障害者総合支援法について学習してみよう(法律の制定までの経緯)


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みなさん、こんにちは。

障害者の方を支援する法律には色々なものがあります。

今回は、その中でも各種サポート制度をとりまとめる障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」)について学習してみましょう。

今回は法律の制定までの経緯を見てみたいと思います。

措置から支援費制度へ

かつては障害者の方への様々なサポートは「措置」という位置づけでした。

「措置」とは行政がサービスの必要性を判断し、提供する内容を決定する仕組みです。

「措置」という仕組みは、あくまでも行政主体でサービスの提供がなされるので、障害者の方の自己決定権が反映されていない点が問題でした。

そこで2003年に「支援費制度」という仕組みが採用されることとなりました。

提供されるサービスを行政ではなく、利用者が決めるのです。これにより障害者の方の自己決定権も尊重されます。

また、規制緩和の波を受けたこともあり、このタイミングでサービス提供者として民間の参入が認められることとなりました。

障害者自立支援法の制定

このように制定された「支援費制度」ですが、障害者の方が自らサービスを選択することとなり、また民間事業者の参入を受け、利用者の増加による財源確保という問題がでてきました。

また、支援費制度の対象は、身体障害者と知的障害者となっており、精神障害者が含まれていませんでした。

そこで、「障害者自立支援法」という法律が2005年にできました。

この法律では

  • 3障害の一元化
  • 提供されるサービスの整理
  • 就労支援制度の強化
  • 利用料の1割負担

が定められました。

障害者自立支援法から障害者総合支援法へ

利用料の1割負担が原則となることにより、人によってはサービスを受けることが困難となりました。

そこで、世帯収入に応じた利用料(応能負担)が原則となりました。

障害者総合支援法29条3項2号

当該支給決定障害者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(当該政令で定める額が前号に掲げる額の100分の10に相当する額を超えるときは、当該相当する額)

たとえば、住民税が非課税の方については利用料が発生しないのが一般です。

私が従事している就労移行支援事業ですと、9割程度の方は利用料の負担がありません。

そして、障害者自立支援法との大きな違いは、法律の理念が明文化された点です。

実際に読んでみましょう。

障害者総合支援法1条

この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

※太字は筆者が付加したもの。

ポイントをかいつまんでみると

すべての障害者・障害児の方が「基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができる」ことを目的としています。

そして、重要なのは「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。という点。

いわゆるダイバーシティ、インクルーシブの考え方が正面からうたわれているわけです。

さまざまな政策、施策の立案・実行に、そして我々のようなサービス提供がサービスを提供する際に常に意識をしなければならないわけです。

次回以降、障害者総合支援法の詳細を見ていきましょう。

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資格試験予備校での講師・教材制作、IT企業での管理部門を経て、就労移行支援事業所「ルミノーゾ町田」施設長。採用を経験していることから、採用者に刺さる履歴書や面接の指導を得意とする。また、集合研修の講師等を現在も行っており、分かりやすい・実戦的な指導を得意とする。

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