2021/01/04
障害者雇用での面接準備や質問の内容は?「職業準備性」を意識しよう
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障害者雇用枠で就職活動を行い、書類審査に無事通過すれば次は面接。しかし、面接に向けてどのような準備をすればよいのでしょうか。
面接の準備では、当日持って行く書類やスーツなどを揃えたり、面接官から質問される可能性がある内容に対して答えを考えておいたりする必要があります。障害者雇用では障害についても聞かれますので、きちんと説明できるように、しっかり練習しておきましょう。
面接に向けた準備と服装
まずは、面接で必要な配慮を受けられるかどうかを予め確認しましょう。障害特性に応じて、以下のような配慮をしてもらう必要があるかもしれません。
- 聴覚障害がある場合:口話・手話・筆談などでの面接
- 上肢や発話に障害がある場合:面接時間を長くとってもらう
- 知的障害や精神障害がある場合:支援員などの同席を許可してもらう
次に、当日持って行く書類を準備します。具体的な書類のリストは、書類審査合格時に教えてもらえることが多いのですが、もし先方から指定がない場合は以下の書類などを準備しておいてください。
<面接に向けて準備する書類>
- 履歴書(写真付き)
- 職務経歴書
- 障害者手帳とそのコピー
- 就労パスポートとそのコピー
- 障害者手帳以外の身分証明書(必要に応じて)
<面接に向けて用意するもの(書類以外)>
- A4サイズの書類が入るバッグ
- 求人情報のコピーや会社案内
- 応募先の電話番号と担当者名を書いたメモ
- 面接会場周辺の地図
- 筆記用具(ペンとメモ帳など)
- 腕時計
- スマートフォンや携帯電話
- 財布・ハンカチ・ティッシュ・手鏡
- 印鑑
- 飲み物
- 携帯用の小さな洋服ブラシまたは衣服用粘着ローラー
当日の服装は、なるべくスーツを用意しましょう。スーツの着用が難しい場合でも、スーツに準じた服装が好まれます。
面接担当者に「真面目に働いてくれそう」「清潔感がある」「自分で状況にあった適切な服装を身につけられる」などのポジティブな印象を与えられる服装を選ぶことが重要です。
<当日の身だしなみと服装のチェックポイント>
- 服や靴に汚れがついていないか
- ジャケットにフケや髪の毛などが落ちていないか
- ボタンがとれていないか
- シャツはシワやシミなどなく清潔か
- 生地に穴が空いていないか
- しつけ糸の取り忘れはないか
当日出かける前に、必ず鏡で服装と身だしなみをチェック。可能であれば、全身チェックができる姿見を使って確認してください。
ジャケットのフケや髪の毛などは移動中についてしまう可能性もありますので、面接会場に入る前に手鏡やトイレの鏡で再チェックしましょう。もしついていたら、携帯用の小さな洋服ブラシや衣服用粘着ローラーでとってください。
面接で聞かれる質問に対して答えを準備しよう
障害者雇用枠での採用面接の質問は、一般枠と同じような内容の質問が基本です。しかし、本人が障害に対してどのような理解をしているか、どう対応しているかは重要ポイントなので、障害についての質問もなされます。
就労移行支援などを利用している場合は、支援員と模擬面接を重ねて準備しておきましょう。
採用面接で質問されやすい一般的な内容
採用面接における一般的な質問は、応募者のこれまでの経歴や能力、意欲、希望する職種などが中心です。
<採用面接で聞かれる一般的な内容>
- 自己紹介
- 職歴
- 前職の退職理由
- 志望動機・意欲
- スキル・能力・資格
- 長所・短所
- 希望する仕事
- 通勤の方法や経路・時間
これらの基本的な質問への答えは、
「これなら仕事を任せてもよい」
「これならうちの仕事で力を発揮できそう」
と面接官が思える内容・表現にすると印象が良くなります。
もしその企業で働くのに適したスキル・資格を自分が持っていると感じるなら、自己紹介・志望動機・長所・希望する仕事などでアピールしましょう。
「○○の講座を受講し(○○の資格を取得し)、△△ができるようになりました。××のような業務で、このスキルを生かせると考えております」
などと伝えると、分かりやすくなります。
職歴については、
- どのような業務を担当したのか
- 業務の経験をとおして何ができるようになったのか
- 今後どのように生かせるのか
などを具体的に伝えるのがポイントです。
障害者雇用の採用面接に特徴的な質問
障害者雇用で特別に質問される内容では、障害に関わることや身のまわりのことを自分でできるかといったものがあります。
<障害者雇用で質問される可能性がある内容>
- 身辺処理の自立ができているか(着替え・トイレ・食事など身のまわりのことを自分でできるか)
- 規則正しい生活習慣が身についているか
- 他の従業員と一緒に仕事ができるか
- 障害の状況(仕事を行う上で配慮が必要な場合)
- 必要とする支援内容
- 通院や服薬がきちんとできているか
- 調子が悪くなった時に主治医に相談したり、医療機関のサポートを受けたりすることができるか
- 主なコミュニケーションの方法についての希望(電話よりメールがいい、など)
- 出張・異動の可否(仕事を行う上で配慮が必要な場合)
- 職場内の移動方法(車イスなどが必要かどうか)
