【障害者雇用状況】厚生労働省が令和7年集計結果を公表、未達成企業は54.0%


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2025年12月、厚生労働省が令和7年の障害者雇用状況の集計結果を公表しました。雇用されて働く障害者数は70万4610.0人となり、前年より2万7,148.5人増加。一方で、法定雇用率2.5%への引き上げおよび除外率の引き下げなどが影響し、実雇用率は2.41%にとどまっています。法定雇用率を達成できなかった企業は、全体の過半数を占める54.0%でした。

企業規模別の障害者雇用状況および特例子会社の状況をお届けします。

障害者雇用促進法に規定された雇用義務と報告書提出義務

障害者雇用に関する法律と法定雇用率、障害者数・実雇用率の報告義務(障害者雇用状況報告書)についての図。詳細は、以下本文。

はじめに、障害者雇用状況の集計結果の前提となっている障害者雇用と報告書提出の義務について簡単に見ておきましょう。

障害者雇用促進法と法定雇用率・除外率

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下、障害者雇用促進法)では、従業員数が一定以上の民間企業に障害者の雇用を義務づけています。具体的な障害者の雇用人数は、従業員数をもとにした人数に「法定雇用率」をかけた数です。

2026年1月現在、法定雇用率は2.5%。障害者雇用義務がある民間企業は、従業員数40.0人以上の企業となっています。

雇用すべき障害者の人数は、以下の式で計算されます。

【基本の計算式】
雇用すべき障害者の人数
=常用労働者数 × 法定雇用率(端数は切り捨て)

なお、一部の業種については「除外率制度」が適用されています。常用労働者数から除外率に相当する数をひいた人数を「基礎労働者数」とし、これに法定雇用率をかけて算出します。除外率が適用されない企業よりも、雇用すべき障害者の人数が減るという仕組みです。業務内容の性質を考慮し、こうした制度が設けられました。

【除外率を適用する場合の計算式】
(1)常用労働者数 − 常用労働者数×除外率=基礎労働者数
(2)基礎労働者数 × 法定雇用率=雇用すべき障害者の人数(端数は切り捨て)

現在、除外率が設定されているのは建設や鉄鋼、医療、教育などの分野です。

ただし、除外率制度は廃止に向けて段階的に縮小されています。障害者雇用促進法の理念であるノーマライゼーションの実現に反する考え方だからです。直近では、2025年4月に一律10ポイントの引き下げが行われ、倉庫業・航空運輸業・採石業などの業種では除外率が廃止されました。

こうした計算式で算出される人数以上の障害者を雇用していない場合、「法定雇用率が未達成である」となり、状況に応じてハローワークから障害者雇用計画の提出を求められたり、雇用に向けた指導が行われたりします。

なお、企業で実際に雇用されている障害者が占める割合は、「実雇用率」と呼ばれます。

障害者雇用状況報告書の提出義務

適切な障害者の雇用が行われているかどうかは、企業が毎年提出する「障害者雇用状況報告書」でチェックされます。

障害者雇用状況報告書とは、障害者雇用促進法第43条第7項で定められた文書。毎年6月1日における雇用状況を記載し、ハローワークに提出します。従業員数40.0人以上の民間企業が提出しなければなりません。

今回公表されたのは、この報告書の内容を集計したものです。通常、毎年12月に厚生労働省の公式サイトで発表されます。

障害者雇用の概況と推移グラフ

民間企業の実雇用率の推移を表したグラフ。2019年の2.11%から2024年の2.41%までは右肩上がり。2024年と2025年は、同水準の2.41%。詳しくは、以下本文。

2025年における民間企業の障害者雇用について、概況を見ていきましょう。

民間企業全体では、70万4,610.0人の障害者が雇用されており、前年より2万7,148.5人の増加となりました。22年連続での記録更新です。

一方で、実雇用率は2.41%。切り捨てられた端数まで考慮すれば過去最高ではあるものの、前年とほぼ同じ水準といってよいでしょう。民間企業全体としては、法定雇用率に届きませんでした。

法定雇用率を達成した企業の割合は、全体の46.0%です。企業規模別では、従業員数1,000人以上の大企業で半数以上の企業が法定雇用率を達成したものの、それ以外の規模では未達成の企業のほうが多い結果となりました。

