています。

障害者雇用を行っていない企業が雇用率を引き下げているようです。

会社の体力がないため、障害者雇用を行えないケースもあるかもしれませんが、障害者雇用のノウハウがないため踏み出せないという企業も多いと思います。

そのような場合には、障害者の方の支援機関をうまく使うという選択肢もあります。

特例子会社について

特例子会社については別の稿で詳しく説明しますが、一定の要件を満たす子会社(特例子会社)での障害者雇用は親会社の障害者雇用としてカウントできるという制度があります。

平成29年6月1日現在で

  • 特例子会社:464社(前年+16社増)
  • 雇用されている障害者の数:29,769.0人

となっています。

大企業を中心に特例子会社の活用が進んでいます。

このことは、受け入れる企業にとってもプラスですし、そこで働く障害者の方にとってもプラスと言えるでしょう。

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資格試験予備校での講師・教材制作、IT企業での管理部門を経て、就労移行支援事業所「ルミノーゾ町田」施設長。採用を経験していることから、採用者に刺さる履歴書や面接の指導を得意とする。また、集合研修の講師等を現在も行っており、分かりやすい・実戦的な指導を得意とする。

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