特に、次の2点は就職後に支援を受けるにあたって欠かせないポイントです。
- 自分の障害状況を自分で把握しているかどうか
- 自分にできることとできないこと、サポートがあればできることなどが分かっているかどうか
必要な時に必要な支援を自分からお願いできるよう、自分の障害の状態やできることなどについて、面接前にもう一度しっかり確認しておきましょう。
採用面接でのよくある注意点・改善点
採用面接では、あなたのことを知るために多くの質問がなされます。なるべくスムーズに答えられるようにするには、支援員などと一緒に何度も面接練習を行うことが有効です。
「障がい者としごとマガジン」編集部がある就労移行支援事業所ルミノーゾを利用する方々も、面接官役の支援員を変えながら何回も模擬面接を実施。その都度、良かった点と改善すべき点の振り返りを行っています。
模擬面接で見られるよくある改善点としては、以下の3点があります。
<模擬面接でよく見られる改善点>
- アピールポイントを丸暗記して話すだけになっている
- だらだらしゃべって要点が不明
- 面接官の質問の意図を理解できないままに返答している
面接練習をする際は、ぜひこれらの点に気をつけて答えられるよう練習していきましょう。
【参考】
はじめからわかる障害者雇用~事業主のためのQ&A集~|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
当日の準備 面接で見られる「職業準備性」と面接マナー
障害者枠の採用面接では、障害者自身の「職業準備性」を見ることも重視されています。
職業準備性とは、職業に就く人たちに共通して求められる基本的な要件のこと。具体的には、以下のようなことです。
<職業準備性とは>
- 障害のことを自分できちんと理解し、自分で通院や服薬ができる
- 障害の状態が悪化した場合、自分で医師などに相談できる
- 規則正しい生活習慣が身についている
- 身辺処理の自立ができている
- あいさつ・返事・報告・連絡・相談ができる
- サポートが必要なときに他の人に助けを求めることができる
- ミスした場合に謝罪できる
- 感情的にならず周囲と協調できる
- 1人で通勤できる
- 職場の規則を守れる
- 就業時間中、安定して仕事に取り組める
- 危険な状況が発生した場合、それが危険だと分かる
職業準備性のいくつかは、面接の質問に対する答えから判断されます。しかし、あいさつ・返事・遅刻をしないといった点は、面接当日の振る舞いから判断されることが多いでしょう。
面接当日に職業準備性も評価される「面接のマナー」にそった振る舞いができるよう、事前にしっかり練習してください。基本的には次の点を押さえつつ、落ち着いて礼儀正しく面接を受けましょう。
<面接のマナーと流れ>
- 身だしなみを整え、清潔な印象を与える服装・髪型で行く
- 遅刻をしないよう、面接会場には10分前に到着する
- 受付の方に挨拶をして「本日△時に面接のお約束をしております○○と申します」と伝える
- 携帯電話やスマホは、電源を切るかマナーモードにする
- 面接前の控え室では、姿勢よく座って静かに待つ(ゲームや読書はしない)
- 控え室で名前を呼ばれたら「はい」と返事をする
- 担当者の案内に従う
- 面接室に入室する際は、ドアを3回ノックする(ドアが開いている場合はノック不要)
- 「どうぞ」「お入りください」等と言われたら入室する
- 入室したら丁寧にドアを閉め、面接官に丁寧におじぎをする
- 椅子の左側に立ち、「○○です。よろしくお願いいたします」と言って一礼する
- 面接官などから「おかけください」と言われたら、「失礼します」と言って椅子に座る
- 話している時に、頭をかいたり貧乏揺すりをしたりするなど、落ち着きのない行動をしないよう気をつける
- 質問をされたら、敬語で、大きすぎず小さすぎない声の大きさで答える
- 面接官が話している時は、話を遮らずに最後まできちんと聞く
- 面接官に「これで面接は終了です」等と言われたら、「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と言って立ち上がる
- 椅子の左側に立ち、もう一度「ありがとうございました」と言って一礼する
- ドアの前まで行ったら、面接官のほうを向き「失礼します」と言って一礼する
- ドアを開けて退室し、ドアを閉める
面接官への逆質問は何を聞けばいい?
面接の終わりに「何か質問はありますか」と面接官から聞かれることがあります。これを「逆質問」といいます。
逆質問では、今後その会社で働く場合に気になること、知っておきたいことなどを質問しましょう。たとえば、次のような質問が考えられます。
<面接官への逆質問の例>
- 御社で○○障害をもって働いている方はいらっしゃいますか
- 御社で障害をもちながら働いている方の1日のスケジュールは大体どのようになっていますか
- 御社でリーダーやマネージャーに昇進するためには、どのようなスキルや能力が必要ですか
- 御社で障害をもちながら活躍している方には、どのような共通点がありますか
逆質問は、質問の仕方によっては面接官に悪い印象を与えるかもしれません。あらかじめ支援員などと一緒に質問内容を考え、質問の仕方も含めて何回も練習しておくと安心です。