2023/05/10
障害者雇用支援者向け助成金を新設「障害者雇用相談援助助成金(仮称)2024年4月から
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2024年4月から、障害者の就労支援を行う事業者を対象とした新しい助成金制度「障害者雇用相談援助助成金」が始まります。申請には都道府県労働局長による認定が必要。支給要件や支給額など、2023年4月現在で分かっていることをお伝えします。
「障害者雇用相談援助助成金」の目的と開始時期
2024年4月から、障害者雇用を支援する事業者を対象とする助成金制度、「障害者雇用相談援助助成金」(仮称)が始まります。
改正障害者雇用促進法(※)に基づくもので、法定雇用率未達成企業が納める納付金が財源となります。2022年12月の法改正で創設が決定しました。2023年5月以降に都道府県労働局の公式サイトなどで周知される予定です。
この助成金の目的は、中小企業など障害者雇用に課題をもつ企業において、新しく障害者を雇用し、さらに継続して雇用できるようサポートする事業者を支援することです。助成金の申請には都道府県労働局長による認定が必要で、制度の運用開始後は、認定された事業者の一覧も公表されます。
また、障害者の法定雇用率達成に課題をもつ事業主に対してハローワークが支援・指導を実施するなかで、必要に応じて認定事業者の利用を勧めることもあるとのことです。
※改正障害者雇用促進法 第49条7の2 「対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るために必要な対象障害者の一連の雇用管理に関する援助の事業を行うものに対して、当該援助の事業に要する費用に充てるための助成金を支給すること。」
支給要件と支給額
では、2023年4月現在分かっている支給要件、認定・審査の内容、支給額を見ていきましょう。
支給対象となる事業者の要件
「障害者雇用相談援助助成金」の主な支給対象は、障害者雇用の支援実績があるコンサルタント会社、就労移行支援事業所、就労準備支援事業所などです。特例子会社が親事業主を対象に支援を行う場合も、一定の要件を満たせば支給対象となります。
ただし、助成金の申請には都道府県労働局長の認定を受け、さらに独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)による審査を通過しなければなりません。
<支給要件>※以下の全てを満たす(3については(1)または(2)に該当する)
主な支給要件 | ||
1 | 対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を図るために必要な雇用管理に関する援助の事業(相談援助事業)を行う | ※特例子会社等が親事業主等を対象に相談援助事業を行う場合、その相談援助事業によって、その特例子会社等から親事業主等へ、障害者である労働者が実際に転籍または出向しており、今後、親事業主等への転籍または出向の実施計画がある |
2 | 障害者雇用相談援助事業を適正に実施できる能力をもつものとして、管轄の都道府県労働局長から認定を受けている | |
3 | 右のいずれかを満たしている | (1)対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を図るための措置を行った事業主に対して、相談援助事業を実施した |
(2)対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を実際に行った事業主に対して、相談援助事業を実施した |
上の表にある「都道府県労働局長からの認定」は、一定の要件を満たす事業者(法人)に対して行われます。ただし、要件を満たして認定された事業者であっても、その後、認定基準を満たしていないと評価された場合は認定を取り消されることがありますので、ご注意ください。
労働局長からの認定を受けて助成金の申請を行うと、JEEDによる審査が行われます。特に支給要件3に関しては以下の基準で審査が行われますので、事前にチェックしておきましょう。相談援助を実施する際は、その詳細や事業主の実際の取り組みなどをしっかり記録しておくことが大切です。
<JEEDによる審査内容>
※支給要件3「次のいずれかを満たす」について
支給要件 | 審査内容 | |
(1) | 対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を図るための措置を行った事業主に対して、相談援助事業を実施した | – 支援事業者が行った相談援助の詳細
– 相談援助を受けた事業主の実際の取組 – 相談援助を受けた事業主の証明 |
(2) | 対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を実際に行った事業主に対して、相談援助事業を実施した | – 支援事業者が行った相談援助の詳細
– 相談援助を受けた事業主の実際の取組 – 雇入れおよびその雇用の継続の実績 – 相談援助を受けた事業主の証明 |
支給額
労働局長からの認定とJEEDによる審査の両方を通過すると、以下の支給額が支払われます。また、中小企業や除外率設定業種の事業主に対して継続的な相談援助を実施した場合は、支給額が上乗せされます。支給回数は、相談援助の対象となった1事業主につき1回です。
<支給額>
相談援助内容 | 中小企業または
除外率設定業種 |
その他 | |
(1)
基本額 |
対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を図るための措置を実施した | 80万円 | 60万円 |
(2)
上乗せ |
対象障害者の雇入れおよびその雇用の継続を実際に行った(4人まで) | 対象障害者1人あたり
10万円を上乗せ |
対象障害者1人あたり
7.5万円を上乗せ |
中小企業、除外率設定業種の障害者雇用拡大へ
毎年行われる障害者雇用状況の調査結果では、中小企業における法定雇用率未達成企業の割合が目立ち、特に小規模になるほど「あと1人で法定雇用率を達成できる」という状況が少なくありません。
初めての障害者雇用、2人目の障害者雇用を達成し、そこからさらに雇用を継続するには、企業と支援者の連携が不可欠です。
支援者とつながり、障害のある方が安心して働ける環境づくりを進めるため、中小企業の事業主や除外率が設定された業種の事業主は、ぜひ認定事業者とともに次の一歩を踏み出しましょう。
【参考】
第128回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)|厚生労働省