【民間企業の概況】

2025年 前年(2024年)
雇用障害者数 70万4,610人 67万7,461.5人
実雇用率 2.41% 2.41%
法定雇用率
未達成企業の割合
54.0% 54.0%

未達成企業6万5,033社のうち、64.0%は「障害者をあと1人雇用すれば法定雇用率を達成できる企業」(1人不足企業)です。また、6万5,033社のうち57.3%は、「まだ1人も障害者を雇用していない企業」(0人雇用企業)でした。未達成企業が「最初の1人」を雇用することが、民間企業全体の法定雇用率達成への重要な鍵となっていることがわかります。

とはいえ、段階的に引き上げられる法定雇用率の達成に向けて、多くの企業が実雇用率向上に取り組んでいます。実雇用率は、2011年に一度減少したものの、その後は基本的に右肩上がりで記録を更新してきました。

身体障害・知的障害・精神障害という障害種別の雇用状況では、いずれも雇用人数が増えており、特に精神障害者の人数が2022年以降に伸びています。精神障害者に関しては、短時間労働でも実雇用率にカウントできるといった雇用強化施策が功を奏していると考えられます。2025年では、精神障害者の雇用数が知的障害者の雇用数を上回りました。

大企業における障害者雇用の現状

2025年の障害者雇用に関する大企業の状況。詳しくは、以下本文。

集計結果をもう少し詳しく見ていきましょう。

従業員数1,000人以上の大企業における障害者雇用状況の特徴は、半数以上の企業が法定雇用率を達成していることです。大企業だけで全体の約半分にあたる36万778.5人の障害者が雇用されています。

実雇用率と未達成企業の割合

従業員数1,000人以上の大企業は3,604社あり、実雇用率は2.69%でした。前年の実雇用率2.64%から0.5ポイントの増加です。法定雇用率2.5%を達成できなかった企業の割合は42.5%であり、多くの企業が法定雇用率を達成しました。

なお、雇用障害者数36万778.5人のうち、週所定労働時間が20時間以上30時間未満である「短時間労働者」は3万5,176人、10時間以上20時間未満である「特定短時間労働者」は8,998人となっています。大企業で雇用される障害者の12.2%が、週30時間未満で働いている計算です。

障害種別の割合と新規雇用数

2025年の大企業における障害種別の雇用の割合を示したグラフ。身体障害者の割合は51.9%、知的障害者の割合は24.4%、精神障害者の割合は23.8%。詳しくは、以下本文。

雇用障害者数を障害種別に見ていくと、最も多いのは従来通り身体障害者(18万7,169.0人)でした。知的障害者と精神障害者の人数はほぼ同水準です(それぞれ8万7,917.5人、8万5,692.0人)。

新規に雇用された障害者の合計人数は、3万4,762.5人となっています。

後述するほかの企業規模と比較すると、知的障害者の割合が大きい結果となりました。

従業員数300人〜1,000人未満の企業における障害者雇用の現状

2025年の障害者雇用に関する従業員数300人以上1,000人未満の企業の状況。詳しくは、以下本文。

中堅企業とも呼ばれ得る従業員数300人以上1,000人未満の企業では、300人以上500人未満の企業規模と500人以上1,000人未満の企業規模で雇用状況にやや違いが見られました。

全体としては、500人以上1,000人未満の企業規模のほうが障害者雇用の取り組みが進んでいるようです。他方、短時間・特定短時間の労働者の割合は300人以上500人未満の企業規模のほうが多いという結果でした。

実雇用率と未達成企業の割合

まず実雇用率を見てみましょう。300人以上500人未満の企業7,083社では実雇用率2.27%(前年から0.02ポイント減)。これに対し、500人以上1,000人未満の企業4,843社では、実雇用率2.41%(前年から0.07ポイント減)でした。

法定雇用率が未達成だった企業の割合は、300人以上500人未満で59.7%、500人以上1,000人未満で55.5%となっています。

全体で見れば500人以上1,000人未満の企業規模のほうが、障害者雇用の取り組みは進んでいると推察できます。

ただ、疲れやすかったり治療との両立が必要であったりする障害者の働きやすさに関していえば、300人以上500人未満の企業のほうがよい状況かもしれません。500人以上1,000人未満の企業規模では、短時間労働者(8,497人)と特定短時間労働者(1,914人)が全体の13.6%を占めている一方、300人以上500人未満の企業規模では、短時間労働者(7,806人)と特定短時間労働者(1,692人)で16.3%を占めているからです。

障害種別の割合と新規雇用数

2025年の従業員数300人以上1,000人未満の企業における障害種別の割合を示したグラフ。 300人以上500人未満の企業において、身体障害者の割合は54.8%、知的障害者の割合は21.5%、精神障害者の割合は23.7%。 500人以上1,000人未満の企業において、身体障害者の割合は54.3%、知的障害者の割合は21.1%、精神障害者の割合は24.6%。詳しくは、以下本文。

障害種別で見ると、いずれも身体障害者の人数が過半数を占める点は大企業と変わりません。300人以上500人未満の企業では3万1,970.5人、500人以上1,000人未満の企業では4万1,564.0人となっています。

知的障害者の割合は、ほかの企業規模と比較して比較的少ないようです。300人以上500人未満の企業では1万2,532.5人、500人以上1,000人未満の企業では1万6,127.5人でした。いずれも精神障害者の人数より1,000〜2,000人ほど少ない結果です。

精神障害者については、大企業と同水準の割合で雇用しています。300人以上500人未満の企業では1万3,860.0人、500人以上1,000人未満の企業では1万8,866.0人です。

全体として、身体障害者を中心に雇用されており、知的障害者よりは精神障害者のほうが多いといった特徴が見られました。

新規雇用数は、300人以上500人未満の企業で6,640.5人、500人以上1,000人未満の企業で8,592.5人。いずれも前年の新規雇用数より増加しています。

中小企業における障害者雇用の現状

2025年の障害者雇用に関する中小企業の状況。詳しくは、以下本文。

従業員数300人未満の企業では、100人以上の企業か否かで異なる傾向が見られました。

100人以上300人未満の企業は、300人以上1,000人未満の企業と似た傾向がある一方で、40人以上100人未満の企業ではより精神障害者を積極的に雇用する傾向があるようです。

実雇用率と未達成企業の割合

実雇用率では、40人以上100人未満の企業6万7,885社で1.94%(前年から0.02ポイント減)、100人以上300人未満の企業3万7,052社で2.18%(前年から0.01ポイント減)となっています。いずれも法定雇用率を達成していません。特に40人以上100人未満の企業については、もともと低い実雇用率が課題となっていたところ、さらに下がる形となってしまいました。

法定雇用率が未達成である企業は、40人以上100人未満の企業で55.3%、100人以上300人未満の企業で51.4%です。

ただ、短時間・特定短時間労働者の割合を見ると、ほかの企業規模よりも大きな割合でした。

まず、40人以上100人未満の企業では、雇用障害者数8万1,287.5人のうち2万2,077人が短時間労働者、1,861人が特定短時間労働者です。雇用障害者数における割合は29.4%であり、企業規模別で最大となっています。

100人以上300人未満の企業でも、雇用障害者数12万7,623.5人のうち20.1%が短時間・特定短時間労働者でした。短時間労働者は2万1,875人、特定短時間労働者は3,762人です。

いずれも20%を超えており、100人以上300人未満では約5人に1人、40人以上100人未満では約3人に1人が週30時間未満の労働時間で働いていることになります。先に見た実雇用率の低さを考慮すると、短時間でも障害者を雇用すべく取り組む企業と、障害者雇用自体を全く進めていない企業との差が非常に大きいと推察されます。

新規雇用者数は、40人以上100人未満の企業で9,988.5人、100人以上300人未満の企業で1万5,095.5人でした。

障害種別の割合と新規雇用数

2025年の中小企業における障害種別の割合を示したグラフ。 40人以上100人未満の企業において、身体障害者の割合は52.7%、知的障害者の割合は22.0%、精神障害者の割合は25.3%。 100人以上300人未満の企業において、身体障害者の割合は55.1%、知的障害者の割合は21.7%、精神障害者の割合は23.2%。詳しくは、以下本文。

障害種別の雇用状況では、やはり身体障害者の占める割合が5割を超えています。精神障害者の割合については、40人以上100人未満の企業と100人以上300人未満の企業とで違いが見られました。

身体障害者の雇用人数は、40人以上100人未満の企業で4万2,847.5人、100人以上300人未満の企業で7万363.5人。企業規模別に見た身体障害者の割合では、100人以上300人未満の企業規模が最も大きくなりました。

知的障害者は40人以上100人未満の企業で1万7,888.0人、100人以上300人未満の企業で2万7,688.0人。300人以上1,000人未満の企業規模と同水準です。

一方で、精神障害者の雇用については、40人以上100人未満の企業における割合が、ほかのどの企業規模よりも大きいという結果になっています。人数では、40人以上100人未満の企業で2万552.0人、100人以上300人未満の企業で2万9,572.0人ですが、割合では前者が25.3%、後者が23.2%となりました。

特例子会社における障害者雇用状況

企業の中には、障害者雇用を重点的に進める子会社を設立し、そこで多くの障害者を雇用している企業があります。この子会社は「特例子会社」と呼ばれており、行政から認定を受けることで雇用する障害者数を親会社の実雇用率に算入できる点が大きなメリットです。

特例子会社の従業員は、ほとんどが障害のある労働者。そのため、社内施設のバリアフリー化、雇用管理や支援ノウハウの蓄積が進んでいます。

今回、特例子会社の認定を受けている企業数は631社となっており、前年から17社増加しました。雇用障害者数は、前年の5万290.5人から増え、今回は5万3,710.5人。短時間労働者は1,166人、特定短時間労働者は169人であり、全体の2.5%を占めています。

短時間・特定短時間労働者の割合が小さいことは、一定パターンで働けることが安定的な就労のポイントとなる知的障害者を多く雇用していることも要因にあるでしょう。実際、障害種別の雇用数を見ると、合計5万3,710.5人のうち身体障害者が1万2,920.0人、精神障害者が1万4,051.0人であるのに対して、知的障害者は2万6,739.5人となっています。

民間企業の障害者雇用に見られる問題点

民間企業の障害者雇用における問題点と対策をまとめた図。詳しくは、以下本文。

今回の集計結果全体を見ると、民間企業が抱える問題は大きく変化していないと考えられます。大企業以外の企業では、過半数が法定雇用率未達成の状況であり、特に100人未満の企業と300人以上500人未満の企業の達成率が低いのは、これまでと同様の結果だからです。

障害者雇用がうまく進まない大きな原因として指摘されているのが、企業側のノウハウ不足と外部支援機関との連携不足です。

「そもそも障害にはどのような種類があるのか」
「障害特性は同じ種類なら皆同じなのか」

といった基本から理解する必要があるケースも珍しくありません。

ただし、近年は障害者雇用代行ビジネスの台頭により、新たな問題が生じている点に注意しなければなりません。企業側が障害者雇用のノウハウを得ることなく、障害者の採用から雇用管理まで、代行業者に“丸投げ”してしまう事態が発生しているからです。

障害者雇用代行ビジネスの利用により、「数字だけは法定雇用率を達成するものの、障害者雇用促進法が目指すインクルージョンの実現とはほど遠い」という現実が見られます。「障害者雇用=ただのコスト」という認識が広まれば将来的に負の影響が大きいとして、厚生労働省もガイドライン策定に向けて動いてきました。

障害に関する理解と具体的なノウハウは、厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が公式サイトに掲載する資料・事例集、各自治体の障害福祉担当や関連支援機関から学ぶことができます。障害者の採用や職場定着に要する費用負担を軽減する各種助成金、現場での具体的な合理的配慮の提供をサポートする制度も利用可能です。現場の支援メンバーを対象とする研修・講座・セミナーも開催されています。

中小企業において、「あと1人」の障害者を雇用するだけでも、民間企業全体の実雇用率が大きく改善されるでしょう。

障害者雇用で課題を抱えているなら、ぜひ管轄のハローワークやお近くの特別支援学校、就労支援事業所(就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など)にご相談を。当マガジンを運営するルミノーゾでも、障害者雇用に関するご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

【参考】
事業主の方へ|厚生労働省
令和7年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

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